自然の自画像

「レディング写真工房」(1845-46年)。プリントの量産を目的に1843年にトルボットにより創設された工房。
右端がトルボット。

 フランスのルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが1839年に最初の実用的な写真術としてダゲレオタイプを公表してから5年後、ダゲールと類似した研究を手がけながらも発明者としての名誉を譲ることとなったイギリスのウィリアム・ヘンリー・フォックス・トルボットによって、写真集『自然の鉛筆』が出版された。この世界初の写真集は、1844年から46年にかけて分冊形式で出版され、ページにはトルボットが発明したカロタイプが直接のりで貼り付けられていた。感光性を与えた銀メッキ銅板を支持体とするダゲールのダゲレオタイプが一度の撮影で1枚のポジしか得られないのに対して、紙に焼き付けるカロタイプのほうは、画像の精度では劣るものの1枚のネガから複数のポジを焼くことができ、工房で量産できるという利点があった。

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