現実の国際社会でも人は数十万で殺される──佐藤優が読む『ゴルゴ13』

(写真/江森康之)

『ゴルゴ13』が扱うテーマというのは、国際情勢の中で実際に起こった事件をモデルにしたものが多い。デューク東郷は確かに超人的なスナイパーですが、このマンガの中で起こっていることは、現実世界でも十分にあり得る話です。例えばチェチェンでは、独立派の大統領が過去に3人も暗殺されている。僕も昔、ある国の高官に「消したいヤツがいたら、殺し屋を紹介してやる」と言われたことがあります。ブダペストに本拠地を置く暗殺請負会社があるらしいんですよ。標的によって値段は違いますが、高くて3000万円、安い人だと30万円で殺せちゃうというんですね。でも、これには裏のメッセージがあって、要するに「佐藤さん、派手に動き回ると殺されるぞ」ということなんですよ。人の命はそんなに高いもんじゃないんだぞと、脅しているわけですね。

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