"映画と娯楽"を超えた芸術 ドキュメンタリー番組の批評性【後編】

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テレビジャーナリズムの限界と放送ビジネス

神保 僕がビデオジャーナリズムを始め、結果的にインターネット放送にまで行き着いたのは、自分が真剣に取材したものを報道する場所が、もはやテレビでは見つからないと考えるに至ったからでした。テレビでは、免許事業であるがゆえに、行政や政治にやたら気を配らなければなりません。民放の場合は、さらにこれにスポンサーが加わります。まるで地雷を踏まないように注意しながら地雷原を歩くような思いをして、番組をつくっているようなところがある。あらためて、是枝さんは、テレビというものをどうとらえていますか?

是枝 僕は今も、「映画監督」と呼ばれるよりも、「テレビディレクター」のほうがシックリくるんです。友人のテレビディレクターに「日本の民主主義にとっては、映画よりもテレビのほうが大事なんだ」と言う人がいて、こういう人間がテレビにかかわってくれているのはありがたいし、今の体たらくを考えると、なんとかしなければと思います。映画界もひどいけれど、テレビはそれ以上に危ない。制作会社のディレクターができることは限られていますが、責任を感じています。

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