──「来年、デビュー10周年を迎える頃には、トップの座に君臨している可能性もあるでしょうね」。本誌08年11月号、『嵐、SMAP超えなるか』特集で、"ジャニーズに詳しい記者"は、当時の嵐の勢いをこう評した。1年後、その予測は間違っていなかったと思うほど、ドラマに音楽にバラエティに、嵐の活躍には目を見張るものがある──。
↑画像をクリックすると拡大します本誌ではおなじみのジャニーズ事務所において、今、嵐の勢いが凄まじい。今年8月に発売されたベストアルバム『All the BEST! 1999-2009』がわずか5週目で124万枚の売り上げに達し、年間セールストップを記録。また、テレビでは、秋クールから大野智の『0号室の客』(フジ)、相葉雅紀の『マイガール』(テレ朝)が放送開始。ドラマ以外でも『VS嵐』(フジ)で初ゴールデン、11月には日テレの各番組に1週間で50時間出演する『嵐CHALLENGE WEEK』という企画が予定されているなど、まさしく飛ぶ鳥を落とす勢いだ。
「今現在はジャニーズ全体が低迷しているため、事務所はコンサートの動員力やCDセールスが飛び抜けている嵐を一番大切にしている。マスコミへのプッシュも気合が入っていて、初日7万人を動員した10周年記念コンサートのときには、デビュー以降、世話になったマスコミ関係者全員を招待するという異例の対応。あまりの人数の多さのため、『関係者席だけで国立競技場が埋まるのでは』と、もっぱらでしたよ」(スポーツ紙芸能記者)
嵐のブレイクについて、音楽評論家の湯浅学氏はアイドルの多角化とその対応力が大きく関係していると語る。
↑画像をクリックすると拡大します「ジャニーズのグループセールスには3つの転換点がある。まず、フォーリーブスが活躍していた1960〜70年代、孤児の豊川誕や子役出身の江木俊夫というそれまでのアイドル像にない要素を取り入れたり、寺山修司が作詞を提供するなど、アイドル界の中ではカルト的な存在だった。そこにアイドルファンが感じる違和感をうまく時代とリンクさせることで成功を収めたわけです。
その後、豊川を筆頭にソロ活動に移行して低迷するも、80年代はグループという本来の手法に回帰して、たのきんトリオで復活。そして、シブがき隊、少年隊、光GENJIと続き、男性アイドルグループというジャンルを確立させていく。そして、アイドルが頭打ちになる90年代後半になると、SMAPをバラエティ番組や司会者など、いろいろなメディアにバラ売りして、多角的な手法に変化していった。時代ごとの変化にうまく対応して作り上げてきたジャニーズのノウハウは、いまや男性アイドルグループに限らず、芸能界や歌謡界の主流になっている」
こうした背景を持つジャニーズの中でも、嵐は特に象徴的だという。
「アイドルの多角化が浸透したことで、彼らに求められる才能やポジションは曖昧になっているわけだけど、それを最も顕著に体現しているのが嵐。歌手、俳優、タレント、キャスターなど、なんでも器用にこなしている半面、そのどれにも徹底的に比重を置いていないように思える。ジャニーズが築いた『なんでもできるアイドル』の中で、高いアベレージを誇っている嵐のブレイクは必然でしょう」(湯浅氏)
昨今、アイドルへのニーズが多様化していることもあり、単一の価値を持たせないことが奏功したということだが、実際、各ジャンルにおける評価はどうなのだろうか? 次ページ以降では、多角的に考察してみたい。(取材・文/百圓雷太、絵/都築潤)
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