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連載
「ファンキー・ホモ・サピエンス」【56】

【6ix9ine】SoundCloudRapの果て――6ix9ineら厄介者 Pt.1

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『Day69』

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6ix9ine(販売元:Interscope)

ミーゴスのように「静寂と洗練の極み」みたいなトラック上でオートチューン節を披露するラッパーも多い今のシーンだが、リル・パンプのように00年前後のサウス・ラップを連想させるような不穏系の曲調を得意とする若者たちもままいる。6ix9ineもそうだ。ただし、こいつにNワードを連発する資格があるのかどうか。


 ヘアカラー経験ゼロの私に、艶やかな驚きと目の保養を提供し続けてきたのがBIGBANGだ。

 金髪、銀髪。白。ピンク。オレンジ。赤。緑。初音ミク色などなど。それらのヘアカラーをひとりで凝縮したような人物が米ヒップホップ界に出現しようとは……時代も変わったものだなあ。その男は6ix9ine(シックスナイン)というラッパー。デビュー・ミックステープが2月末に出たばかりの若造だが、彼らのような世代が今のヒップホップのムードを代表しているのも事実なのだ。

 黒人漫談愛好癖ゆえに何度も見返すのが、黒人コメディアン4人のオンステージを収めたスパイク・リー監督の『キング・オブ・コメディ』(00年)だ。その中に、印象的な客いじり場面がある。

 客席に、ちょいとルーサー・ヴァンドロス的な外見の男性1名。その脱色金髪に目を留めたコメディアン(D・L・ヒューリー)が、「漂白剤で頭を殴られたのか?」と、からかうのだ。それほどに彼は浮いていた。髪の毛を染めた男性という存在は、その時期のアフリカン・アメリカン社会で異彩を放つものだった、ということだ。

 ところが、今ではどうだろう。

 現在のUSヒップホップ界の中核は間違いなくミーゴスだが、彼ら(23~26歳)より下の世代は、「染めた髪の毛にビーズをつけて編む」が基本モードだ。そして顔面タトゥーの数々。「今や、25歳以下のラッパーで顔に刺青がないほうが珍しい」と言えるほど、標準装備となった感がある。顔にタトゥーを入れ始めたリル・ウェインに驚いていた自分が、もはや遠い記憶だ。

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