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小原真史の「写真時評」【115】

動物の生殺与奪(上)

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――過去から見る現在、写真による時事批評

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ラスコー洞窟の壁画に描かれたオーロックス。(写真:DeAgostini/Getty Images)

人間の活動によって絶滅に追いやられた動物のリスト――ドードー、ニホンオオカミ、タスマニアタイガー(フクロオオカミ)、テイオウキツツキ、ブカルド、リョコウバト――は、今なお更新され続けている。1930年代に絶滅したフクロオオカミや、1914年に最後の一羽がシンシナティ動物園で死んだリョコウバトなどは、幸いにも写真が残されている。しかしながら、ある程度短い露光時間で撮影が可能になる19世紀後半以前に絶滅してしまった動物の姿は、剥製や骨格標本、絵などによって在りし日の姿を想像するほかない。こうした絶滅動物の再生は、映画『ジュラシック・パーク』シリーズでなじみのある話だろうが、実は戦前から試みられてきたことだった。

ベルリン動物園の園長であったルッツ・ヘック(3枚目)と弟のハインツ・ヘックは、1880年に絶滅したとされる野生馬ターパン(5枚目)や、1627年にポーランドにいた最後の一頭の死亡が確認されたオーロックス(2枚目)を復元させようと試みたことで知られている。オーロックスは、かつてユーラシア大陸の広範囲とアフリカ大陸の北部に分布していた大型の牛で、狩猟や家畜化に伴う病気の蔓延などで数を減らしたといわれている。

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1937年に撮影されたベルリン動物園のオーロックスらしき動物「ヘック・キャトル」。(写真:Getty Images)

ヘック兄弟は、ベルリンとミュンヘンの動物園で、現存するウシの中でオーロックスに近い特徴を持つもの同士を交配させ、1932年にはそれらしきものをつくりだすことに成功したが、その動物は実際のオーロックスと比べて小柄で、角の形も異なっていた。この牛はルッツ・ヘックの名をとって「ヘック・キャトル」(4枚目)と呼ばれ、今でもドイツの動物園などで飼われている。

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