サイゾーpremium  > 連載  > 大石始の「マツリ・フューチャリズム」  > 大石始のマツリ・フューチャリズム【36】/【生殖器崇拝】と一般認識の深き溝
連載
大石始のマツリ・フューチャリズム【36】

「かなまら祭り」から見える異文化への視線――生殖器崇拝と一般認識の深き溝

+お気に入りに追加

――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

1906_MF_06_PH_1c_230.jpg
今や開催されるたびに、良い意味でも卑猥な意味でもネットニュースで話題となる「かなまら祭り」。インスタ女子の格好の狩場ともなっている。(写真/大石慶子)

 沿道を埋め尽くす観衆たちの視線の先には、巨大な男根を載せた数台の神輿が、ゆっさゆさと揺さぶられている。中にはショッキングピンクの男根が載った神輿もあり、こちらは女装した男たちが楽しそうに担いでいる。このような生殖器を崇拝する祭りは日本各地で行われており、それだけでは目を見張るほど風変わりな光景というわけではない。むしろ特殊なのは沿道のほうで、観衆の半数を占めているのは外国人観光客。アジア系だけでなく、英語圏やスペイン語圏からやってきた観光客も多く、それも「ショッピングのついでにふらりと寄ってみました」といった家族連れではなく、明らかにこの祭り目当てに日本にやってきたという、気合の入ったタイプばかりだ。誰もが男根を模ったキャンディをナメながら、うれしそうに男根神輿の写真を撮っている。

 これは毎年4月の第1日曜日、神奈川県川崎市の金山神社で行われている「かなまら祭り」のワンシーンである。筆者は仕事柄、日本各地の祭りに足を運んでいるが、「かなまら祭り」ほど外国人観光客の多い祭りをあまり見たことがない。

「かなまら祭り」とは、川崎区・若宮八幡宮の境内に鎮座している金山神社(通称「かなまら様」)の祭り。金山(かなやま)が「かなまら」という言葉と似ている連想などから、性病除けや商売繁盛の神様として信奉されてきた。1960年代には土着的な男根信仰が海外の民俗学者たちの間で注目を集め、そのことをきっかけに宮司が信仰集団である「かなまら講」を組織。78年には江戸時代に行われていた「地べた祭り」を復活させ、のちに男根神輿などを採り入れながら、現在の祭りの形が完成した。また、80年代末には東京・浅草の老舗女装サロン「エリザベス会館」監修のもと、ピンク色の「エリザベス神輿」が登場。日本で初めてエイズ患者が確認され、社会問題化していた時期だけに、エイズ除けを祈願するものでもあったという。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2021年5月号

新タブー大全'21

新タブー大全'21

「小川淳也」政治とコロナと与野党を語る

「小川淳也」政治とコロナと与野党を語る
    • 【小川淳也】政治とコロナと与野党を語る

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【都丸紗也華】ボブ、マジ楽なんです。
    • 【アレンジレシピ】の世界
    • 【愛】という名のもとに
    • なぜ【AI×倫理】が必要なのか
    • 【萱野稔人】人間の知性と言葉の関係
    • 【スポンサー】ありきの密な祭り
    • 【地球に優しい】企業が誕生
    • 【丸屋九兵衛】メーガン妃を語る
    • 【町山智浩】「ノマドランド」ノマドの希望と絶望
    • 【総務省スキャンダル】と政府の放送免許付与
    • 【般若】が語った適当論
    • 【小原真史】の「写真時評」
    • 【田澤健一郎】“かなわぬ恋”に泣いた【ゲイのスプリンター】
    • 【笹 公人】「念力事報」呪われたオリンピック
    • 【澤田晃宏】鳥栖のベトナム人とネパール人
    • 【AmamiyaMaako】イメージは細かく具体的に!
    • 【稲田豊史】「大奥」SF大河が示した現実
    • 【辛酸なめ子】の「佳子様偏愛採取録」
    • 伝説のワイナリーの名を冠す【新文化発信地】
    • 【更科修一郎】幽霊、ラジオスターとイキリオタク。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』