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大石始のマツリ・フューチャリズム【36】

「かなまら祭り」から見える異文化への視線――生殖器崇拝と一般認識の深き溝

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――21世紀型盆踊り・マツリの現在をあらゆる角度から紐解く!

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今や開催されるたびに、良い意味でも卑猥な意味でもネットニュースで話題となる「かなまら祭り」。インスタ女子の格好の狩場ともなっている。(写真/大石慶子)

 沿道を埋め尽くす観衆たちの視線の先には、巨大な男根を載せた数台の神輿が、ゆっさゆさと揺さぶられている。中にはショッキングピンクの男根が載った神輿もあり、こちらは女装した男たちが楽しそうに担いでいる。このような生殖器を崇拝する祭りは日本各地で行われており、それだけでは目を見張るほど風変わりな光景というわけではない。むしろ特殊なのは沿道のほうで、観衆の半数を占めているのは外国人観光客。アジア系だけでなく、英語圏やスペイン語圏からやってきた観光客も多く、それも「ショッピングのついでにふらりと寄ってみました」といった家族連れではなく、明らかにこの祭り目当てに日本にやってきたという、気合の入ったタイプばかりだ。誰もが男根を模ったキャンディをナメながら、うれしそうに男根神輿の写真を撮っている。

 これは毎年4月の第1日曜日、神奈川県川崎市の金山神社で行われている「かなまら祭り」のワンシーンである。筆者は仕事柄、日本各地の祭りに足を運んでいるが、「かなまら祭り」ほど外国人観光客の多い祭りをあまり見たことがない。

「かなまら祭り」とは、川崎区・若宮八幡宮の境内に鎮座している金山神社(通称「かなまら様」)の祭り。金山(かなやま)が「かなまら」という言葉と似ている連想などから、性病除けや商売繁盛の神様として信奉されてきた。1960年代には土着的な男根信仰が海外の民俗学者たちの間で注目を集め、そのことをきっかけに宮司が信仰集団である「かなまら講」を組織。78年には江戸時代に行われていた「地べた祭り」を復活させ、のちに男根神輿などを採り入れながら、現在の祭りの形が完成した。また、80年代末には東京・浅草の老舗女装サロン「エリザベス会館」監修のもと、ピンク色の「エリザベス神輿」が登場。日本で初めてエイズ患者が確認され、社会問題化していた時期だけに、エイズ除けを祈願するものでもあったという。

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