サイゾーpremium  > 連載  > 小原真史の「写真時評 ~モンタージュ 過去×現在~」  > 小原真史の「写真時評」/焼け跡のツーリズム(上)
連載
写真時評~モンタージュ 現在×過去~

焼け跡のツーリズム(上)

+お気に入りに追加
1809_P116-119_img002_520.jpg
『東京 一九四五年・秋(TOKYO FALL OF 1945)』の中面より

 1945年の敗戦に伴い、戦中に対外宣伝を担っていたさまざまな組織が再出発を余儀なくされた。対外宣伝グラフ誌の「FRONT」を発行していた出版社・東方社もそれまでの制作物や資料などを焼却し、同年11月には、文化社と改称した。財閥からの出資と陸軍参謀本部の後ろ盾により41年に設立された東方社には、木村伊兵衛や林重男、菊池俊吉といったカメラマンやデザイナーの原弘が所属したほか、評論家の林達夫やフランス文学者の中島健蔵のような知識人も参画していたが、こうした人材や彼らの技術がそのまま文化社にも引き継がれたのだ。

 さて、その文化社の1冊目の出版物は、46年2月に原の企画と構成で出版された写真絵本『PICTORIAL ALPHABET――児童ABC絵本』である。敗戦直後に発売され、戦後初のベストセラーとなった『日米会話手帳』(誠文堂新光社)の「二匹目のドジョウ」を狙ったものだったのだろう。本書は写真の挿絵付きで、かつての「敵性語」を学ぶことができるという代物で、例えば「C(スィー)」なら名古屋城天守閣の写真に「castle(カースル)」というふうに綴りとカタカナの読みが添えられる形だ。名古屋城は、45年5月の名古屋大空襲で焼失しているため、このページの挿絵になっている写真は、東方社の前身・中央工房時代に撮りためられた観光宣伝用の写真ストックからの使用に違いない。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2019年4月号

禁じられたSEX論

禁じられたSEX論

マニアックすぎる業界(裏)マンガ

マニアックすぎる業界(裏)マンガ
    • 【西島大介】がサイゾーマンガ特集を解説
    • 【田中圭一】SNS時代のマンガ編集者へ
    • 【中西やすひろ】お色気コメディマンガの今
    • 【西島大介】がサイゾーマンガ特集を解説
    • 【浦田カズヒロ】連載したのに単行本が出ない!
    • 【大橋裕之】ウマくてヤバい「グルメ 川崎」
    • 【見ル野栄司】スナックに現れるヤバい怪人
    • 【熊田プウ助】ゲイのハッテン場リアル放浪記

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 【永尾まりや】肉じゃがが得意なんです。
    • 【遠山茜子】No.1ギャルと呼ばれる苦悩
    • 【AK-69】が語るヒップホップドリーム
    • 【電子たばこ】は身体に悪いのか?
    • 祝TBS退社!【いつも宇垣に恋してるッ】
    • 【メイカーの伝道師】が語る日本人が目指すべき道
    • 高須基仁/【ツイッター】下品さに喝
    • 【エイプリルフール】という祭り
    • 日本のスーパーが【アリババ】に制圧される日
    • 町山智浩/【ビリーブ】アメリカの未来を担う女性最高判事
    • 【勤勉さで経済大国に】という日本人の誤認
    • 小原真史の「写真時評」
    • 五所純子の「ドラッグ・フェミニズム」
    • 笹 公人「念力事報」/ちえみリボーン
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ研究所」
    • 稲田豊史/【失恋ショコラティエ】で女たちは"第二希望"を受け入れた
    • 世界でファンを増やし続ける【SHIBARI】とは?
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 【琉球】でビールを造る老舗酒販店の3代目
    • 伊藤文學/【薔薇族】万引きで自殺した少年
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』