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写真時評~モンタージュ 現在×過去~

焼け跡のツーリズム(上)

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『東京 一九四五年・秋(TOKYO FALL OF 1945)』の中面より

 1945年の敗戦に伴い、戦中に対外宣伝を担っていたさまざまな組織が再出発を余儀なくされた。対外宣伝グラフ誌の「FRONT」を発行していた出版社・東方社もそれまでの制作物や資料などを焼却し、同年11月には、文化社と改称した。財閥からの出資と陸軍参謀本部の後ろ盾により41年に設立された東方社には、木村伊兵衛や林重男、菊池俊吉といったカメラマンやデザイナーの原弘が所属したほか、評論家の林達夫やフランス文学者の中島健蔵のような知識人も参画していたが、こうした人材や彼らの技術がそのまま文化社にも引き継がれたのだ。

 さて、その文化社の1冊目の出版物は、46年2月に原の企画と構成で出版された写真絵本『PICTORIAL ALPHABET――児童ABC絵本』である。敗戦直後に発売され、戦後初のベストセラーとなった『日米会話手帳』(誠文堂新光社)の「二匹目のドジョウ」を狙ったものだったのだろう。本書は写真の挿絵付きで、かつての「敵性語」を学ぶことができるという代物で、例えば「C(スィー)」なら名古屋城天守閣の写真に「castle(カースル)」というふうに綴りとカタカナの読みが添えられる形だ。名古屋城は、45年5月の名古屋大空襲で焼失しているため、このページの挿絵になっている写真は、東方社の前身・中央工房時代に撮りためられた観光宣伝用の写真ストックからの使用に違いない。

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