サイゾーpremium  > 連載  > 小原真史の「写真時評 ~モンタージュ 過去×現在~」  >  写真時評~モンタージュ 現在×過去~【31】
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写真時評~モンタージュ 現在×過去~

心のふるさとは遠きにありて

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写真右:「ディスカバー・ジャパン」ポスター(1972年/鉄道博物館)、
写真左:「ディスカバー・ジャパン」ポスター(1970年/鉄道博物館)

 1970年から始まる国鉄の広告ディスカバー・ジャパンは、万博閉幕後も継続して旅客確保をするために計画された一大キャンペーンであった。当時、運賃値上げやストライキ、新幹線の騒音などさまざまな問題を抱えていた国鉄は、ネガティヴなイメージを払拭するために、電通のプロデューサー・藤岡和賀夫と組んで旅客確保のための全国的なイメージ戦略を展開した。「日本を発見し、自分自身を再発見する」をコンセプトに経済発展の影で失われていく美しい心がテーマとされ、斬新な広告は大きなインパクトを与えた。サブタイトルは、「美しい日本と私」。ポスターには、流行のファッションに身を包んだ女性たちがどことも知れぬ場所を旅している写真が多く採用され、キャッチコピーには「昔をのぞこう」、「海に見つめよう、私を」、「心でたずねます。いなか道」、「旅に出ると 心のふるさとがふえます」などといった言葉が並んだ。コピーや写真によって旅の行き先が明記されないことがディスカバー・ジャパンの特徴であったが、「目を閉じて……何を見よう」ともなると、ほとんど脳内旅行の様相を呈してくるだろう。まなざしの対象ではなく、”私”の内面に重きが置かれ、旅先での出会いは曖昧に回避される。

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