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第1特集
ストリーミングサービスは音楽不況の救世主か死神か……【1】

Spotifyは"救世主"とならず! 旧態依然の音楽業界がストリーミングを嫌忌する理由

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――音楽業界不況が続くなか、新たなサービスとして認知を広げる定額制音楽ストリーミングサービス。延期に延期を重ね、ようやく6月にサービスが開始されると報道されたSpotifyをはじめ、世界的に“音楽大国”として知られる我が国日本は、その波を乗りこなすことができるのか!?

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(絵/笹部紀成)

 インターネットの普及と共に国内の音楽不況は年々進行し、年間の音楽ソフトの売り上げは、6000億円を超えていた98年のピークから、09年以降はその半分を割り、微減を辿っている。日本レコード協会の統計によると、昨年度の国内音楽ソフト(CD・DVD・アナログなど)の売り上げは約2700億円、配信サービス(デジタルダウンロード・着うたなど)が約417億円。全体では前年比16・7%減、総売り上げの87%を誇るフィジカル(CDやDVDなどのパッケージメディア)部門では13%減、伸びが期待されていた配信サービスは23%減と、もはや八方塞がりの状態だ。

 そんな状況下、近年話題となっているのが、サブスクリプション型(定額制)ストリーミングサービスだ。世界中で急速にシェアを拡大しているこの新サービスは、日本でも唯一前年比から5倍近くの売り上げ増を記録している。多くのサービスが月額約1000円の有料会員、ないしは無料会員(ただし広告表示や機能制限がある)登録をすることで、洋邦問わず数千万曲が聴き放題となる。

 主な有力サービスとしては、Pandora、Spotify、Deezerなどが広く知られており、近年ではアップルのiTunes RadioやGoogle Play Music All Accessなどの大手企業も同様のサービスをスタート。さらにAmazonも参入が噂されるなど、各社がしのぎを削っている状態だ。

 現在、これらの海外発のサービスはまだ日本で開始されていないが、今年6月にSpotifyが正式に日本上陸と報道され、「これで日本の音楽市場が変わる」といった積極的な意見や、「フィジカルの売り上げがまた落ちる」といった消極的な意見など、音楽業界ではちょっとした騒ぎとなっている。果たしてSpotify上陸は、日本の音楽業界の活性化につながるのか? メジャー/インディーレーベル関係者や音楽ライター、アーティスト・マネジメントなどへの取材を通して、現在の業界の体質やストリーミングサービスへの期待など、建前ではない”日本の音楽業界の本音”を探っていきたい。

ストリーミングは業界救世主となるか?

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ウェブ、Android/iOSともにインターフェイスが優れているSpotify。日本でのサービス開始は間もなく。

「ストリーミングサービスは、いま海外でもっとも伸びている音楽ビジネスモデル。提供される楽曲も多く、ストリーミング再生に待ち時間もなくストレスフリーです。わかりやすくいえば、“iTunesで販売されている音楽が聴き放題になった”という感覚に近く、配信サイトから有料で楽曲を購入したり、ネットで違法ファイルを探すことが煩わしく感じてしまうほど。ヘビーな音楽ユーザーなら劇的に音楽ライフは変わると思います。でも、これはあくまで海外版のサービスであって、日本版がどうなるかは未知数です」(ストリーミングサービスに詳しいDJ/音楽ライターのYANATAKE氏)

 “無料”という言葉から、多くの人はYouTubeを思い浮かべるだろう。現在では違法ダウンロードを含め、あらゆる手段で音楽を“タダ”で入手できる時代だが、それでもSpotifyは日々、有料会員を増やし、着々と収益を伸ばしている。

「Spotifyは、いわゆる“正規”の音楽鑑賞法。再生数に応じたロイヤリティがアーティストとレーベルに支払われる仕組みで、実際にSpotifyは、海賊盤や違法ダウンロードファイルの撲滅を掲げています」(YANATAKE氏)

 Spotifyはヨーロッパやアメリカを中心にシェアを拡大し(現在アクティブユーザー数は約3000万人、有料会員数は600万人を突破)、世界50カ国以上で展開しているストリーミングサービスの大手だ。一方、国内発で展開されている定額制ストリーミングサービスでは、Music Unlimited(ソニーエンターテインメントネットワーク)やKKBOX(KKBOX JAPAN)、レコチョクBestなどが始まっているが、一般層に浸透しているとは言い難い。Spotifyをはじめ、ストリーミングサービスへの印象をメジャーレーベル・マネジメント関係者はこう語る。

「正直、ストリーミングサービスが即座に流行ることはないと思います。そもそもMusic Unlimitedは、ソニー・ミュージックで働いているスタッフすらどんなサービスか知らない現状です。CDなどを現物で購入する熱心な音楽ファンにとってみたら、Spotifyのようなサービスは魅力的かもしれませんが、今もなおCDを売りたいメジャーレーベルにとったら、どの程度利益が出るのか手探りの状態。これからはCDを売っていくだけでなく、デジタル販売の強化やストリーミングサービスへの参加で、どう利益を上げていくかが問われます」(メジャーレーベル関係者)

「Spotifyが注目されているのは、サービス開始と同時に、日本向けにどれだけの楽曲が揃っているか。iTunesが日本で配信サービスを開始した05年、ソニーだけがかたくなに参加を拒絶して業界の足を引っ張っていたように【編註:ソニー・ミュージックの配信開始は12年】、今回のSpotifyのサービスが日本だけ極端に遅れているのは、ソニーが原因なのではないか、ともっぱらの噂です。ソニーは競合するMusic Unlimitedがあるので、慎重にならざるを得ないんです」(アーティストマネジメント関係者)

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