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第1特集
ゲームミュージックとアーティストの関係性【1】

クソゲーでも、音楽だけは素晴らしい! ゲーム音楽とアーティストの意外なフュージョン列伝

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――歌謡曲からダンスミュージックまで、洋邦問わずあらゆるアーティストがゲームのために楽曲を書き下ろしてきたことは、広く知られた事実。ゲームの世界観をより一層際立たせてきたのは、紛れもないそんなゲーム音楽たちだ。ここではゲーム音楽の歴史を学びつつ、素晴らしき融合で生まれ落ちた名作と、すったもんだの迷作を振り返っていこう。

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(絵/沖 真秀)

「交響曲第1番《HIROSHIMA》」はゴーストライターの作曲によるものだったとして、マスコミを騒がせた佐村河内守が記者会見を終えた3月7日。彼が手がけたアクションゲーム『鬼武者』(カプコン)の音楽も、実は影武者によるものだったのではないかと疑われた。しかし、鬼武者だろうが影武者だろうが、ゲームミュージックは、いまやゲームの質を向上させる重要なファクターとなっている。本稿では、そんなゲーム音楽史を紐解きながら、アーティストとの関係性に迫ってみたい。

ゲームミュージックと聞いたら、『スーパーマリオブラザーズ』(任天堂)のステージ音楽や、『ファイナルファンタジー』(スクウェア)シリーズの音楽の大半を手がける植松伸夫、『ドラゴンクエスト』(エニックス)シリーズのすぎやまこういちなど、ファミコン時代から語り継がれる印象的なサウンドをイメージするかもしれない。しかし、90年代に入ると従来のファミコンカセットに代わるメディア(ROMカートリッジからCD-ROMへ、また販促物であるサウンドトラックなど)の登場により、これまでの機械的なファミコン音源に縛られない、多彩な音色のゲームミュージックが登場するようになった。『パラッパラッパー』(ソニー)や『beatmania』(コナミ)など、いわゆる音ゲーと呼ばれるジャンルが確立したのもこの時代で、音質が向上していくと共に楽曲にもクオリティが求められるようになった。

 そして、ゲーム音楽専門の作曲家や製作裏方の手による楽曲のみならず、次第にアーティストの起用も増えていく。坂本龍一の『天外魔境』(ハドソン)や『聖剣伝説4』(スクウェア・エニックス)、宇多田ヒカルの『キングダムハーツ』(スクウェア)などが著名なところで、いわゆるゲーム本編で流れる主題歌やBGMをゲームのために書き下ろしたものだ。

 近年では、『龍が如く5 夢、叶えし者』(セガ)の氷室京介、『バイオハザードリベレーションズアンベールド』(カプコン)のDragon Ashもその一例といえる。さらには、書き下ろしではなく販促物(ゲーム本編では使用されない純粋な音楽作品)として発売される作品もあり、12年には生誕25周年を迎えた『ファイナルファンタジー』のトリビュート・アルバムに東京スカパラダイスオーケストラが参加したことが話題となった。

 しかし、音楽そのものが高評価を得ても、必ずしもゲーム本体の直接的な売り上げには結びつかず、クソゲーの烙印を押される作品があるのも事実だ。『アンリミテッド:サガ』や『ファイナルファンタジー13』といったスクウェア作品に顕著だが、その逆も然り。『サウザンドアームズ』(アトラス)の浜崎あゆみ、『ロックマンX4』(カプコン)の仲間由紀恵など、ゲームの世界観を踏襲しないタイアップ臭のする楽曲には、ゲームユーザーから厳しい評価が下されることもしばしば。『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』(セガ)の主題歌を担当したDREAMS COME TRUEも同類と見なされそうだが、91年の初作、翌年第二弾のソニックのBGMを中村正人が担当していた経緯もあり、ゲーマーたちからは手厚く歓迎された。そして時代を経て、ドイツのテクノ・アーティスト、マイク・ヴァン・ダイクが『攻殻機動隊』(ソニー)や『リッジレーサーV』(ナムコ)に、アメリカ西海岸を代表するラッパー、スヌープ・ドッグが『鉄拳タッグトーナメント2』に楽曲を提供するなど、いまやゲームミュージックは国境の壁も越えるようになった。

 フランスのエレクトロ・ミュージックのクリエイターであるサーキンは、「日本のレトロゲームが大好きで、特に任天堂作品はゲーム性だけじゃなく音楽も素晴らしい」と語っている。任天堂ブランドが海外のDJやクリエイター間でどれほどの人気があるのかは、米ダンスミュージック配信サイトBeatportでMarioで検索をかければ一目瞭然だ。

 同じく任天堂作品では『ゼルダの伝説』も人気が高く、こちらの記事のレビューでも紹介しているゼッドの楽曲をはじめ、ゼルダのテーマ曲を用いたサンプリングやリミックス作品は多数存在するが、これらの大半は非公式(メーカーの許諾を取っていない海賊盤)作品である。過去に、マリオ音源を無許可で引用し、販売に至ったココ・ブラヴァスの楽曲が販売停止となったこともあるが、ゼッドのように営利目的ではない(ネットにアップしているだけ)一種のオマージュとも取れる作品には、メーカー側も好意的な姿勢を見せるケースがある。

 インターネットの普及や、PCの高性能化によるDTM環境の変化・発達で、クリエイターたちによるゲーム音楽の意匠作品は一気に増えることになるが、最近ではこういった動きがゲームソフト自体の知名度を上げる一種の広報活動として作用するケースも多い。SoundCloudなどの音楽SNSの登場により、プロ・アマ問わず誰でも気軽に音楽を発表できる昨今、聴き手に対して共感を与えやすいゲーム音楽は、サンプリングやマッシュアップ、リミックスをされてネット上にアップされるが、よほどイメージを損なうもの以外はゲームメーカーも黙認している、ということだ。

 次項では、期待に胸を躍らせながら、コントローラーを握っていた頃を容易に思い返せる名作&迷作を、洋邦共に紹介していきたい。

(文/D-YAMA 秋葉原MOGRA)

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