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第1特集
このゲーム会社に入りたい!入りたくない!【1】

人気はやはり"手厚い"任天堂? 「このゲーム会社で働きたい!」

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――いまや、就職活動を行う新卒の人気企業上位にもランクインするゲーム会社。だがその裏側ではブラック企業さながらの企業体質が指摘されることもしばしば……。そんな中、充実した福利厚生(?)、人間関係の良さ(??)、やりがいが持てる(???)と評判の“働きたい会社”を関係者に聞いてみた。

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井上理『任天堂 “驚き”を生む方程式』(日本経済新聞出版社)

 ゲーム業界といえば、コアなゲームファンにとっては憧れの世界ともいえるだろう。だが、実際にその内情をよく知る人にとっては、会社によって千差万別のようだ。そこで今回、編集部が約50人の業界通に「ゲーム業界 入りたい会社・入りたくない会社」を尋ねてみた。まずは羨望の眼差しが向けられる「入りたい会社」から。

 多くの人が名前を挙げたのは、やはりゲーム業界の元祖帝王、任天堂。その最大の理由は、並外れた労働環境の良さにあるようだ。

「あの資金力と開発力があれば、いくらでも好きなことができる。社員に手厚いことも有名で、先代社長の山内溥さんは、不倫に悩んでゲーム作りに支障をきたした社員のために、ポケットマネーで女性との手切れ金として2000万円渡したという伝説も。もちろん信じてはいませんが、それくらい社員を大切にするということでしょう」(40代ゲームライター)

「午後8時45分になると、強制的に会社を出なければならないのが、絶対のルールらしい」(40代ゲームジャーナリスト)

「給料がよく、“任天堂愛”に満ちた社員で集い、慎ましく実直……というイメージ。本社ビルは地味だけど、よくこの環境下で面白いソフトを作れるな、と感心します」(30代ゲームライター)

 任天堂は頑としてソーシャルゲームに背を向けた経営を続け、新ハード「WiiU」の売り上げも不振。3期連続の営業赤字が続いているが、「今は低迷しているといわれるが、任天堂のようなファミリー向けのゲームは必ず生き残る。会社の規模はこれまで通りとはいかなくても、純粋にゲームを作りたい人には憧れの環境であり続けるんじゃないかな」(30代制作プロダクション社員)と、その地位は盤石だと信じる業界人も多い。

 だが、実はその一方で、入りたくない会社に任天堂を挙げた人も多かった。その理由は、「入りたくない会社編」を参考にしてもらうとして、ほかにはどのようなメーカーが挙がっているのだろうか?

 やはり、経営が安定していそうな老舗のメーカーが人気があるのは当然といえば当然か。まずはカプコン。

「一族経営だが、タカビーな感じではなく、いい意味でのファミリー経営を大事にしている。会長はカルフォルニアでワインを作ったりしている、鷹揚でおおらかな人」(経済誌記者)

 続いてはコナミ。「長続きする社員が多い印象で、広報も美人が多い。同じビル内に製作部門も構えているからなのか、技術的な質問やほかの部署への確認事項にも素早く対応してくれて、会社内の人間関係も良さそう。取材に行くといつもおまけやサンプルをくれて、サービス精神が旺盛なので、ゲームを作る人たちも楽しんで仕事をしているのがわかる」(30代ゲーム雑誌関連ライター)

『バイオハザード』『モンハン』シリーズを擁するカプコン、『メタルギアソリッド』『ウイニングイレブン』のコナミなど、人気タイトルを有するこの2つのメーカーに共通するのは、合併が進んだゲーム業界において、独立を保っていること。両者に関しては、これまでの吸収合併したメーカーと比較し、「どうしても合併すると会社は混乱しますから、合併していないというだけでポイントは高い」(20代ゲームライター)という意見も散見できた。

 その一方で、合併した大手メーカーについてもこのような声が。バンダイナムコゲームスは「純粋に自分の意欲を仕事に反映させてくれそう。『アイドルマスター』とか『太鼓の達人』のように、音楽に対して前衛的に取り組む一方で、既存の格ゲーとは一線を画して成功した『鉄拳』や、ファンタジー世界における格ゲーというジャンルを確立した『ソウルキャリバー』など、ゲーム自体も少しひねくれている作品が多いのが好印象」(ゲーム誌編集者)

 スクウェア・エニックスは「有名タイトルを数々保有しつつ、ソーシャルにも積極的に進出していて、いまなお勢いがある。『ドラゴンクエスト』も『ファイナルファンタジー』も好きなタイトルだし、今後どうなっていくのかを社内から見てみたい」(20代モバイル系プロモーター)

 20代の専門誌ライターは、ゲーム会社の社風を判断する上での重要な要素に本社のエントランスの様子を挙げる。

「コナミは、軽く打ち合わせる用の広いスペースと、重要な話をするための個室のほかに、ゲームセンターの一角のようなプレイし放題の部屋があるんです。実際にゲームをしながら話ができるのでわかりやすいし、とにかく楽しい。さらにコナミスポーツが出しているペットボトルや、タダで飲める自販機の飲み物を気前よく出してくれて、会社にいくとワクワクするんです。セガも、もともとゲーセンから始まった会社だけあって、ロビーでゲームし放題。お客さんを待たせている間も楽しませようという気持ちを感じさせてくれて、うれしいですね」

 逆に、エントランスが味気なくてがっかりするのが任天堂だとか。

「京都の本社に行くと、よくわかんない日本画みたいのが飾られているだけで、ファミコンもWiiもマリオも何にもなし。呼ばれたから来たのに、20分くらい待たされて、その間紙コップにお茶一杯で放置される。任天堂ともあろうものが、紙コップですよ」

 意外なところで不評をかこつ任天堂。それに対して、長く任天堂とライバルとして争ったソニー・コンピュータエンタテインメントを入りたい会社に挙げた人も。

「親会社の社長がハワード・ストリンガーさんに変わってからも、プレステの生みの親である久夛良木健氏のカラーが社内にあって、広報もフランクだった。2010年に本社を青山からほかのソニーグループと同じ品川に移したあたりから、お堅いソニー色が強まったが、それでもタカビーな任天堂よりは遥かに好感が持てる」(30代開発会社社員)

 さて、ここまでは大手ソフトメーカーが多かったが、近年急速に台頭したソーシャルゲーム会社に入りたい人もいた。30代オンライン系企業マーケッターは、『パズル&ドラゴンズ』(パズドラ)が大ヒットしたソフトバンク系のメーカー、ガンホーを挙げる。

「やればやるだけ出世ができる。社風も若くて、新陳代謝が早そう。それに加えて、アプリにもかなりの金額を投資しているし、新しい会社なのに安定している」

 任天堂やカプコン、コナミに入りたいという人は、ゲーム会社としての基盤の硬さが魅力のよう。それに対して、老舗はかえって作りたいゲームが作れず、つまらないと感じるのか、新興メーカーを支持する人も。たとえば、ポップなイラストのシミュレーションRPG『サモンナイト』を開発しているフェリステラ。

「大好きなゲーム『サモンナイト』シリーズを手がけているから。せっかくこの業界に入ったのなら、好きなタイトルに関わりたいと思うけど……現実はそううまくいかない(苦笑)」(20代グラフィッカー)

 中には海外メーカーを挙げた人も。『グランド・セフト・オート』などを開発するロックスター・ゲームスは、「日本のゲーム会社と違い、映画やテレビのストーリープロパーがスタッフとして入っていることにより、ゲームを作る側とストーリーを作る側が密接に作業できる環境が整っていることが、作られている作品から伝わってくる」(30代広告代理店)という。

 無論、特定のゲーム会社に所属するだけがクリエーターではない。最後に、安定した収入よりも、自分で自分の仕事をプロデュースできるフリーランスが一番という声を紹介しよう。

「正社員になることによる固定収入は魅力的だが、それよりもフリーランスは自分で稼いだ分イコール収入なので、やりがいがある。しっかりと自分の能力やスキルがあれば、会社員でいるよりも有利な仕事内容や契約を結ぶこともできる。望んだ案件が取れなかった時は、やりたくない仕事を請けざるを得ないが、それも最終的には自分の経験になる。現在うまくいっているので、当面はどこかの会社に所属する予定はありません」(30代3Dグラフィックエンジニア)

 大手メーカーの安定感を取るか、それともゲームクリエーターとしての創作意欲を満たすことが最優先か。もちろんその両方を満たせればいうことはないのだが、目指すゲーム業界人としての理想のあり方の違いによって、入りたいゲーム会社もさまざまに異なってくるようだ。(「入りたくない会社編」へ続く)

(構成/青場はるお)

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