サイゾーpremium  > 特集2  > 【裏社会】との交際から「食問題」までディズニー事件史

──東京ディズニーリゾート(TDR)を運営するオリエンタルランド(OLC)がいかにグレーなバックボーンを持つ企業であるかは前項で軽く触れたが、ここではマスコミ報道で表沙汰になった過去の”事件”を通して、そのヤバさをさらに検証してみたい。

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『図解 ディズニーの経営戦略早わかり』(中経出版)

 ここ10年間で、OLCが最も世間を騒がせた事件といえば、やはり05年5月に発覚した、元暴力団幹部が関与する不動産会社への利益供与疑惑だろう。

 読売新聞のスクープを端緒に広く報じられたこの事件は、広域指定暴力団・松葉会の元最高顧問にして、右翼団体の全国組織「全日本愛国者団体会議」の名誉議長でもあった志賀三郎氏の関連企業「中央興発」に、OLCが本社社屋や別館の清掃業務を全面委託。中央興発はそれを大手ビルメンテナンス会社に丸投げして、年間5000万円近い利益を得ていたというものだ。

 契約が締結された84年9月以降、およそ20年間にもわたって、巨額の費用が“裏社会”へと流れていたとなれば、やはりブラックのそしりを受けてもしかたない。

 とはいえ、そもそもOLCは、浦安沿岸の埋め立てを主な事業とする土地開発会社。広大な土地の利権に群がる面々とも浅からぬ関係にあったことは想像に難くない。

 事実、TDLをめぐって繰り広げられた暗闘の歴史を紐解けば、田中幾太郎著の『東京ディズニーリゾート 暗黒の軌跡』(リベラルタイム出版社)などでも触れられている通り、地元の有力政治家や不動産ブローカーに混じって、児玉誉士夫や笹川良一といった昭和の“黒幕”たちまでゾロゾロ出てくるのだから、何をかいわんや。2代目社長・高橋政知氏でさえ、生前「叩けばいくらでもホコリの出る会社だった」と述懐している。つまりTDLは、とても子どもには聞かせられない金の亡者たちの飽くなき利権争いの上に築かれているわけだ。

 では、95年の社長就任以来、現在もCEOとして辣腕を振るい続けている加賀見俊夫会長の周辺はどうなのか?

 むろん加賀見氏自身は、前出の志賀氏との関係を「面識がある程度」として、その癒着ぶりを言下に否定しているが、OLC創成期から高橋氏の右腕として東奔西走してきた加賀見氏が、裏人脈を含めた高橋氏の遺産を受け継がないとは考えにくい。

 実際、利益供与事件の直後には、OLCがこれまた志賀氏の関連企業である「京三建設工業」とゴルフ場開発会社「酒々井開発」に計3000万円の出資をしていることが発覚。さらに従業員8人の小さな土建業者「頌栄建設」と加賀見氏個人との”特別な関係”や、同氏の親族企業「マルカ商事」への数億円単位のコンスタントな発注など、どうにもキナ臭い疑惑が噴出している。

 これらの疑惑を先頭に立って追及してきた月刊誌「THEMIS」(株式会社テーミス)では、加賀見氏お気に入りの浅草芸者に毎月数百万単位の振り込みがあるといった情報までもが、内部告発者の話として報じられており、これらのすべてが真実なら、夢の国が聞いてあきれる内実だ。

 ほかにもOLCでは、03年8月に部長職にあった社員が部下へのセクハラ騒動で諭旨退職となっていたり、06年3月までの7年間に3億7000万円もの所得隠しがあったことを東京国税局から指摘されたりと、意外なまでに不祥事は頻出。その火種は現在進行形でくすぶっている。

最高益の立役者もやっぱりグレー?

 なお、前項でロイヤリティパーセンテージの低さからOLCが注力していると指摘した“商品・飲食販売収入”のカテゴリーでも、失態が続発している。

 TDRやディズニーアンバサダーホテルなどで販売されていたカップケーキにカビが発生、1600個が回収された04年9月の騒動を皮切りに、05年1月にはTDRで販売したクッキーから再びカビを検出。07年1月にはTDLの「イーストサイド・カフェ」と、TDSの「ニューヨーク・デリ」で賞味期限切れの材料を使用したメニューを提供していたことが発覚。同時期にはネット通販サイト「ディズニー・モール」でも賞味期限切れのクッキーやビスケットが販売された。その後もTDSと提携ホテル内で販売されたクッキー1万9000個には、2年以上も賞味期限が過ぎたチョコレートが混入していたことが次々に露見。改善されるどころか常態化する一方のそのずさんな管理体制は、もはや体質といっていいほどだ。

 そのうえ、今年6月27日付の週刊誌「週刊文春」(文藝春秋)では、『東京ディズニーランドの食品が危ない!』と題した特集記事が掲載され、相次ぐ食材偽装、中国産食品の多用の実態が“問題食品リスト”付きで報じられるなど、本来なら他社に先んじて”食育”を行っていてもおかしくないOLCの企業姿勢にさえ疑問の声が挙がっているのが現状だ。

 こと“食”にまつわるこうした不祥事の数々が、今後も顕在化してくるようなら、OLCが頼みとしてきたTDRのリピーター戦略にも影響を及ぼしかねない。その上、顧客をつかむための年間パスポート購入者情報が流出する事件も起きているなど、必ずしも足元は盤石ではない。民放各局や大手出版社への大量の広告投下と、関係者への優待パスのバラまきというOLCが誇る周到なメディア戦略をもってしても、それらすべてを水際で食い止めるのは容易なことではないだろう。

(文/鈴木長月)

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