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丸屋九兵衛の音楽時事備忘録「ファンキー・ホモ・サピエンス」【2】

伝説の英黒人シンガー復帰 「大福」刺青には理由がある

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人類のナゾは音楽で見えてくる! ブラックミュージック専門サイト「bmr」編集長・丸屋九兵衛が“地・血・痴”でこの世を解きほぐす。

『The Man』/Omar

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(発売元:Pヴァイン・レコード)
御大スティーヴィー・ワンダー63歳が(シャレで)「大きくなったらオマーみたいになりたい」と言ったほど、ミュージシャンに敬愛されるミュージシャン。デビュー当初は多重録音・自己完結型だったが、最近は凄腕セッション奏者たちの参加曲も。90年のデビュー以来23年、路線は不変で円熟味だけが増したまろやかソウルだ。


 いつだったか新宿で、右寄り小市民の皆さんによるデモ(?)に出くわした。彼らが掲げる看板に書かれていたのは、「最近、なんか中国人が多くない?」という文句。ははは、それが決めゼリフだとしたら、日本人のパンチライン能力も落ちたものだな。

 話をシンプルにするために、こう言おう。「日本人よ、君たちが好むと好まざるとにかかわらず、チャイニーズはどこにでもいる」と。今回は、そんな話である。

 先月、7年ぶりのアルバムを発表したジャマイカ系イギリス黒人のアーティストがいる。彼の名はオマー、44歳。90年前後の「アシッド・ジャズ」の時代に頭角を現した、全楽器を自分で演奏する天才肌のシンガー/ミュージシャンだ。UKの人ながら、R&Bの本場アメリカに影響を与えた偉大な存在なのだ……と、ここ二十数年のブラック・ミュージック史を語る上で欠かせない重要人物なのだが、黒人音楽に興味ない人が見た場合、そんなことより彼の見た目が印象に残るに違いない。

 ドレッドロックとモヒカンの折衷のような髪型。黒人には違いないが、どこか不思議な顔立ち。そして決定打は、首の左側に刻まれた「大福」というタトゥーだ。

 なんじゃそりゃ!

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