サイゾーpremium  > 特集2  > 【ポルノデビュー】も!?村上春樹"巨匠化"以前のトホホなお仕事
第2特集
村上春樹"100万部超"の作り方【5】

ポルノレビューから等身大グラビアまで 春樹”巨匠化”以前のトホホなお仕事

+お気に入りに追加

──87年発表の『ノルウェイの森』で巨匠となる以前の春樹は、出たがり出したがりでヘンなポーズのグラビアも全然オッケーだった !?特に日本のメディアには滅多に登場しなくなった今ではすっかり忘れ去られている、イケイケ若手作家時代の春樹に迫る!

1306_haruki_11.jpg

【1】ジャズ喫茶屁理屈コラム
「ジャズ喫茶のマスターになるための18のQ&A」
(海潮社「ジャズランド」75年8月号)

■発言は青臭いが、店長としての大物感はアリ
春樹流のウィットに飛んだQ&Aを展開。「ジャズ喫茶マスターに一番要求される資質は?」という質問に「恐れを知らぬ行動力です」、「一番不要なものは?」には「知性です」と回答。「結婚していた方が得か?」には「この世の中で結婚して得することなど何ひとつないのです」と答えているが、春樹流ジョークか。その後の安西水丸との対談(小学館「GORO」84年2月23日号)で「いまの結婚で十分におもしろかったと思っている」と発言するなど、実際は愛妻家として知られる。


1306_haruki_12.jpg

【2】ロマンポルノ言い訳レビュー
「防衛庁の隣りで、階級闘争的なにっかつポルノを観る。」
(平凡社「太陽」81年4月号)

■新進気鋭作家の調子に乗ってる、あの感じ
にっかつロマンポルノ『OL縄奴隷』評。冒頭から「言い訳がましいようだが、今月とくに性欲がたかまったというわけではなく、日程の都合で偶然こうなってしまった」と言い訳し、「銀行の女子行員という下部労働者を、より下部の労働者である集団就職の青年たちがいたぶる」ことは「階級闘争的」で、「ポルノグラフィティー幻想は中産階級的幻想に通じる」と小難しい論旨にすり替え。行間から「意味不明なところがボクっぽいでしょ?」という声が聞こえるのは気のせいでしょうか。


1306_haruki_13.jpg

【3】龍とのビミョー対談
『ウォーク・ドント・ラン』
(81年、講談社、現在は絶版)

■「絶版」ってことは、そういうことですよね?
村上龍(52年生まれ、76年デビュー)と春樹(49年生まれ、79年デビュー)の対談本。「ぼくだって村上龍氏みたいに書きたいと思うときもあるのよ」「本当にね、心のうちを洗いざらいね、ぶちまけたいと思うときがあるよ、やっぱり。それがなきゃね、小説書く意味はないと思うんだね。(中略)でもそのへんはなんか、性格的なものですね、どうしてもATS【編注:自動列車停止装置】がきいちゃうのね」と春樹。「春樹さんと話してると、自分が、熱と怒りの権化みたいに思えてくるよ」と龍。表向きは互いに敬意を表してるけど雰囲気ビミョーです。


1306_haruki_14.jpg

【4】著作権論考コラム
「ヴィデオの登場は8ミリ・フィルムを追い払った。テープ・デッキの技術革新と貸レコード店がレコード産業をゆるがしている」
(中央公論社「海」82年10月号)

■実名で音楽産業批判は何か不都合でも?
寄稿者は「牧村拓(ひらく)」だが、ファンの間では春樹とが書いたとされる(牧村拓は88年『ダンス・ダンス・ダンス』の登場人物で、MURAKAMI HARUKIのアナグラム)。1ページの評論で、貸レコード店がレコード産業を揺るがしていることについて「メディアは当然変化しつづける。(中略)筋から見れば不思議な事件でもないし、間違った現象でもない」と肯定している。まだ“JASRACに著作権使用料を支払う”といった法整備がなされる前の話である。現代の『1Q84』海賊版電子書籍の販売問題や、自炊代行問題にも通じる、なにげに深い話。


1306_haruki_15.jpg
ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2020年2月号

新しいニッポンのタブー

新しいニッポンのタブー
    • 暴力団だけじゃない【反社】の定義
    • 【山口組分裂】報道の最前線
    • 【嵐】休止後の芸能界にタブーはあるか?
    • 本当の【氷川きよし】論
    • 【社会学者】きーちゃんを苦しめる疑惑フォーマット
    • 【湯山玲子】ミサンドリー時代に合った戦略
    • 【音楽学者】芸能の性別越境を回復する存在に
    • 【丸屋九兵衛】ヒップホップときよしの交差点
    • 【ANARCHY】初期衝動を落とし込んだ映画
    • 【SEEDA】ラッパーの禁忌な生き様を描く
    • 世界の過激な【保守派リーダー】
    • 【元芸人】が政治の世界に進出するワケ
    • 【アナ雪】ステマ問題ほんとの戦犯
    • 時代を先取りする【新・麻薬王】の肖像
    • 【医療観察法】の知られざる実態

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。
    • 小悪魔【川瀬もえ】が脱ぐ

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 表紙/華村あすか「イオンで十分なんです」
    • 【桜田茉央】ミスマガ受賞者の箱入り娘
    • 【AV界】期待の新人セクシー下着
    • 【鈴木ふみ奈】タレントと企業のカンケイ
    • 【増田と鷲見】のラブゲーム
    • 【AI】がインターネットを根底から揺さぶる
    • 【五所純子】「ドラッグ・フェミニズム」
    • 【萱野稔人】"殴り合い"はなぜ人間的なのか
    • 機構影響を受けぬ【雪まつり】
    • 【丸屋九兵衛】キアヌ・リーブスを語る
    • 【町山智浩】「リチャード・ジュエル」FBIとマスコミの欺瞞
    • 【薬物事件】をめぐる刑罰と報道の問題点
    • 小原真史の「写真時評」
    • 笹 公人「念力事報」/ゴーンの大脱出
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/「アナと雪の女王」にモヤる理由
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 大手ビールメーカー出身者が【ブルーパブ】を開業
    • 更科修一郎/幽霊、闘争で情念を語る少年マンガ。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』