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第1特集
不況知らずのケータイ業界はノー天気?【2】

契約者減少なのに利益増のナゼ? auの存在意義

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──番号持ち運び制度(MNP)でずっと勝ち続けてきたはずのau(KDDI)が、最近はすっかり精彩を欠いている。それなのに今期も増益。そのカラクリの裏には、auの迷走が......。

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 2003〜07年までのauは、機能と操作レスポンスが高次元でバランスの取れた魅力的な端末や、FOMAでもたつくドコモを尻目に、ドコモより3年は先んじた通信速度の高速化、広い通話エリアに加えGPSや着うた、パケット定額制の先駆けとなるなど、とにかく「元気」が感じられた。

 しかし、ここ1年ほど、auにかつての勢いはない。さらなる端末の高性能化を狙って07年末から導入された新プラットフォーム(KCP+)以降は端末の操作レスポンスも悪化、デザイン面でもauならではの新しい提案は見られない。au幹部自ら「ワンセグ以降、ケータイに根本的な機能の進化はない」と公言し、最近ではむしろ音楽プレイヤーやスポーツナビゲーションなど、機能を(そしてコストも)絞り込んだコンパクトな端末に、「auの都合」が見て取れるだけだ。

 消費者は正直で、auの元気のなさに比例するかのように、MNPでもライバル他社への流出が増え始めた。ピーク時(06年11月)にはMNPで21万件以上もの契約を他社からもぎ取った同社が、昨年8月にはついに転出が転入を上回る1200件のマイナスを記録。以前はドコモが「草刈り場」と揶揄されたMNPだが、最近ではauが独り負けだ。

 ところがだ。決算を見るとKDDIは今期も増益で6年連続の営業利益更新を達成しそうだというのだから、首をひねってしまう。今期の4〜12月期では前年同期比で9.6%も多い4067億円を記録。「MNPでドコモやソフトバンクに負けているのにどうして?」と思うだろう。

 種明かしをすれば、今年度の端末販売が大幅に落ち込んでいる(前年同期比29%ものマイナス)ため、その分だけ、販売店に支払う手数料(インセンティブ)が大幅に減ったことが理由なのだ。「端末が販売不振で、決算上はむしろ利益が増える」という、なんとも皮肉な結果だ。

 こうした傾向は何もauだけではなく、ドコモ増益の背景にも、昨年以降の前例のないほどの端末販売の落ち込みがある。今や端末メーカーも販売代理店も販売不振で青息吐息だというのに、キャリアだけが莫大な契約数の利用者を抱え込み、むしろ増益という「ケータイビジネスの歪み」が、今期ほど浮き彫りになった年はない。

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1年以内に解約すると5250円のペナルティがかかる「au BOX」。解約防止策の1つだ。

 KDDIはドコモとは違い、ケータイだけでなく固定電話やインターネット接続事業も提供している。その利益の大半は携帯電話事業が稼ぎ出してきたのだが、数年前から同社は「固定網とのシナジー」を強く意識し始めており、最近では携帯電話の買い替えにauショップに出かけても、なぜか同社のインターネット接続サービス「ひかりONE」やIP電話の「メタルプラス電話」をしつこく勧められることが増えてきた。「両方契約したらまとめてオトク」と言われても、こうした抱き合わせ商法は消費者にとって迷惑以外の何ものでもない。かつての同社のスローガン「顧客満足度第一主義」という言葉も空虚に響くだけだ。携帯事業に加えて固定通信網も持っていることは、KDDIにとって強みとなるどころか、むしろ足かせとなっているようにすら感じられる。

 しかし、どれだけ文句を言ったところで、決算がこれだけ好調では、KDDIも今の「自社満足度第一主義」を自己改革することはできないだろう。

 業界2位キャリアのauは、常にドコモをけん制して「違った存在」であり続けなければ、やがて存在意義のない、単なる「土管」に成り下がりかねない。そのときが来てもはたして今の契約数を維持できるかどうか、KDDIはいま一度自問すべきだろう。

(文/三田隆治)
(絵/笹部紀成)


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