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第1特集
ヒップホップにおける老害とは何か?

「ヒップホップは若者の文化」の主意 ANARCHYに問うヒップホップと老害

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――今年、ANARCHYは41歳になる。いまだシーンの最前線を走るアーティストだが、その数字だけを見れば、「おじさん」と思われる年齢かもしれない。では、ヒップホップの文化においてイケてる/イケてないおじさんの差異とは何か? そして老害と認定される言動とは何か──ANARCHYに聞く。

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(写真/cherry chill will.)

ANARCHYが自身のクリエイティブチーム/レーベル〈THE NEVER SURRENDERS〉を掲げてからおよそ1年。昨年末には自ら企画・プロデュースを担ったコンピレーションアルバム『THE NEVER SURRENDERS COMPILATION』をリリースし、これまでのプレイヤーとしてのスキルはもちろん、ディレクションまで手がける裏方的な手腕も見せつけた。なぜ、「令和のおじさん論」特集でANARCHYに白羽の矢を立てたか。その背景は、彼がちょうど1年前にアルバム『NOISE CANCEL』をリリースした本誌でのインタビューまでさかのぼる。彼はそこでこう述べている。

「ヒップホップのカルチャーを意識するようになった。かっこいい若手はいっぱいいるけど、そのカルチャーを僕が伝えていかないと、ヒップホップはまた死んでしまう。(この考えが)もともとあったかどうかはわからない。芽生えてきた、って言うのが正解なんかな」

この発言を「説教くさくなったな、ANARCHY」と受け止めるか、「ANARCHYも大人になったな」と感慨深くなるかは受け手次第だが、それであれば当の本人に心中を問うてみたい──ということだ。なので、あくまで本誌による取材によって発した言葉であって、ANARCHYが自発的に述べた言葉ではない、ということを先に申し上げておきたい。

──早速ですが、今回の取材は「ヒップホップのカルチャーを意識するようになった」という意外な発言が引き金となっているわけですが、改めてプレイヤーとしての動きだけではなく、シーン全体を見渡すこと、カルチャーを意識するようになった理由から教えてください。

ANARCHY(以下、A) 単純に若い世代が盛り上がっているのを見て、自分ができること、伝えること、残すべきものを考えるようになったんですよ。一言で言うなら「大人になった」ってことなんすかね。

──はっきりした数字は出せないと思いますが、「若い世代」「大人」というのは、それぞれどの年代を指してますか?

A 若い世代は10~20代、30歳からは大人っすかね。

──意地の悪い質問で申し訳ないんですが、ANARCHYくんは40代であり、30歳からが「大人」であれば、今はどういう感覚なのでしょうか?

A 僕が30になったとき、「あれ、もっと大人なはずなのにな」って感じてたんですよ。今こうして40代になって、「あれ、40歳ってこんな感じなん?」って気持ちになってる。環境や時代も関係してると思うんですけど、実際は何がそうさせてるのかわからない。不思議っすね。

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