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世界最長のSF小説シリーズ 『宇宙英雄ペリー・ローダン』が続く理由

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――世界最長のスペースオペラ小説シリーズ『宇宙英雄ペリー・ローダン』(早川書房)。その長さゆえに、話題になることはあるが、肝心の中身はあまり知られていない。一体、これはどんな話なのか?

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(写真:Forrest J. Ackerman Collection/CORBIS/Corbis via Getty Images)

「長期連載」と聞くと、どんな作品を思い浮かべるだろうか? 日本では『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(集英社)や『ゴルゴ13』(小学館)を挙げる人が多いかもしれない。共に全200巻を超え、マンガとしては前人未到の金字塔を打ち立てている作品である。しかし、小説の世界ではその数字がかすんでしまうほどの超・長期連載シリーズが存在する。その名も『宇宙英雄ペリー・ローダン』(以下、ローダン)だ。

ローダンはドイツ生まれのSF小説で、1961年に連載が始まった。掲載されているのはヘフト(冊子)という、駅のキオスクで新聞などと一緒に売られている安価な文芸誌だ。ひとつのプロットを複数の作家が共有するという、アメリカンコミックなどでも見られる制作体制のもと、執筆陣の世代交代を繰り返しながら現代まで週刊連載を続けており、これまでの刊行数はなんと3100巻を超える。このことから、本作は「世界で2番目に長い小説シリーズ」とされている。

ここまで長くて「世界2位?」と思うかもしれないが、世界一とされているのは、これまたドイツ生まれの探偵小説『ジェリー・コットン』シリーズだ。同作はローダンよりも7年早く連載を開始し、こちらも同じような製作体制で現代まで連載が続いている。巻数でいうと、ジェリー・コットンとローダンの間には約200巻の差があるというから、感覚が狂ってしまう。

話をローダンに戻そう。本作は、アメリカ人宇宙飛行士のペリー・ローダン少佐が月面で地球外生命体と接触し、その技術を駆使して地球統一を成し遂げ、外宇宙からのさまざまな脅威に立ち向かうという壮大なスペースオペラだ。作品が始まった当初の時代設定は71年だが、ローダンをはじめとする主要登場人物たちは「細胞活性装置」というアイテムのおかげでほぼ不老不死となっており、劇中では数千年に渡って生き続けている。

世代交代を繰り返しながらもストーリーが続いていくさまは、先述した制作体制ともリンクする。本作の邦訳版は、71年より早川書房のハヤカワ文庫SFが発行しているが、こちらも本国ドイツと同様の制作体制が取られており、複数名の訳者によって現在も翻訳が続けられている。今回は、2007年からローダンシリーズに携わっているSF翻訳家の嶋田洋一氏に、その実態について聞いた。

「日本で初めてペリー・ローダンが出たとき、私はまだ中学生でした。もともとSF、特にスペースオペラと呼ばれるジャンルが好きだったため、作品自体は認知していたのですが、『どうせ10冊程度で完結するだろうし、終わってからまとめ読みしよう』と思っていました。ところが、一向に終わる気配がなく、気づいたときには邦訳版も100巻を超えてしまい、手をつけるタイミングを完全に見失ってしまいました(笑)」

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