――『女帝』は膨大な取材に基づく評伝だが、本人に直接話を聞いてはいない。そこで、本人の言い分も知るために過去の著書を見ていこう。
カイロ大卒業証書を初披露
『振り袖、ピラミッドを登る』
講談社/1982年
72年にカイロ大へ入学、76年に卒業試験に合格した際は憧れのピラミッド頂上にて着物姿でお茶をたてた、と語る。扉で初めて卒業証書を披露したが、肝心な部分はベール姿の小池の写真がコラージュされて見えない。
細かい文法や例文はナシ
『3日でおぼえるアラビア語』
学生社/1983年
小池は過去には日本アラブ協会のアラビア語講師を務めたとされ、こんな本も出版している。ただし、「文を書くのはちょっと大変! でも、会話はとってもカンタン!!」とうたう 、細かい文法や例文を省いた会話テキストとなっている。
男社会でサバイブする方法
『おんなの人脈づくり サクセスウーマンのPassport』
太陽企画出版/1985年
政財界などの著名人を招いた『竹村健一の世相講談』(日本テレビ系)でアシスタントを務めた小池。女が男社会で生き抜くには人脈だと言い切り、それを築く具体的方法を披露。
初当選後の政界リポート
『永田町ブロードキャスター』
朝日新聞/1994年
『ワールドビジネスサテライト』(テレビ東京系)のキャスターだったが、92年に細川護熙の日本新党公認で参議院議員に初当選した。その後に始めた「週刊朝日」(朝日新聞出版)での連載「永田町リポート」を再編したもの。
クールビズは自分の手柄!
『小池式コンセプト・ノート プロジェクトは「大義と共感」で決まる!』
ビジネス社/2007年
トルコ風呂改称運動(84年)、環境大臣時代にしゃしゃったクールビズ(05年)など過去の手柄を披露。そして小池式の共感力やマーケティングで、あらゆる問題を解決可能と豪語。
防衛大臣退任の弁明
『女子の本懐 市ヶ谷の55日』
文春新書/2007年
07年、女性初の防衛大臣に就くが、守屋事務次官を独断で更迭し、安倍首相も巻き込む混乱を招くことになり、「女子の本懐」の言葉と共に退任した。その顛末をあくまで自身の目線で描き、「アイ・シャル・リターン」と宣言する。
東京五輪の標語にも
『もったいない日本』
主婦と生活社/2008年
日本には女性力、農業力、環境力、金融力、教育力、シニア力、地域力という優れた力があるにもかかわらず、政治がそれを生かせていないのは「もったいない」と主張する。ちなみに、「もったいない」を東京五輪のスローガンにもした。
エコのために推奨
『ふろしきのココロ』
小学館/2009年
環境大臣時代、環境政策として買い物における風呂敷の活用を推奨した小池。オリジナルデザインの風呂敷をメディアで宣伝し、風呂敷展覧会を主催した後、風呂敷の基礎知識などを解説するこのような本まで出版。
民主党政権時代の提言
『議員と官僚は使いよう』
小学館101新書/2009年
自民党内で無派閥となった小池が、鳩山民主党政権が樹立した後に出版した本。政治家の怠慢と官僚の専横により天下りが生まれてきたとし、政治家は官僚の英知をも利用する仕組みを作らなければならないと持論を展開する。
江古田にある自宅の宣伝
『発電する家「エコだハウス」入門』
プレジデント社/2011年
エコに理解ある政治家としてアピールしてきた小池は2010年、東京・江古田に「エコだハウス」という名の自邸を建てた。3.11の後、その家は節電・防災・温暖化対策が万全な世界一のエコハウスだと主張する本書を出版。
達成されない公約?
『女性が活きる成長戦略のヒントvol.1 20/30プロジェクト。』
プレジデント社/2013年
上場企業取締役の女性比率が1%であることを受け、2020年までにあらゆる分野での女性比率30%を公約にした自民党。編者・小池をはじめ党内の女性がウーマノミクスを論じる。
11日間のことだが……
『自宅で親を看取る 肺がんの母は一服くゆらせ旅立った』
幻冬舎/2014年
父が他界した2013年、母も体調を崩して入院。余命1カ月と知った小池は退院させ、自宅療養を決意。とことん寄り添って最期を看取ったと感動的に語るが、介護したのは11日間。