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丸屋九兵衛の「バンギン・ホモ・サピエンス」【5】

【バンギン・ホモ・サピエンス】クリス、ルハン & タオ――K-POPから中華巨星へ

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人類とは旅する動物である――あの著名人を生み出したファミリーツリーの紆余曲折、ホモ・サピエンスのクレイジージャーニーを追う!

クリス, ルハン & タオ

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(絵/濱口健)

北京出身、現在30歳のルハン。広東省生まれバンクーバー育ち、29歳のクリス。山東省青島出身、27歳のタオ。それぞれ10代末にSM社入りした3人は数年をK-POP界で過ごしてから強引に独立。その突進力に中華的な商魂が感じられる。

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(絵/濱口健)

 去る5月半ば、我々――アマノジャク系K-POPファン、または汎アジア系ポップカルチャー観察者――にとって、予期せぬ朗報があった。あのクリス・ウーとルハンとタオが、ついにステージ上でリユニオンを果たしたのだ! おおおお! ……え、なんのことかわからない? 

〈EXO-M〉というものを聞いたことはないか?

 世界の約20%を占める中華圏は大きく、広く、深い。そのマーケットを狙ったK-POPグループは過去にもいた。東方神起(TVXQ)もそう。だが初期EXOの取り組みはレベルが違う。

 もともとEXOは12人編成。それが6人ずつの2チームに分かれていた。

〈EXO-K〉と〈EXO-M〉だ。2012年、KとMは同じ日に同じ曲が入った同じタイトルのミニアルバムでデビューした。違いは、EXO-Kはそれを韓国語(Korean)で歌い、EXO-Mはそれを北京語(Mandarin)で歌うこと。ただし、Mチームが揃って中華系というわけではない。M組リーダーのクリス・ウー(吳亦凡)は中国系カナダ人。そして、レイ・チャン(張藝興)、ルハン(鹿晗)、タオ(黃子韜)は中国人。だが、残る2人(チェンとシウミン)は北京語話者の韓国人である。

 かくいう私がEXOに惹かれたのは、テディ・ライリーやアンダードッグスらが手がけた曲の素晴らしさ――SMエンタテインメントでもっともR&Bに寄ったグループといえるだろう――という音楽面の完成度と、私も親しんでいる中華圏にめっちゃ注力する戦略面の新鮮さ、その両方からだ。だが、14年5月にクリスが、同年10月にルハンが、翌15年8月にタオが「専属契約無効」を訴えて、次々と離脱。今やEXOに残っている中華系メンバーはレイ・チャンのみとなった。そのレイも現在は中国内での活動がメイン、EXOでは幽霊部員状態に近い。この手のお家騒動は特にSMでよく見聞きするものではあるが、その結果、EXOも「韓国のグループ」になってしまったな、という脱力感はある。

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