2010年にサンダンス映画祭で最初に上映され、第83回米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞にノミネートされたバンクシー初監督映画『イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ』。“ミスター・ブレインウォッシュ”というアーティストをでっち上げたこの映画は、11年に日本でも公開された(3・11の影響を受けて一度延期となったが)。そんな本作や『バンクシー・ダズ・ニューヨーク』(14年、日本公開は16年)といった映画を、映画会社アップリンクと共に配給したのが、昨年リニューアル・オープンした渋谷店が話題にもなったパルコである。
同社はほかにも、『Wall and Piece』(11年)、『BANKSY: YOU ARE AN ACCEPTABLE LEVEL OF THREAT』(13年)、『BANKSY IN NEW YORK』(16年)といった作品集の日本語版を出版。このうち『Wall~』を除く2冊に関しては、鈴木沓子氏と社会学者の毛利嘉孝氏によって翻訳された。
パルコが手がけたこれらの映画や作品集によって、日本でのバンクシー認知は少なからず広まったはずだし、理解を深めた人々もいたことだろう。だが、鈴木氏も指摘しているように、世間一般での知名度が爆発的に上がったのは別のきっかけだったかもしれない。
(編集部)