サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > ハリウッドで存在感を増すアジア系アメリカ人【1】/【アジア系】が逆襲するハリウッド

――今夏、主要キャストがすべてアジア系のハリウッド映画『クレイジー・リッチ!』がアメリカで大ヒット。これは画期的なことだというが、昨今取り沙汰されていたホワイトウォッシング問題とも何か関係があるのか――。同作を取っかかりとして、ハリウッドにおけるアジア系アメリカ人の今を探る!

ホワイトウォッシング批判とは関係ない!?――『クレイジー・リッチ!』は革命的! アジア系が逆襲するハリウッドの画像1
『クレイジー・リッチ!』 
ニューヨークで働くレイチェルは、親友の結婚式に出席する恋人のニックと彼の故郷シンガポールへ向かったが、ニックはシンガポールの不動産王の御曹司であることを知る。ニックの母や家族、親戚には金目当ての交際と思われ、元カノや社交界のセレブ女子から妬まれるなど、レイチェルは苦境に立たされる。全国公開中。配給:ワーナー・ブラザース映画
(C) 2018 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND SK GLOBAL ENTERTAINMENT

 2018年8月、映画『クレイジー・リッチ!』(原題『Crazy Rich Asians』)がアメリカで公開され、大ヒットを記録。9月より日本でも公開されている。同作は、ハリウッドのメジャー・スタジオが配給した映画としては1993年公開の『ジョイ・ラック・クラブ』以来25年ぶりとなる、“主要キャストがアジア系の俳優で占められた、時代物ではない作品”としても注目を浴びた。本稿ではこの『クレイジー・リッチ!』を軸に、ハリウッドにおけるアジア系俳優をめぐる状況について考察する。

 まず、米ロサンゼルス在住の映画ジャーナリスト・猿渡由紀氏は、『クレイジー・リッチ!』が画期的である理由をこのように説明する。

「『クレイジー・リッチ!』はシンガポール出身の作家が書いた同名小説を原作に、台湾系アメリカ人のジョン・M・チュウが監督し、それをワーナー・ブラザースというメジャー・スタジオが配給したことが、まず画期的だったんです。もちろん今までも、05年公開の『SAYURI』や、時代を遡れば80年には『将軍 SHOGUN』といったアジアのエキゾチシズムを描いた作品がヒットしました。しかし、それらは非アジア系の、つまり白人のアメリカ人が書いた時代小説が原作です。それに対して、『クレイジー・リッチ!』はアジア系の人が作った、アジア(シンガポール)を舞台にした現代劇なんです」

 近年、アメリカではアジア系移民の増加に伴い、消費者(この場合は映画の観客)としてのアジア系アメリカ人の存在感が増しているという指摘もある。『クレイジー・リッチ!』は、やはり彼らによって下支えされているのか?

「MPAA(アメリカ映画協会)の調査によると、一般的な映画におけるアジア系の観客の割合は6%程度なのですが、『クレイジー・リッチ!』の場合は、公開して最初の週末の観客の41%がアジア系だったそうです。だから、1週目の数字が跳ねたのはアジア系の人たちが支持したおかげ。ただ、同作は3週連続で興行収入1位を獲得しています。それにはアジア系だけでなく、マジョリティである白人の動員も必要です」(猿渡氏)

 では、同作はなぜアジア系以外のアメリカ人にも刺さったのか?

「原作は13年に出版されて大ベストセラーになっているのですが、お話自体は凡庸です。じゃあ何が面白かったのかというと、アメリカには、身なりは普通なのに恐ろしく金持ちのアジア系の人たちがわりと身近にいるんです。それはいわゆる華僑系の、香港や東南アジアから移民してきた人たちで、『クレイジー・リッチ!』は彼らのことを書いています。それも詳細に。つまり、今まで誰も書かなかった、白人や黒人にとっての“謎の金持ちアジア人”の正体を明らかにしたんです」(同)

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