サイゾーpremium  > 特集  > アダルト  > 【ヤクザ】とエロ産業の関係
第1特集
エロ産業に跋扈するアウトローの正体【1】

かつて裏ビデオに出た姐さん、若い衆もいた!? 売春チラシで年間20億円! エロ産業に絡むヤクザのシノギ

+お気に入りに追加

――ヤクザのシノギといえば、覚せい剤の売買や闇金融などを思い浮かべる向きも多いだろう。だが、風俗やアダルトビデオの販売といったエロ産業にも彼らは深く関わり、時に巨額を稼いでいるという。ここでは、「ヤクザのシノギとしてのエロ」という視点から、その歴史をひもといてみたい。

1607P062-065_photo3.jpg
警視庁が発行する『警察白書』には「売春暴力団」の文字が。

 エロ産業の中でも、裏ビデオ販売や売春など、違法性の高いものになるとチラついてくるのがヤクザの影だ。例えば今年5月には、児童ポルノを含むわいせつなDVDを販売したとして、二代目東組幹部組員ら8人が逮捕、滋賀県警は、DVDなど約20万点を押収している。同月には神戸山口組系暴力団幹部も売春事件で逮捕。逮捕容疑は、昨年9月に高校1年の女子生徒に売春させて得た売上金を、援デリ経営者の男を通じて受け取った……というものだった。

 ただ、このような事件は、まれにニュースで伝わってくるのみ。ヤクザとエロ産業がどれほどの深さでつながっているかの“詳細”は、メディアの報道からは伝わってこないのが現状だ。ヤクザ取材の経験が豊富なスポーツ紙記者も、「その手のシノギの話題は、ヤクザ本人も語りたがらないですね」と話す。

「シノギを成功させるために、接待の時に『好きな女を持って帰っていいぞ』と女を利用して男をたらし込むという話であれば、何度も耳にしたことがあります。また、そのように自由に使える女性を複数抱えていることも、取材を重ねるとわかってきますが、エロ産業に直接事業として関わっているという話は彼らの口からは聞かない。ヤクザのシノギは基本的に法に触れており、さらに女性で金を稼いでいるというのは、建前上、口に出すのがはばかられるのではないでしょうか」(同)

 本稿では、そんなヤクザとエロ産業との関わりを、過去の事件や識者の言葉をもとにひもといてみたい。

 まず、ヤクザとエロ産業の関わりはいつから始まったのかというと、それは江戸時代にまで遡る。ヤクザの歴史に詳しいフリーライターは、次のように語る。

「江戸時代の女衒(ぜげん)と呼ばれる連中は、当時のヤクザ。女を遊女屋に売る周旋業を仕事とする彼らは、東北などの村で親に女の子を売らせて、マージンを取って稼いでいた」

 売春業との関わりは戦後も続く。当時のヤクザは警察やマスコミが使うことで広まった「暴力団」という呼称で呼ばれることになるが、組織的な売春を行う暴力団は「売春暴力団」と呼ばれていた。昭和53年の警察白書では、博徒、テキ屋、会社ゴロ、炭鉱暴力団、港湾暴力団などと並んで、暴力団の分類のひとつとして「売春暴力団」に触れている。

「誰でも知っている広域暴力団の親分は、愚連隊のようなことをしていた若い時期に、スナックで客に女をあてがうパンパン屋をやっていました。また別の組長も、大阪の組で若頭の舎弟をしていた頃、女で食っていたらしい。その組にいた人物が『若い頃は、女に食わしてもらっとったわ』と言っていましたね」(前出・スポーツ紙記者)

 前出のライターも「女性のヒモになることもヤクザのシノギのひとつ」と語る。

「売春している女性のボディガードになったり、性的に喜ばせることで生活するのがヒモですから。アソコに真珠を入れて喜ばせるのも、いわばヤクザの仕事なんですよ。真珠を入れた男と付き合っていた女性は、『入っているからって、別に何が良くなるわけじゃないけど、“いいわね”って言ってあげるしかない』と言っていましたが(笑)。また、名の通った今の時代の親分たちは、自分が直接関わっていたかどうかは別にして、子分たちにやらせる形であれば一度は売春にも手を出していたんじゃないでしょうか」(同)

 木村勝美氏による『シノギ―山口組系組長の錬金術』(イースト・プレス)にも屋台売春経営の話が登場。「いつか自分の店を持ちたい」という女性をスカウトし、組織化した売春を行う話が綴られている。売春は違法行為ではあるが、時にはヤクザと女性の関係は「持ちつ持たれつ」だった。

「女の子が1人で立ちんぼをしていたら何をされるかわからないですし、ヤクザはそれを守る役割も果たしていました。みかじめ料徴収という行為は“シロ”とは言えないですが、人を守り街を守る意味を持っていた時期も確かにあったわけです。今でも関西の都市部では、ガード下に立ってるおばあちゃんが、地元のヤクザと『おばあちゃん、儲かっとるか』『まあまあや』みたいに話をしながら、お金を払っていますよ。東京ではあまり見られない光景ですが、西成区やその周辺などでは同じような光景を最近も目にします。とはいえ、受け取る額は数千円とかですけどね」(前出・ライター)

裏ビデオのダビングでヤクザがボロ儲け

 ヤクザとエロ産業は、このように直接・間接的に売春を通じてつながっていたわけだが、社会の変化とともに新たなシノギも誕生する。まずひとつがアダルトビデオ(AV)関連だ。当時のアダルトビデオ業界に詳しいAV関係者は「裏ビデオの歴史は、表ビデオよりも早かった」と語る。

「もはや伝説となった国産“撮り下ろし”第一号の裏ビデオ『洗濯屋ケンちゃん』が登場したのが82年。それに対し、ビデ倫系AV(モザイクがかかった表ビテオ)は84年ですからね。なおVHSデッキの普及により、粗悪なダビング品の裏ビデオが出回るようになったのは80年代後半。そこにヤクザが関わっていました」

 当時のヤクザは、紙幣を刷るかのごとく裏ビデオを繰り返しダビングし、利益を上げていた。AV関係者は「日本の裏ビデオは、“こすり”(違法にコピーすること)の歴史なんですよ」と語る。

「当時は新宿歌舞伎町に裏ビデオ屋がたくさんありましたが、そこに並んでいた商品は、ほとんどがコピー品。自分たちで制作までしていたケースがどの程度あったのかはわかりませんが、そのビジネスに資金を出しているのはヤクザでしたね。裏ビデオのビジネスの魅力は、何より製造コストが安いこと。ダビング用のデッキがあれば、あとはテープ代しかかからないから、彼らにも簡単な商売だったんだよね。ビニ本や裏本にヤクザが関わっていたという話もあるけど、実際にやっていた人は少ないはず。本を作るのは、ダビングより全然面倒だし、お金もかかるからね」(AV関係者)

 一方で、前出のライターによると、90年代までは、ヤクザが元AV女優や売れないタレントを彼女にして、エロビデオを撮らせることもあったそうだ。

「その当事者の女性から、『兄弟分や子分と無理やりセックスさせられて別れたけど、その後もしつこく迫られて困った』という話も聞きました。当時はヤクザが自ら制作・撮影し、若い衆や姐さん(奥さん)を出演させる裏ビデオもありましたね。変わった性癖を持つ親分のために、子分たちが“流通させられないような虐待”を撮ってプレゼントした……なんてヒドい話も聞いたことがあります」

 また売春ビジネスも、この頃には進化。電話ボックスの張り紙を利用した出張売春が大々的に行われるようになる。93年発売された溝口敦氏の『現代ヤクザのウラ知識―闇社会のシノギ・女・権力、そのすべて!』(宝島社)によると、当時の電話ボックスに貼られた出張売春のビラは、そのほとんどが暴力団の手により作成・配布されたもの。警視庁のデータでは、都内の場合、暴力団は売春業者からビラ1種につき15~25万円を受け取り、年間約20億円の収益を上げていたそうだ。

 また92年発売の別冊宝島『これがシノギや!』(同)では、山口組の元顧問弁護士として知られる山之内幸夫氏が出張売春について寄稿している。山之内氏によると、当時の関西のヤクザが経営に参画していたのは出張売春が主で、あとはまれに遊郭(料亭の看板を掲げて営業する店舗)の経営を行う程度だったそうだ。ソープや遊郭の経営に積極的でなかった理由は「大資本と営業許可がいるものはヤクザに不向きで、遊郭は飲食店の保健許可と旅館づくりの店舗が必要でヤクザに手が出しにくいから」と分析している。なお警察はその当時から、ヤクザの経営する遊郭を真っ先に摘発していたそうで、店舗型の風俗ビジネスに資本投下をすることはリスクが大きかった。そのため、90年代の時点でも、みかじめ料や物品販売で利益を得るケースが大半だったそうだ。ヤクザと店舗型の風俗ビジネスの関係については、現在もみかじめ料の徴収が基本の形となっている。

 そして2000年代に突入する頃にはDVDの普及が始まる。前出のAV関係者によると、01年には国産初の“撮り下ろし”裏DVD『D-MODE』が登場したそうだ。前出のライターも「DVDが登場した頃は、まだ裏作品がヤクザの大きなシノギのひとつだった」と語る。

「『一度に10枚ダビングできる機械を買ったんだよ』とヤクザに自慢されたのを覚えています(笑)。VHSが普及した時期は、ビクターなどの家電メーカーが大儲けしたと言いますし、イスラム社会でもネットカフェが驚くほど早く普及したのは、エロ動画を見たい人が多かったからと聞いています。日進月歩で技術が変わっていく時代にはエロ産業はやはり儲かるもので、そこで儲けようとするのはヤクザも一般企業も変わらないと思いますね」(同)

 一方で、DVDの登場によって、AVメーカーの勢力図も変わっていく。

「00年以前のVHS時代はレンタルが主流でしたし、表ビデオの作り手は映画業界やビニ本制作の出身者が多かった。一方で00年以降のDVD時代はセルが主体になり、ソフト・オン・デマンドやCAグループのようなメーカーが登場。中には、裏本を作っていた会社や海賊版を売っていた会社などがAVメーカーに発展するケースもあり、アンダーグラウンドの人たちがDVDの世界には入ってくるようになりました」(前出・AV関係者)

 そんな中では、ヤクザが自ら裏ビデオを制作する……というケースは、ほとんど聞かなくなったそうだ。

「DVD時代になると、アングラ出身のAVメーカーが自らモザイクなしの作品を作るようなケースも出てきたんです。VHSの時代には、『ヤクザの資金源になっている』という理由でプロダクションの連中がよく捕まっていましたが、DVDの時代になると、それも減りました。警察関係者に話を聞いたら、『今のAVにはヤクザはあまり関わっていないし、未成年が出演しているケース以外はあまり警戒していない』という話でした」(同)

 つまり、VHS時代にはヤクザと関わりのあった裏ビデオが警察の摘発対象になっていたが、AV業界の内部でも裏DVDが作られるようになった現在、警察はそれを野放しにしている……というわけだ。なお00年以降は、日本の裏DVDが海外にも展開していくが、そこに関わっていたのはヤクザではないという。

「主な担い手は中国人ですね。彼らが金を出して、日本人の女の子を出演させて、日本の裏DVDとして海外に流しているんです。また、日本人で裏DVDの海外流通に関わっているのは、半グレなどのアウトロー。ヤクザについては、その海外作品を日本でコピーして販売するという相変わらずの商売を続けています」(同)

 そのようなDVD時代の裏ビデオは“逆輸入ビデオ”と呼ばれていて、目立ったのは06年頃だという。

「手間とお金をかけて海外向けに作った作品を勝手にコピー販売したヤクザが、海外の何倍もの利益を国内で上げていたようですから、楽な商売ですよ」(同)

 しかしご存じの通り、ネットの普及でエロ動画が簡単に見られるようになったことで、アダルトDVDの売り上げは急激に落ちていく。厳しいのは、裏DVDの世界も同じだそうだ。

「かろうじて残っている裏DVD屋に最近潜入した記者から聞いた話ですが、そこで売られている商品は、『カリビアンコム』などネットで配信している映像をDVDに焼いただけの海賊版だそうです」(前出・スポーツ紙記者)

 前出のライターも「今はネットをよくわかってない高齢者だけが、裏DVDを買っている」と語る。

「『上○亜衣のAVが300円!』みたいに売られているんですが、ネットに出ている動画を勝手にパクっただけのものなので、画質も悪い。あと『流出!』とか書いてあっても、別にどこでも見られる映像だったりしますからね。今年5月に二代目東組幹部組員がわいせつDVDの販売で逮捕された時は、『まだ今の時代に皿(DVD)を買う人がいるんだ』と業界内でも驚かれていました」(同)

 そして、モザイクなしの映像で儲けるAVメーカーが比較的野放しにされている一方で、裏DVD屋への風当たりはより厳しくなった。先に挙げた関西の遊郭の話のように、ヤクザが直接経営に関わる店舗は真っ先に摘発されてきたが、その流れは暴力団排除条例によりさらに強まり、歌舞伎町に多かった裏DVD屋は壊滅状態となってしまった。

「今でも大阪・西成や札幌・ススキノでは路上で売っていたりもしますが、条例の厳しい東京では難しいでしょうね。また今年3月には、住吉会系幸平一家の幹部がわいせつDVDの販売で逮捕されましたが、彼らは新聞に求人広告を出して、それを見てやってきた人に『客引き』をさせていたようです」(同)

 報道によると、その幹部らは、「雑貨販売員募集」という名目で新聞に広告を掲載し、DVD販売の客引きを集めていた。

「また、新聞勧誘員の募集で来た人に物品を売りつけたりするのは、裏DVDに限らずヤクザによくある手口ですね。同じようにエロ関係で相手を騙すシノギでは、エロ動画サイトの架空請求などにも積極的に取り組んでいるようです」(同)

近年は吉原でもヤクザの逮捕者が続々

 厳しさを増しているのは、裏DVDビジネスだけではない。近年は吉原等でのみかじめ料の徴収に関連して、ヤクザの逮捕者が相次いでいる。

「『組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律』に基づいて、売春をしている組織からヤクザがみかじめ料を取ったことで逮捕……というケースが多いですね。3年前にも大阪・松島新地での売春をめぐり、山口組の直参が逮捕されています。また警察の取り締まりが厳しくなり、シノギの規模が小さくなったことで、ヤクザ同士の潰し合いも起きている。象徴的だったのが、これまで吉原一帯を仕切ってきた組織の人間が逮捕された時の供述。彼は『最近は、他の地区の大きな暴力団が進出し、地元の組はみかじめ料を取りにくくなった』と話していました」(前出・スポーツ紙記者)

 なお前出のライターは、吉原で逮捕された人物と話した経験があり、「本人と話をしたら『みかじめ料は取っていない』と言っていましたし、冤罪の可能性もあると私は見ています」とのことだ。

「やはり風当たりが強くなったのは、11年の暴力団排除条例以降でしょうね。今は少しでも暴力団の存在をちらつかせた時点で、吉原に警察が飛んで来るようになりました。昔は『同じ穴のムジナだから』と、ヤクザと普通に接していた人たちも、簡単に通報するようになりましたし……」(前出ライター)という殺伐とした状況になってきた。

 また、エロ産業でヤクザとのつながりを疑われる企業に、捜査の手が入ることも増えてきた。

「有名なのは、ある広域暴力団とのつながりが深いとされる名古屋の風俗店グループ代表が、詐欺容疑で逮捕された11年の事件ですね。また名古屋では翌年にも、風俗情報誌を発行する会社会長らが自社株不正買い戻し容疑で逮捕されています。こちらも同じ暴力団とのつながりを指摘されていました」(スポーツ紙記者)

 近年はヤクザの金融取引への進出や、海外進出などが話題になることが多いが、「そんな資金力があるヤクザはごく一部で、普通の組の若い衆は期間工として働いていたりする」(同)とのこと。

「売春、覚せい剤、博打など、被害者のいない違法行為は、昔から変わらないヤクザの伝統的なシノギです。庶民が求める快楽を提供する隙間産業を担うのが本来のヤクザの役割で、それができなくなったからこそ、振り込め詐欺を行うようなヤクザが増えているんでしょう」(スポーツ紙記者)

 エロ産業からヤクザを締め出す動きは強まる一方だが、シノギを失った連中がより悪質な犯罪に手を染めてしまっては、何の意味もないだろう。振り込め詐欺に手を出すくらいなら、シノギとしてDVDを焼いてくれていたほうが、一般社会の側から見ても、はるかにマシ……などと考えるのは不謹慎だろうか?

(取材・文/古澤誠一郎)

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...
この記事を購入※この記事だけを読みたい場合、noteから購入できます。

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2022年6・7月号

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論

目指すはK-POP? ジャニーズ進化論
    • 音楽業界からの【賛辞と批判】
    • 【芸能プロ】的戦略が抱える2つの“矛盾”
    • 令和の【ジャニーズ・シングル】20選
    • 20年代のジャニーズ【ミュージックビデオ】

移ろいゆくウクライナ避難者

移ろいゆくウクライナ避難者
    • 移ろいゆく【ウクライナ】避難者

NEWS SOURCE

インタビュー

サイゾーパブリシティ