サイゾーpremium  > 特集2  > 【サイゲームス】には転職したくない!?

――前の記事まででは、ソシャゲ業界の現在の勢力図と、そこに内包される問題をチェックしてきた。それでは、現場で働いている人たちは、今の状況をどう捉えているのか?

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自社ゲームのコミカライズのみならず、完全新規作品も掲載予定という「サイコミ」。

[座談会参加者]
A…中堅ゲームメーカー社員
B…大手ゲームメーカー社員
C…受託開発会社ディレクター

A 年明けから、サイゲームス(以下、サイゲ)の『グランブルーファンタジー』ガチャ問題が炎上を続けてるね。

B ヒットタイトルを複数抱えるサイゲは、業界のリーダー的存在ですよね。どこのメーカーも、動向をうかがっている。騒動以降、ガチャ施策に関してはどの会社もすごく慎重になっていると思います。

C 大々的に課金ガチャを謳うやり方は、減っていくだろうね。「ガチャで稼ぐ時代は、もう終わりかも」という空気も強まってきてる。実際、課金ガチャ要素がほぼない『刀剣乱舞ポケット』(DMM)や『クラッシュ・オブ・クラン』(Supercell)も収益は伸びている。そもそも“廃課金”を推奨しちゃうと、ゲーム自体の寿命が圧倒的に短くなるんだよね。

B 『モンスト』や『パズドラ』がロングセラーになっているのも、基本的には10代の無課金勢が広くユーザーとして支えてくれているから。だからこそ課金兵が無課金勢を蹴散らす快感で、少数の課金勢が気持ちよくおカネを突っ込んでくれるわけですし。

A そのためにユーザーを広く集めたいんだけど、結局、テレビで宣伝するのが一番効果的。自分が担当しているタイトルでも、テレビCMを打つと気持ちいいくらいユーザー数が伸びる。そりゃあサイゲもあれだけお笑い番組にカネ出すよね(『M-1グランプリ』協賛、『THE MANZAI』『R-1ぐらんぷり』冠スポンサー)。App Storeの上位ランキングに入るタイトルだと、月の売り上げが10~20億円くらいとされるけど、サイゲは『グラブル』『神撃のバハムート』『アイドルマスター シンデレラガールズ スターライトステージ』(以下、『デレステ』/共同開発)とそのクラスが3タイトルもあるから、豪快な宣伝の打ち方ができる。

C アニメ化も宣伝の一環だよね。14年に放映された『神撃のバハムートGENESIS』は、MAPPA(マッドハウス)制作で、『TIGER & BUNNY』のさとうけいいち氏が監督してアニメファンからも支持を得たけど、4月から放映予定だった第二弾『神撃のバハムート マナリアフレンズ』は、「諸般の事情」で延期している。ラッシュを観たサイゲ側が第一弾に比べてあまりに出来が悪くて激怒したからと聞いたけど、今回の制作は、近年元請けをやっていないスタジオ雲雀。アニメ業界に少しでも知見があれば、最初から予想はできたと思う。まぁ、その直後に自社でアニメスタジオを設立すると発表したから、クロスメディア戦略はできるだけ自社内製で展開していく方針で固まったんだろうけど。

B ウェブマンガサービス「サイコミ」のリリースも発表されましたよね?

A うん、サイゲ社内にマンガ事業部ができた。コミティアの出張編集部でマンガ家を集めたり、出版社から中堅級のマンガ編集経験者を引っ張ったり、そっちの業界では発表前から密かに話題になっていた。『艦隊これくしょん』(DMM)のコミカライズで、KADOKAWAの各レーベルでトラブルが頻発したことを他山の石としてるようだね。

C ただ、そんなに儲かっているのに、社員にはあんまり還元されてないと聞く。以前はインセンティブがあったのに、だいぶ減ってきてる、と。忙しさもすごいだろうし、円形脱毛症になった人とかいるらしいよ。基本給は悪くないけど、そんな環境で働くのは嫌だな(笑)。

B 毎日ゲーム内で何か新しいことをやってDAU(デイリー・アクティブ・ユーザー/1日にログインしたユーザー数)が離れないように、という強迫観念じみたものはあります。そういう働き方が合う・合わないは、人によるとしか言えませんが。

A あと、最近変わってきたといえば、個人的には、美少女&美少年キャラで釣る系のタイトルで、ファンタジーRPG系や学園ものが増えて、ラノベ風になってきたのが気になる。結果、シナリオライターにラノベ作家を使うところも増えてきたし。ラノベ市場は崩壊してるから、ゲームメーカー側には絶好の買い手市場だけど、落ち目ジャンルの落ち葉拾いで大丈夫なのかね。

B 女子を中心にヒット中の『あんさんぶるスターズ!』(以下『あんスタ』/HappyElements)のシナリオは、『私の優しくない先輩』で映画化経験もある日日日が担当で、ラノベ好きにも話題になりましたね。それと『Fate/Grand Order』は、原作者の奈須きのこがシナリオ監修しているだけあって、固定ファンが流入した。サーバーが脆弱で頻繁に止まっていたけど、太い客で回ってます。

A リリース直前まで、ほとんど一人のプログラマーが作っていたようなゲームだからね。原作ノベルゲームの膨大な文字量まで再現しているからシナリオライター陣の負担は大きいけど、ラノベでは衰退して書けなくなってしまった伝奇バトルものの最後の牙城だから士気は高い。

C あとは声優じゃない? 客を引っ張ってくるという意味では、イラストレーターよりも圧倒的で、『あんスタ』も人気声優を揃えてるよね。ギャラが以前の数倍になって開発費を圧迫してるけど、そこには頼らざるを得ない。予算のない現場では、「次に当たるのは誰か?」って新進の声優を探してるよ。

B でも、『プリンセスコネクト!』(サイゲームス)のように、人気声優を揃えたタイトルでも早期終了が出てきましたからね……。あと、イラストレーターも単価が上がってきて、1枚数十万円になることもありますよ。

A キャラ数勝負のタイトルに関しては、一部例外を除いて基本的には複数の有名イラストレーターに発注するから、そこの価格が上がると開発費はかさむよね。逆に、イラストレーターにとっては、ラノベの挿し絵やマンガよりもギャラが高いのでおいしい仕事。ただ、『Fate/Grand Order』のようにプロデューサー自身がイラストレーターだと、リテイクの嵐になることもあるけど……。

B 社内で専属イラストレーターを抱えるケースも、増えてるんですよね。『あんスタ』もそうで、絵がうまい上に、企画原案自体もイラストレーターさんが持ち込んだものと聞いてびっくりしました。

A コンシューマーでは社員イラストレーターの驕慢で企画が偏向して滅びかけたメーカーがあったし、声優も音源制作会社経由で反社系に毟られて潰れたメーカーがあるから、また歴史が繰り返されるのか、と少し心配になるけどね……。

やっぱり不仲か!?コンシューマーとの緊張関係

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サイゲームスが冠スポンサーになった2015年の『THE MANZAI』。司会のビートたけし&ナインティナインが『グラブル』風イラストに乗ったオープニングからスタート。

B あと、相変わらずコンシューマー部門の人たちがエラそうでむかつきますね。

A 自分は以前コンシューマーにいたから、その頃の同僚と飲むと憐れまれるよ。こっちの売り上げで食ってるくせにね。

C いまだに「ソシャゲはゲームじゃない」って言うコンシューマーのディレクターもいるけど、そんなの我々のほうがよくわかってる。マーケティング要素だったりロジックだったり、ソシャゲのほうがはるかにビジネスの要素が強い。

B 私はソシャゲを、キャラの魅力をギリギリまで高めるメディアだと捉えていて、それが面白いからやっていて楽しい。コンシューマーは、シナリオありきじゃないですか。ぶっちゃけ、シナリオなんてなくてもキャラは立つし、売れる。推したくなる(=課金したくなる)ような見た目、性格のキャラを、シナリオ抜きにどうやって作り上げるか?っていう。『デレステ』なんかは、そのあたりが本当にうまい。

A そうそう、ソシャゲ業界の人は、他社作品でも結構のめり込んでやってるんだよね。コンシューマーだと、全然新作に触れない怠惰な奴も多かったからな。

C まぁ、最初が無料で始められるからね。でもこの業界はどうなっていくかわからない部分も多いから、コンシューマー業界の落日も明日は我が身だよ。あんまりディスるのはやめておこう(苦笑)。

(構成/小宮鰯)

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