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町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第93回

『WHITEY』――ボストン暗黒街の“ドン”が最後に行き着いた場所

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『WHITEY』

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学問の街として知られるアメリカ東部の街ボストン。ヨーロッパの風情を残す街並みとは裏腹に、港湾部では売春や賭博、麻薬などがはびこっている。その暗黒社会を仕切るホワイティ・バルガーの半生を描いたドキュメンタリー作品。今年には、ジョニー・ディップがホワイティを演じる『ブラック・マス』も公開予定。

監督:ジョー・バーリンガー/日本公開未定。


 ボストンはハーヴァード大学やMITなど学問の街として知られ、ヨーロッパのような落ち着いた風情がある。しかし、その周辺、サウスボストンやチャールズタウン、ドーチェスターなどの港湾部は違う。

 もともと、港湾労働者として働くアイルランド移民の街で、今もアイルランド訛りがきつい。映画『ディパーテッド』(06年)で刑事役のマーク・ウォールバーグが話している奇妙な英語がボストン訛りだ。下町は、港湾労働者を仕切っていたヤクザから発展したアイルランド系ギャングに支配されている。

 ボストン出身のベン・アフレック監督がチャールズタウンを舞台にした映画『ザ・タウン』(10年)は、強盗を家業としてきた父子の物語。ドーチェスター出身の俳優マーク・ウォールバーグは、10代からドラッグ密売で高級車を乗り回し、アジア系の男性を理由もなく暴行して片目を失明させ、刑を受けている。

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