サイゾーpremium  > 特集2  > 【インディ団体】が直面する業界の実情
第2特集
いま再び燃えるプロレス【6】

「プロレス再燃は一部だけ」どインディ 団体のトップが眺めた業界の実情

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――全国津々浦々に点在するプロレス団体。その中でも自ら"どインディ"と述べながらも、興行を重ね着実にファンを獲得する団体、ガッツワールド。本稿ではインディ団体から見た現在のプロレス人気の再燃や、ガッツを継続させてきた"ど根性魂"について聞いた。

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着実に集客を増やしている正統派スタイルのガッツワールドのプロレス。これぞ、どインディのど根性魂。

 2004年に帝京大学出身のガッツ石島(33)を中心に学生プロレス出身者で旗揚げされ、今年で設立10周年を迎える「ガッツワールドプロレスリング」。学プロ出身者が自分たちでプロの団体を作ったこと、それが10年も続いていること、何もかもが史上初だ。プロのノウハウもなかった彼らが、どうやって10年も生き残ってこられたのか。本稿ではそんな特異な団体であるガッツワールドにスポットを当て、インディの実情を追ってみたい。選手兼代表の石島が語る。

「無理のない興行をしていけば経営は続けられるんですが、一番大切なのは選手同士の人間関係。ほとんどの団体は、それが原因で崩壊するんです。ウチはしっかりとした人間関係を築いてこられたから、続けられているんでしょうね」

 ガッツワールドの特色は、ハデな演出や仕掛けに頼らないこと。「よくいえばチャラチャラしてない。悪くいえばモテない(笑)。当たり前のことを当たり前にやって、お客さんの信用を勝ち得ていく」(石島)というスタイル。硬派なのは私生活でも同様だ。団体のエース・吉野達彦(29)は甘いマスクで女性人気が高いが、吉野は「ファンの女性に手を出すことは絶対ない」と断言。これは所属全選手が厳守し、レスラーとファンの「いい距離感」を保つための鉄の掟だ。

「ウチのような団体はお金をかけたプロモーションができませんから、選手が自分で営業したり、ファンとSNSなどで交流することが重要になってきます。ですが、あまりに距離が近くなると逆に会場に足を運んでくれなくなりますし、 友だち・恋人感覚でレスラーをリスペクトしなくなるのは個人的にも好きじゃないんです。僕がもともとはプロレスファンでレスラーを尊敬していたからこそ、 特に感じることですね」(吉野)

 団体を10年間維持し、団体の舵を取ってきた石島は、昨今のプロレスブーム再燃を冷静な目で見ている。

「ブームといっても本当に人気があるのは一部の団体だけ。正直、業界全体が盛り上がっているとは思っていません」

 ブーム再燃でメジャーの新日本をはじめ、DDTや大日本プロレスなどのインディ団体も集客を増やしているが、ガッツワールドのような小規模団体は「どインディ」と呼ばれ、ブームの恩恵をそれほど受けていない。だからこそ、観客が満足するアツい試合を続け、ファンを少しずつ増やしていくしかない。もちろん、選手の経済事情も決して楽ではない。全選手がプロレスとは別に仕事を持ち、働きながら寝るヒマもない状態でトレーニングや試合をこなす。パーソナルトレーナーとレスラーの二足のわらじをはく吉野は、そこまでしてプロレスにこだわる理由をこう話した。

「僕もそうですが、最近のレスラーはほとんどが生粋のプロレスファン。プロレスが大好きだから、リングに立てることが幸せなんです。試合に勝ちのし上がっていけば、かつて自分が見ていた憧れのレスラーと大舞台で対戦することもできる。それが大きな動機につながるんです」

 選手を支えているのはギャラではなく「プロレスが好き」という純粋な気持ち。そんな彼らが、10月12日に後楽園ホールで大勝負に出る。日ごろは多くても数百人、少ないときは100人に満たない観客動員という同団体にとって命運が懸かった大会だ。

「あまり特別なことをするつもりはありません。普段通りのガッツワールドで勝負をし、後楽園に足を運んでくれたお客さんを満足させられたら痛快じゃないですか。どインディの存在意義をリングの上で見せたいですね」

 学生プロレスからプロの世界に飛び込んだ彼らの夢がどこまで続いていくのか、どインディの底力はこれからだ。

(構成/佐藤勇馬)

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ガッツ石島(がっつ・いしじま)
1981年、埼玉県出身。04年に、学生プロレス出身者を集めた団体「ガッツワールドプロレスリング」を旗揚げ、代表を務める。必殺技はデーモンボム。来る10月には、旗揚げ10周年記念の後楽園ホールが控えている。


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吉野達彦(よしの・たつひこ)
1985年、秋田県出身。先頃開催された「KING OF GUTS 2014」にて師匠であるガッツ石島を破り、次世代のホープとして注目を集める。得意技はアスリートジャーマンスープレックスホールド。

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