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萱野稔人の"超"現代哲学講座 第37回

監視社会とプライバシーの再定義

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──国家とは、権力とは、そして暴力とはなんなのか……気鋭の哲学者・萱野稔人が、知的実践の手法を用いて、世の中の出来事を解説する──。

第37回テーマ「監視社会とプライバシーの再定義」

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[今月の副読本]
『私たちが、すすんで監視し、監視される、この世界について』
ジグムント・バウマン、デイヴィッド・ライアン/青土社(13年)/2310円
監視(サーベイランス)に関する問題が頻発する昨今、我々はこの影響、そして技術にどう向き合うべきなのか? 空港の入国審査からソーシャルメディアまで、世界的な社会学者による監視を倫理的に検証した新刊。


 人から監視されるというのは誰だっていやなものですね。私的な生活や通信まで覗きみられればプライバシーの問題にもかかわります。そのプライバシーの問題を深く考えさせる出来事が少しまえにありました。アメリカの情報機関がインターネット上の個人情報を秘密裏に収集していたことが、元職員によって内部告発されたのです。

 告発をおこなったのは、エドワード・スノーデンという29歳の米国人です。彼は今年の5月までNSA(米国家安全保障局)で極秘の情報収集の仕事にたずさわっていました。彼はイギリスの新聞ガーディアンなどの取材に対し、自分が職務のために令状なしで通信を傍受していたことを明かし、NSAが秘密裏におこなってきた情報収集活動についての機密文書を暴露したのです。

 そもそもNSAとはどのような組織でしょうか。NSAは、旧日本軍による真珠湾攻撃をアメリカ政府が未然に防げなかったことを教訓に、盗聴などによる情報収集活動をおこなう行政機関として1952年にトルーマン大統領のもとで設立されました。現在は海外の通信の傍受や分析のために約3万人が働いているといわれる、世界最大の通信傍受組織です。本部はメリーランド州ボルチモアの郊外にあります。

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