サイゾーpremium  > 特集2  > 電通もついに便乗! フェイスブックに群が...

──2010年秋以降、急激にその名をメディアで目にするようになったアメリカ発のSNS・フェイスブック。映画『ソーシャル・ネットワーク』が1月に公開されたことも追い風になり、ネットはもちろん、雑誌に新聞に、あちこちで特集が組まれ、メディアは大騒ぎだ。だが今、本当にフェイスブックはそんなに日本で人気だろうか? アカウントはあれど、使いこなせていない人も多いのではないか? 岐路に立つフェイスブックブームを検証する。

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 ミクシィにツイッター、あるいはモバゲー、グリーと、すでに十分な数のSNSが定着している日本で、にわかに世界最大のSNSたるフェイスブックが存在感を増している。既存のSNSとは使われ方も利用ルールも異なる同サービスが注目され始めた裏には、やはり仕掛けがあった?

 全世界でユーザー数が5億人を突破し、「インド、中国に次ぐ人口」を形成しているといわれる世界最大のソーシャルネットワークサービス(以下、SNS)「フェイスブック」が、やにわに注目されている。

 日本では2010年末ごろからメディアで頻繁に取り上げられるようになり、11年1月に同サービスの創設秘話を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開されたことで、ITへの興味が高くない一般層への知名度も急激に高まっている。

「フェイスブックはグーグルを超えた!"検索"はもう古い!」と語るIT評論家が登場し、ビジネス界でも企業の「フェイスブック活用術」が慌ただしく研究され始めている。

 アメリカではすでに利用率が人口の50%を超える強大さを誇るが、果たしてフェイスブックは本当に日本で普及するのだろうか?疑問に思っている人は少なくないはずだ。

 そもそも、フェイスブックの日本語版がリリースされたのは、約3年前の08年5月のこと。

 その時点で世界で5000万人のユーザーを抱える巨大SNSであり、「実名制ゆえの安心感」をアピールして普及を目指したものの、反応したのは、ネットの新潮流に敏感なごく一部のアーリーアダプター層だけだった。筆者自身もしばらく後にアカウント登録したはいいが、いかにも洋モノ風なわかりづらいインターフェイスにすぐ萎えてしまい、何が面白いのかさっぱり理解できないままログインしなくなったことを覚えている。今にして思えば、それも無理はなかった。

 フェイスブックには、従来の国内ローカルSNSと比べて、本質的な違いが3つある。それは「言語」「実名制」、そして「文化」だ。

 まず、日本人ユーザーにとって最初の壁となるのが、言語の問題だ。

 フェイスブックの日本語ローカライズは、主に有志のユーザーによるボランティアが中心となって行われているため完璧ではなく、何かと英語が登場することがよくある。インターフェイスの複雑さと相まって、誰もが直感的に使えるサービスといえるほど洗練されていない。

 2つ目は、すでによく議論されている「実名制」の問題。

 「知り合いから自分を見つけてもらいやすい」「正確で信頼できる情報の輪ができる」といったメリットがある一方で、プライバシーが流出しやすいという懸念があり、受け入れられるかは難しいところだ。2ちゃんねるに代表される匿名のネット文化が定着している日本では、心理的に抵抗感のあるユーザーが多いのではないか。

 3つ目は、フェイスブックにおける「人と人とのつながり」が、欧米のパーティ文化的な全方位型の社交スタイルに近いということだ。

 例えばトップページに表示される「知り合いかも?」欄をクリックすると、数百人ものユーザーがリストアップされ、「友達リクエスト」を送ることを勧められる。共通の友人、出身地、卒業校など直接的なつながりはわかるが、すでに「友達」に登録しているユーザーの関係者も等しくリストに含まれるため、名前も知らない「友達候補」は果てしなく膨れ上がっていく。

「友達の友達はみな友達」というコミュニケーションを面白いと思うか、面倒だととらえるかは人によって違うだろうが、少なくとも国内ローカルSNSにおける「友達」とは、感覚が大きく異なるのは確かだ。

 その一方で、すでにフェイスブックならではの面白さを満喫している日本人ユーザーも存在している。彼らが強調するのは、「いいね!」ボタンの魅力だ。フェイスブックの機能面における特異性として、ネット上に存在するほかのソーシャルメディアを連結する「ハブ」のような性質がある。

 例えば、自分がツイッターでつぶやいた内容や、オンライン写真共有サービス・Flickrにアップした写真や動画などは、そのまま自分の「ニュースフィード」に貼り付けることができ、登録している「友達」たちの目に届く。そういったネットの各所で行われているアクションを集約し、面白いと思ったモノには「いいね!」ボタンをクリックするだけで、相手に反応を伝えることができる仕組みだ。

 従来式のSNSの閉じたコミュニケーション(友達が書いた日記に対してコメントをする、など)に比べて圧倒的に手軽であり、同じモノに共感したユーザーと知り合う可能性も生まれるため、ネットの世界を広げるボタンとして高く評価されている。

セカンドライフを思い出す広告業界の仕掛けぶり

 だが、そうした意見は同サービスを使い込みつつある上級ユーザーから聞こえてくるもので、多くの一般層にとっては、「すごいらしいが難しそうなサービス」というイメージなのが実際のところだろう。そんなフェイスブックが、10年末のタイミングでなぜ唐突にメディアでブレイクしたのか?その背景には、周到に計算された「仕掛け」があったようだ。

 ネット上で定説となっているのは、10年10月上旬に、「はてな」界隈で影響力のあるブロガーたちの間で話題が再燃したというもの。

 具体的には、ゆーすけべー氏(株式会社ワディット代表取締役)のブログ「ゆーすけべー日記」【※1】10月7日のエントリ「フェイスブックがはじまりそうな件」を起爆剤として、その周辺にいるアーリーアダプター層がブログやツイッターを通じてフェイスブックを再評価するという動きにつながったとされている。

 それを追うようにして、10月12日に経済評論家の勝間和代氏が公式ファンページ(現在は「facebookページ」に改名)を開設するなど、流行に敏感な有名人や企業が続々とフェイスブックに流入し始めるという、一種のトレンド現象が起きている。とはいえ、10年半ばの時点では、日本におけるフェイスブックはまったく盛り上がっておらず、野ざらし状態で放置されていたアカウントがほとんどだった。

 それが一気にトレンドに駆け上がった背景として、フェイスブックの日本支社長である児玉太郎氏が、夏頃から都内各所で企業向けに「極秘のフェイスブックセミナー」を開催していたという話がある。

 参加対象は広告関係者で、「フェイスブックをいかにして広告媒体として活用するか?」という観点から、ファンページの使い方や広告展開の仕方を懇切丁寧に解説していたという。

 前述のアーリーアダプター層による再流入に対しても「ステルスマーケティングでは?」という疑念は上がっていたが(ブロガーたちは否定)、少なくとも現在のメディア主導による一連のブームは、水面下で行われた広告業界主体のビジネス戦略という見方もできるわけだ。

 そうなると、07年に同じく広告業界の肝いりで日本進出した3D仮想空間「セカンドライフ」が大コケしたイメージと、脳内でダブってしまうところ。なお、本稿執筆中の3月2日に、フェイスブックと電通の「業務提携」が発表された。電通はフェイスブックのプレミアム広告枠の独占販売のほか、広告主向けのコンサルティング、facebookページの制作などを請け負うらしい。ますます予想通りの......と思ってしまうのも無理はない展開ではないか。

 いろいろ邪推は尽きないが、いったんブレイクが始まれば爆発的に成長するのがネットサービスの常でもある。10年に起きたツイッターの流行→有名人の流入→定着のパターンのように、あっという間に本国での利用率以上にメジャーなサービスになる可能性も少なくはない。いずれにせよ、フェイスブックが日本に浸透するとしたら、これまでのネット社会における常識や習慣が大幅に塗り替えられることだけは確かだろう。

(文/呉琢磨)
(絵/カズモトトモミ)

【※1】http://yusukebe.com/archives/002657.html

栄枯盛衰!?日本のSNS史

個人向けコミュニケーションサイトはネット黎明期から数多く存在したが、一般に「SNS」という呼称が使われ始めたのは、03年の「Friendster」の登場後から。ここでは、日本におけるSNSの歴史を振り返ってみる。

2003年11月 米国で世界初のSNS「Friendster」が公開される。
2004年1月 GoogleによるSNS「orkut」が日本でも話題に。

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2月 田中良和氏の個人運営による「GREE」がサービス開始(12月に法人化)。イー・マーキュリー(現ミクシィ)による「ミクシィ」がサービス開始。
~12月 「echoo!」「フレンドマップ」「キヌガサ」「フレリン」ほか、無数のSNSサービスが登場する。
2005年12月 ミクシィの会員数が200万人を超える。「Web of the Year 2005」総合大賞受賞。
2006年2月 DeNAによる「モバゲータウン」が携帯専門SNSとしてサービス開始。

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4月 全国のSNS利用者数が716万人を突破。前年度の6倍以上に(総務省発表)。
9月 ミクシィが東証マザーズ上場。募集価格155万円、5日後に最高値325万円を記録。
11月 米国最大手SNS「マイスペース」の日本語版が登場(運営はソフトバンク)。同月、GREEがサイトを大幅リニューアル。携帯向けサービス重視に転換する。
12月 ミクシィが携帯アドレスからのユーザー登録を可能に。
2007年5月 ミクシィの会員数が1000万人を超える。
2008年2月 ミクシィが中国・上海への進出を発表。
4月 モバゲーTOWNの会員数が1000万人を超える。
5月 「フェイスブック」の日本語版が一般公開される。
12月 ミクシィが登録者の年齢制限を15歳以上に引き下げる。
2009年3月 警視庁の要請により、ミクシィが出会い系サイト的コミュニティ約300を削除。
4月 GREEの会員数が1000万人を超える。ミクシィが「mixiアプリ」を導入。外部企業にサービス開発を開放する。
10月 Yahoo!によるSNS「Yahoo CU」が、ベータ版のままサービス終了する。
2010年3月 ミクシィが「招待状」なしでも登録可能に。
7月 フェイスブックの全世界におけるアクティブユーザー数が5億人を超える。
9月 ミクシィが中国・韓国のSNSと業務提携を発表。
10月 フェイスブックが「ミクシィとの連携」を実現するアプリを発表。モバゲーTOWNとYahoo!が提携した「Yahoo!モバゲー」が正式オープン。

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12月 フェイスブックの国内会員数が300万人を突破。
2011年1月 フェイスブックを題材とした映画『ソーシャル・ネットワーク』が日本公開。
3月 モバゲーTOWNが名称を世界共通ブランド「Mobage」に変更(予定)。


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