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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第11回

いまだ考える、『Q10』が投げかけたもの

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既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら! ジェノサイズのあとにひらける、新世界がここにある!

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『Q10』DVD-BOX

 放映終了から2カ月近く経って、いまだに『Q10』のことを考えている。年末まで放映されていたテレビドラマだ。脚本を担当した木皿泉は夫婦のユニット作家で、『すいか』(03)、『野ブタ。をプロデュース』(05)、『セクシーボイスアンドロボ』(07、以上すべて日本テレビ)など、視聴率こそ高くないものの熱心なファンを抱える名作を生み出してきた。

 そして始まった本作は、とても奇妙な物語だった。基本的には受験を間近に控えた高校3年生たちの群像劇なのだが、どこにでもいそうな彼らの前にロボットの少女=Q10(キュート)が現れる。主人公の平太は過去に大病を患っており、そのせいか回復した今もどこか無気力なところがある少年。そんな平太が、なりゆきからQ10の保護者的な存在となり、やがて恋をすることで変わっていく、というのが大まかなストーリーだ。

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