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第1特集
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豊田利晃監督が語る! 芸人・板尾創路が映画に愛される理由

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映画「蘇りの血」公式HPより

「板尾さんは日本の"ジャン・レノ"っすよね」

 板尾さんには僕の作品に3作連続で出演していただいていますが、何度会っても初対面みたいな対応をされるんですよ(笑)。だから実像はいまだによくわからない。でも、俳優としての才覚はすごいと思う。その作品の世界に自然に溶け込み、演技自体がまた自然で。即興性の強い演技も難なくこなすし、柔軟で、受け身の演技も即座に機転を利かせて対応してくる。初めてご一緒した作品『ナイン・ソウルズ』に、板尾さん扮する脱獄囚・亀井がつなぎの服を他人と交換しようと持ちかけるシーンがあるんです。ここの「このつなぎな、ダウンタウンブギウギバンドが着とったんやこれ」というセリフは、板尾さんが考えたもの。最高だったので、そのまま使いました。この時共演した原田芳雄さんも、同じように板尾さんの役者としての能力を絶賛してましたね。『空中庭園』の大楠道代さんも。お2人が認めるんですから、折り紙つきでしょう?

 あと、僕が思うに、板尾さんには映画俳優の風格と雰囲気があると思うんです。スクリーン・サイズになってこそのスケールと、板尾さんの「見た目はまじめなんだけど、眼がどこか狂っていて、どっちに転ぶかわからない」みたいな存在感は、ほかに代わる人がいないんですよ。

 僕は元来、役者さんが本来持ち合わせている雰囲気や資質でキャスティングを決めるんです。その中で、今回の新作『蘇りの血』の門番役も、板尾さん以外は考えられなかった。というのも、この門番は天国と地獄の狭間にいる人物。こんなキャラクターを違和感なく、その上説得力をもたせられる役者さん、ほかにいますかね? 少なくとも僕は、板尾さんしか頭に思い浮かばなかった。

 うれしいことに、『板尾日記』(リトルモア)で僕の映画には全部出ると言ってくれているので、次は板尾さんが主演で、『007』でも撮りたいですね(笑)。
(談)

とよだ・としあき

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1969年、大阪府生まれ。映画監督。98年『ポルノスター』で監督デビュー。同作が日本映画監督協会新人賞に輝き、一躍注目の監督に。その後、『青い春』『空中庭園』など、意欲作を次々と発表。その作品群は国内外から高い評価を受けている。

『蘇りの血』

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ある男の計らいで、生死の境界線から、全身硬直状態で現世へと戻ったオグリ。ひとりのけなげな女性の出現により、彼は次第に生命力を取り戻していく。歌舞伎の演目にもなっている説話"小栗判官"をモチーフに描く、男の再生ドラマ。監督/豊田利晃 出演/中村達也、草刈麻有、渋川清彦、新井浩文、板尾創路ほか公開/12月19日より、ユーロスペースほか全国順次©「蘇りの血」製作委員会


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