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第1特集
ヤミ勢力の道具と化してしまった企業の悲しき姿──

企業とヤクザは切れない関係!? 裏社会の"会社への食い込み方"【1】

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――イトマン事件からスルガコーポレーション事件まで、切っても切れない企業とヤクザの関係。では裏社会の人間たちは、どのように企業に食い込んでいくのか? そのやり口を4パターンに分けて徹底解説!

 今年5月、三井住友銀行をはじめとする金融機関から巨額の融資を不正に引き出し、170億円以上を焦げ付かせたとして、不動産会社「コシ・トラスト」(以下、コシ社)が警視庁によって摘発された。暴力団の資金源となっていた疑いもある同社の手口は、実体のない幽霊会社を大量に作り、接待漬けにした行員らと共謀して銀行から融資を引き出すというもの。犯行は、2007年9月に同社が休眠状態に入るまで、数年間にわたって行われた。発覚が遅れたのは、コシ社が商工ローン大手のSFCGから資金を借り入れ、銀行への返済が滞らないようにしていたためだ。

 SFCGは07年初め、コシ社が社員を大量解雇するとの情報を聞き付けて貸金の回収に乗り出し、担保不動産を売却することで、融資した20億円のほぼ全額を回収した。元SFCG関係者は当時を振り返り、次のように話す。

「全額回収できたとはいえ、実はウチも危なかった。会社の中に、コシ社の〝素性〟を知りつつ融資を主導した人間がいたんだ。社内調査が遅れていれば、どんな被害が出たかわからない」

 この関係者によれば、コシ社に関する調査の過程で、ほかにも暴力団の影がちらつく企業が複数浮かんできたという。その中には、一時有名タレントを起用してテレビCMを打っていた新興不動産会社もある。

 暴力団をはじめとする反社会的勢力は、どのようにして企業に食い込んでいくのか? 近年の代表例をまとめ、大まかに分類したのが次ページの4つとなる。このうち「共同利益型」の項でも解説している通り、不動産業界は伝統的に、地上げ行為を通じて反社会的勢力とのつながりができやすい。世間が不動産バブルに沸いていた08年春頃には、金融関係者の間で「USA」「JAPAN」など、反社会的勢力との関係が噂される新興不動産業者の頭文字を集めた〝符丁〟が流布していた。

2つのバブルで闇勢力はオモテ社会に本格"進出"

賭博・売春・覚せい剤密売などの"ウラ経済"を主な資金源にしてきた暴力団がオモテ経済に本格的に進出したのは、80年代のバブル期のことだ。彼らは地上げ屋や総会屋として暗躍し、ある場面では企業と利益を分かち合い、またある場面ではスキャンダルを握って企業に浸透し、寄生した。

 その代表的な事例が、大阪の総合商社イトマンを舞台にした特別背任事件であろう。同事件では、住友銀行(当時)が同社に融資した資金など3000億円以上が、闇社会に流れたとされる。事件の中心人物で、山口組と関係の深いフィクサー・許永中(特別背任と脱税の罪で服役中)は、これ以外にも数々の経済事件で暗躍。亀井静香郵政改革・金融相、久間章生元防衛相らとのコネクションは、つとに知られている。

 オモテ経済をいいように食い荒らす暴力団を取り締まるべく、92年3月に施行されたのが、暴力団対策法だ。犯罪歴のある構成員が一定比率以上を占めたり、組の名前を使い威圧的な資金集めをしている団体を「指定暴力団」に指定。構成員が用心棒代の要求や示談交渉介入など「暴力的要求行為」を行った場合、都道府県公安委員会が中止命令を出すというものだ。

 しかし同法が施行されるや、暴力団は当局の監視の目をくぐるべく、組織のアングラ化を進めた。形の上だけ組織を抜けた「企業舎弟」が暗躍を始め、警察は次第に、その動きを追えなくなってしまう。

 バブル後、ヤクザマネーがオモテ経済のさらに奥深くへと浸透するきっかけになったのが、証券市場における一連の規制緩和だ。90年代末から00年にかけてのITバブル期には、ほとんど実績のない若手起業家がハッタリ同然のビジネスモデルをぶち上げて会社を起こし、東証マザーズ、ナスダック・ジャパン(現・大証ヘラクレス)などの新興市場に上場を許され、莫大な上場益を手にするという事例が相次いだ。

 そうしたベンチャー企業の多くは、早々にメッキがはがれて業績も株価も低空飛行を続けていたのだが、上の「乗っ取り型」「株価操縦型」で解説しているように、それらの企業こそが、反社会的勢力の格好の標的になった。

 新興市場のベンチャー企業に限らず、業績が低迷したまま抜本的な経営改善策を講じることもできずに、ただ漫然と上場を続けている「ボロ会社」もまた、反社会的勢力による錬金術の道具となる。いよいよ資金繰りの行き詰まったボロ会社の経営者は、不正な株価操縦を行う仕手筋の誘いに屈して会社の実権を差し出し、当面の延命資金を工面してもらう見返りとして、アングラマネーの錬金術に加担するのだ。

 一方、仕手筋の動向に詳しい金融コンサルタントによると、さらに新しい例として最近では、企業を狙う反社会的勢力の間で次のような〝コラボレーション〟が起きているという。

「とある仕手グループのメンバーは、数年前に閉店された六本木のクラブのVIPルームに夜な夜な陣取り、芸能人のタマゴたちをはべらせて、若手起業家や投資家と交流していた。六本木のクラブを仕切っている面々の中には、東京や神奈川の山の手育ちの不良たちが多い。その仲間には大卒の証券マンや、ヤミ金融や振り込め詐欺で儲けた"投資家"もいる。そういう連中がこぞってベンチャー企業に入り込み、好き放題にしているんだ」

 反社会的勢力がオモテ経済にいともたやすく入り込むのは、企業の側に、彼らの腕力や資金力に対する需要があるからでもある。企業社会を健全に保つためには、彼らに対する制度的な防壁を高くするのみならず、経営者たちの意識の引き締めが必須といえよう。
(李策)


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