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第1特集
微妙なソニーに絶対絶命パイオニア......電機メーカーに未来はあるか?【2】

日立、ソニー、パナ......憂鬱の5大電機メーカー 悪魔の“生き死に”判定

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──世界的大不況でズルズルと沈みゆくのはどの会社?そして、パンパカパ〜ンと返り咲くのはどの会社?

■商品力の低下は致命的。収集欲をくすぐる商品を出せないソニーなんて、酸っぱくない梅干しと同じだ!

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 ソニー初の外国人トップであるハワード・ストリンガー会長が今年4月から社長を兼務するという異常事態は、電機業界のみならず世間の好奇の目を引いた。

 米放送局・CBSの出身で、コンテンツ事業を重視する"ソフト路線"のストリンガー氏と、技術畑出身で電機製品事業を重視する"ハード路線"の中鉢良治前社長との確執は以前からささやかれていた。そんな中、「世界同時不況の影響で薄型テレビの大幅な販売落ち込みが業績の足を引っ張った責任を中鉢さんに押しつける形で、ストリンガーが一気に権力掌握に乗り出した」(電機業界関係者)というのが、異例のトップ交代劇の真相のようだ。

 ただ、"ソフト路線"のストリンガー氏が権限を一手に握ったことで、ソニーが強みを持つユニークな商品開発力の低下への懸念が社内外で囁かれている。あるソニー関係者は「ストリンガーの"ソフト路線"はソニーの創業以来の強みである『モノ作り』の軽視につながっている。彼は『すべての家電製品をネットワークでつなぐことで成長を目指す』とか理念ばかりが先行していて、このままでは肝心の商品がつまらないものになってしまうんじゃないか」と懸念を隠さない。ユニークな商品を生み出す"世界のソニー"の土台が揺らぎ続ければ、同社の未来は非常に暗いだろう。

■ちょこっとmemo
1946年に井深大と盛田昭夫らが東京通信工業の名で設立。高い技術力とデザイン性でファンも多い。主力製品はバイオ、PS3など。

■売れる商品が作れない企業体質で、"死ぬ会社"の筆頭格。
公的資金注入も、その場しのぎにしかならない可能性も!

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 5期連続の最終赤字計上と、そもそも今回の世界同時不況とはまったく関係なく、慢性的な経営悪化状態のパイオニア。この"病巣"について電機業界関係者は「技術力には上位メーカーも一目置くが、最新技術の研究に熱中するだけで、肝心の新技術を商品化するのが驚異的に下手。『そもそも、売れる商品を作る気がないんじゃないか』と揶揄する声が聞こえるほどで、結果的に最新技術を他社に奪われ、膨大な研究開発費を回収できない始末」と指摘する。

 この末期的な状況を前にした同社は今年2月、薄型テレビから全面撤退することを発表。カーナビなどの車載機器事業に経営資源を集中することで生き残りを図る考えだが、頼みの綱の車載機器事業は、自動車そのものの販売が大幅に悪化するなどして、すでにもくろみが狂っているというから目も当てられない。とにかく財務基盤の悪化は喫緊の課題であることは明白なのに、「業績回復の見込みがないから、金融機関も資金支援に二の足を踏んでいる」(金融業界関係者)という状態。

 そこで最後の救いの糸として期待をつなぐのが、"血税"である公的資金を活用した緊急増資だ。ただ、肝心の政府サイドも「パイオニアの経営悪化は慢性的なもので、公的資金を投入しても返済されないことが想定される」(同)ため、水面下の交渉は難航しているようだ。本誌が認定する"ワースト電機メーカー"はパイオニアということで疑問の余地はなし。それでも潰れてほしくない投資家の皆さんには、しっかりと買い支えていただきたいものである。

■ちょこっとmemo
1947年に福音電機の名で発足。当初はオーディオ専業だったが、映像機器や車載機器などに事業を拡大。主力製品はカーナビのカロッツェリアなど。

■ほかに類を見ない強大な過去の遺産によって少々足下が揺らいでも、生き残ること間違いなし!

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 家電製品から原子力発電まで、ありとあらゆる電機製品を取り扱う"総合電機メーカー"の看板を掲げる日立。とりわけ庄山悦彦元社長の時代から事業拡大路線に一気に弾みがつき、連結売上高は、98年度の約8兆円から、07年度には11兆円規模にまで膨らんだ。ただ、売上高拡大は「規模にこだわるあまりの、収益性を無視した単なる規模の膨張」(同社関係者)となってしまい、世界同時不況にさらされた08年度決算では、なんと7873億円の赤字(!)と、国内製造メーカーで過去最大を記録。さらに世間をあぜんとさせたのが、巨額赤字の責任を取って古川一夫前社長が退任した後、子会社・日立マクセル会長の川村隆氏が後任社長に就任したこと。川村氏は御年69歳と古川氏のなんと7歳も年上で、同社OBからは「ウチにはそんなに人材がいないのか!」とあきれ声も上がった。

 ただ、そんな批判を前に川村氏は「総合電機メーカーの看板を降ろす」と、身の丈に合った経営への路線転換を表明。得意の原子力発電所など、景気に左右されない公共物件に傾注する方針を打ち出しており、「安定的に収益を生み出せる体制に移行しつつある」(アナリスト)と評価の声も出始めている。そもそも、「日立ほどの規模なら、今回のような巨額赤字をもう一度やったとしても潰れない」(電機業界関係者)との声もあり、有り余る"過去の遺産"は、日立の看板を揺るぎないものにしているようだ。

■ちょこっとmemo
1920年に現社名で設立。連結売上高10兆円、連結従業員数40万人と、国内最大規模の電機メーカー。主力製品は、原子力発電所など。

■早めに事業のリストラに取り組んだことで、大不況下でも黒字を確保。"生き残る会社"の筆頭格!

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 大手電機メーカーが軒並み巨額の最終赤字を垂れ流す中で、唯一黒字となったのは立派の一言。「電機業界の模範生」とも称されるが、その好調の秘密は、先手を打った事業リストラの断行だ。同社は、業績のブレが大きい半導体事業を03年に分社化したほか、08年には1956年より続けてきた洗濯機事業から撤退、さらには競争激化で採算の悪化が著しい携帯電話端末事業からもいち早く撤退を表明した。事業の撤退・売却は景気悪化が深刻化した昨秋以降に電機業界で相次いでいるが、先陣を切った三菱電機は「追い込まれる前に早めに手をつけたことで、有利な条件での事業売却などが可能になった」(同社関係者)と、見事に売り抜けた。

 さらに、主力事業として原子力や風力などの大型発電機器や、現在ブームの太陽光発電など大企業・公共機関向けの事業に絞り込んだことが奏功。これらは「個人向けの電器製品事業と違って、景気変動によるブレが小さい」(同)ため、安定的な利益が出せる体制となっている。さらに、三菱グループという"金看板"で資金調達面でも不安がなく、「ぼろ儲けはしないが安定した収益を出せる」(電機業界関係者)とのこと。

 本誌が認定する、栄えある"ベスト電機メーカー"には三菱電機を認定させていただきますが、今後株価が下がっても責任は持ちませんので......。

■ちょこっとmemo
1921年に三菱造船の電機製作所を母体として設立。三菱グループの中核として、幅広い事業を手がける。主力製品はエアコン、冷蔵庫などの白物家電。

■関西商人らしい(?)思い切ったリストラで"V字回復"の再来も期待できる!

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 景気悪化の波にはあらがえず、08年度決算で3789億円の最終赤字を計上したが、その後の対策が鮮やかだった。過去3年間赤字だった事業や拠点から原則撤退することを決め、10年3月までの2年間で、世界で40の製造拠点の削減を断行する。リストラが相次ぐ電機業界の中でも「思い切った措置」(電機業界関係者)で、01年度に中村邦夫社長(当時)が達成した"V字回復"の再来もささやかれている。

 パナソニックの強みは、「徹底的に売ることを考えた商品力」(同社関係者)だ。かつての社名「松下電器産業」時代、たとえ「マネシタ電器」と揶揄されようとも、売れている他社の商品を研究してより売れる商品を開発したように、「日立やNECといった大手メーカーが研究のための研究に血道を上げる傾向がある中で、パナソニックはとにかく売ることを考えている」(同)というから、関西商人としての血脈が生きているといえる。

 さらに、今後の伸びが見込まれる電池事業などで高い技術力を持ちながら、事業展開が下手なために業績が悪化していた三洋電機を傘下に入れることが決定。「昔から"宝の持ち腐れ"といわれていた三洋電機の技術力をパナソニック流にうまく活用することができれば、さらなる業績向上が狙える」(前出・電機業界関係者)と、今後への期待が高まっており、この先"生き残る会社"として大いに注目される。

■ちょこっとmemo
1935年に松下幸之助が松下電器産業の名称で設立。関西を代表する大企業で、昨年10月には 社名に変更。


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