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第1特集
静かなるベストセラー作家・大川隆法の"華麗なる来歴"【5】

創価学会の天敵!? 宗教学者が選ぶ"読むべき教祖本"はあのベストセラー!

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──大川氏の著作に限らず、「どうせ布教のための本でしょ」と敬遠されがちな新興宗教の「教祖本」だが、中には信者以外でも(いろんな意味で)楽しめる本もあるようだ。そこで、宗教学者の島田裕巳氏に、オススメの「教祖本」や、新興宗教を理解するための本を紹介してもらった。

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『人間革命』『新・人間革命』を合計すると全世界で4000万部以上が発行されているとも。

──新興宗教の教祖が書いた本で、オススメのものはありますか?

島田(以下、) やはり、池田大作(左写真)の『人間革命』【10】ですよ。

──どんなところが面白いんでしょう?

 あの本は、創価学会が、日本の社会の中で組織拡大のために闘っていく、そのドラマを描いた話なんです。創価学会の人たちは、三国志とか水滸伝とか、結構好きなんですよ。横山光輝の『三国志』を連載してたのは創価学会系のマンガ雑誌ですからね。『人間革命』は、要するにそのノリなんです。当時は、選挙に出て、世評を覆して当選したりとか、ものすごい力を発揮している時代ですから。選挙違反の容疑で池田大作が捕まって、結局無罪になるんだけど、そういう波乱万丈の展開なんで、ドラマとして面白い。しかも、また文章がうまいんです。池田大作が書いたことになってるけど、ゴーストライター説もあって。おそらく僕はゴーストだと思うけど。今の創価学会そのものよりも、『人間革命』の創価学会を見たほうが面白いですよ。

──『人間革命』に心を打たれて、学会に入っちゃう人も結構いるんですか?

 創価学会のバイブルですから。現実の創価学会が行っている宗教上の闘いと、『人間革命』がオーバーラップするんでしょう。そうやって、物語世界と現実をうまくつなげることで、宗教活動の意味づけをしている。映画やマンガ・アニメにもなっていて、メディアミックスの非常に成功した事例ですよ。ただ、現在の創価学会側の本音としては、『人間革命』はあまり表に出したくないんだよね。昔の話だから、今では犬猿の仲の日蓮正宗を悪者にしていなかったりして、今の学会のあり方と矛盾するから。でも、会員から待望論が根強いので、仕方なく出してるみたいですよ。

──では、『新・人間革命』【11】はどうでしょう?

 『新・人間革命』は死ぬほどつまらないよ。全然ダメ。

──続編なんですか?

 いや、あれは、池田さんが、いろんなところに行った、その記録みたいな話が中心なんですよ。たとえば1巻では、ハワイかなんかに行くんだけど、現地のSGI(創価学会インターナショナル)の人たちが時間を間違えて、空港に迎えに行けなかった、みたいな話が書いてあるだけ。笑い話でもなくて、時間間違えたね、みたいな感じで終わっちゃう(笑)。文体も『人間革命』と全然違うし。だから、最近は、『人間革命』ほど、売れなくなっています。

──ほかに、教祖が書いた本の中で面白いものはありますか?

 そうですね。教祖が神がかりして、しゃべっているようなのは結構面白いですよ。例えば、天理教の教祖・中山みきが書いた『みかぐらうた・おふでさき』【12】なんか。教祖って、デカい話もするんだけど、一方で嫁イビリみたいなことも書いてるんですよ。

──神聖なことばかり書かれているわけじゃないんですね。

 いや、家庭内の葛藤が神聖な話として書かれている(笑)。世界の根源の話と卑近な話が、混在して出てくる。そういう面白さはあるよね。

──最後に、ご自身の数ある著作の中で、特にオススメなものは、なんでしょうか?

島 こちらも『天理教―神憑りから新宗教へ』(八幡書店)ですね。天理教をモチーフに、客観的な事実がまったくないにもかかわらず、それがいかにして究極的な価値を持つものとして物語化されて、人々に信じられるようになっていくのか、というプロセスを追った作品です。新興宗教の成り立ちについて理解するのに、いい本だと思いますよ。

 見方を変えることで、にわかに魅力的に見えてきた(?)「教祖本」。もちろん購入・入信は自己責任で!

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【10】『人間革命』
池田大作/聖教新聞社(00年)/550円(文庫)

戦時中に大打撃を受けた創価学会の再建に奔走する第二代会長の戸田城聖。彼や山本伸一(モデルは池田大作)たちが、苦難を乗り越え組織を拡大していく様子を描く。全12巻。


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【11】『新・人間革命』
池田大作/聖教新聞社(03年)/800円(文庫)

人間革命のラストで、創価学会第三代会長に就任した山本伸一が、舞台を世界に移して、識者や著名人と語り合う。単行本は19巻まで刊行中。現在も聖教新聞で連載中。


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【12】『みかぐらうた・おふでさき民衆宗教の聖典・天理教』
中山みき/平凡社(03年)/3360円

天理教の教祖聖典を現代的な表記で読みやすくし、解説なども豊富に加えている。農民たちの苦悩の中から理想世界の実現をめざす、民衆宗教の基本的性格が読み取れる。


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『天理教―神馮りから新宗教へ』
天理教の成立から現在に至るまでの歴史、豊富な資料を通じて、宗教の発生・変容のプロセスを解明していく。宗教とは何かを考える上で、非常に参考になる1冊。


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島田裕巳(しまだ・ひろみ)
1953年生まれ。宗教学者、作家。東京大学先端科学技術センター客員研究員。
近著に『ぼくが宗教を読み解くための12のヒント』(亜紀書房)、『10の悩みと向き合う』(大和書房)など。


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