――雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。
『ズートピア2』
ウサギのジュディとキツネのニックは、捜査官バディとして活躍する中、ズートピアには存在しないはずのヘビ、ゲイリーと遭遇する。ゲイリーの出現によって、街が哺乳類だけで構成されている理由や、爬虫類たちが姿を消した経緯という“ズートピア最大の封印された秘密”に遭遇するが……。
監督:ジャレド・ブッシュ、バイロン・ハワード、声優:ジニファー・グッドウィン、ジェイソン・ベイトマン、キー・ホイ・クァンほか。全国劇場公開中。
ディズニーの近年最大のヒット・シリーズ『ズートピア』は、バイロン・ハワード監督の「しゃべる動物たちのアニメーションがやりたい」という願望から始まった。それは『バンビ』(1942年)以来のディズニーの伝統だったが、最近は作られてなかった。
動物たちの理想郷ズートピアを形にしていくうちに浮上したのは、草食動物とその捕食者である肉食動物はいかにして共存できるか、という問題だった。手塚治虫も『ジャングル大帝』で直面したこの問題がテーマになっていった。
さらに、ズートピアがどうしてもさまざまな人種や民族が共存するアメリカのメタファーになってしまう、と気づいた。そこで彼らはDEI(人種や民族、ジェンダーの多様で平等で包括的な社会を目指すこと)の専門家、シャクティ・バトラー博士に相談して物語を練った。それは人種プロファイリング、ステレオタイプの害をめぐるものになった。
ズートピアの肉食動物は植物性タンパク質や魚だけを食べるようになったのに、狂暴な本性を隠していると決めつけられ、ヒロインの警察官ジュディはウサギというだけで「かわいいね」と見くびられ、その相棒となるニックはキツネというだけで「ずるがしこい」と疑われて世を拗ねてしまっている。