秋葉原のレトロゲーム専門店「BEEP秋葉原店」。スタッフはスマートフォンの翻訳ツールを駆使しながら、外国人客とコミュニケーションを取っている。(写真:杉山慶伍)
――「Switch2が発売されるから、昔のゲームは安くなっているかも!」……。そう思って中古ゲームショップに行ってみると、Switchはいまだに高い。それどころか、ファミコン、ゲームキューブ、PlayStationなど、何十年も前のゲームまでもが想像以上の値段で売られている。しかも、海外ではレトロゲームが投資目的で売買されているという。一体、何事!?
Nintendo Switch2の発売発表を受け、旧型Switchの値崩れを期待していた人もいるかもしれないが、現実には定価に近い価格が続いている。
一般的に型落ちしたゲーム機は中古で安く購入できると思われがちだが、近年は比較的新しいゲームハードだけでなく、スーパーファミコン、ゲームキューブ、PlayStation 2、ファミコンなど、過去の機種も軒並み高値で取引されている。
知らぬ間にゲームがプレミア化している──。そこで、レトロゲームを取り巻く最新の市場環境を考察してみよう。
まず、レトロゲームが注目され始めたのは1990年代後半。レトロゲーム専門ニュース&コラムサイト「ファミコンのネタ!!」管理人のオロチ氏によれば、「レトロゲーム」という言葉自体は80年代後半からすでに存在していたという。
「96年に中古ゲーム専門誌『ユーズド・ゲームズ』(キルタイムコミュニケーション)が創刊。『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京系)でファミコンが取り上げられ、一般層にも知れ渡りました。そして『Yahoo!オークション』の利用者増加と03年のファミコン20周年の〝お祭りムード〟によって、徐々に価格が上がってきた印象です」
極端な例では、14年にアメリカのネットオークション「eBay」で、NES(ファミコンの海外版)用ソフト『Nintendo World Championships』が300件以上の入札の末、約10万ドル(約1400万円)で落札。レトロゲーム人気が海外でも根強いことを象徴した。
さらに21年には、NES用『ゼルダの伝説』(86年発売)が87万ドル(約9600万円)、NINTENDO64用『スーパーマリオ64』(96年発売)が156
万ドル(約1億7200万円)、NES用『スーパーマリオブラザーズ』(85年発売)は200万ドル(約2億2000万円)で落札されている。
いずれも未開封品であり、アメリカのオークションハウス「ヘリテージ・オークションズ」によって、これらの記録は立て続けに更新された。
「『Nintendo World Championships』には灰色バージョンとゴールドバージョンの2種類が存在し、前者はかつてアメリカで行われた同名のゲーム大会の景品として90本が配られ、後者はその大会優勝者やゲーム雑誌の企画で26本配布されたというのが定説です。そもそも、アメリカでは保存状態の良いレトロゲームが少なく、箱や説明書がそろっているだけでも非常に貴重なんです」(同)
氏いわく、「個人マニアが出せる金額の上限は、せいぜい1000万円まで」。それだけでも十分高額だが、億円単位の落札は、マニアではなく「投資家」の手によるものだという。