海外への卒業旅行すら"日常"にしてしまう"狂気" 『映画 けいおん!』

──大人も楽しめる日本のハイクオリティ・サブカルチャーのひとつ、アニメーション。日々進化し続ける技術と想像力に、どうついていったらいいのだろうか……。アニメの真の魅力を浮き彫りにする新批評。

2012年3月号 ANIMATIONクロスレビュー

■空気系アニメブームの頂点、劇場へ

『映画 けいおん!』
監督/山田尚子
原作/かきふらい
制作/京都アニメーション
出演(声)/豊崎愛生、日笠陽子、佐藤聡美、寿美菜子、竹達彩奈ほか
配給/松竹 公開/12月3日

私立桜が丘高校軽音部の唯、澪、律、紬、そして後輩の梓。テレビアニメ2期は4人の卒業で終わったが、本作では、5人が卒業旅行でロンドンへ。3年生4人は、残された梓に贈る曲の構想を考えていた。一部アニヲタを熱狂させた人気作の劇場版とあって、公開前から広く話題に。

【ライター・有田評】
★★★★★★★★☆☆
ファンムービーと作品の"自立"
アニメに限らずテレビシリーズ作品が劇場用作品になった際に毎回出てくるのが、「初心者お断りのファンムービー」と、「単体の映画として成立する作品」のいずれが正解なのかという問題である。本作のすごいところは、その両方を奇跡的なバランスで成立させているところにある。確かに「テレビ2~3話分をつなげたような」「都合の良すぎる展開」など、手放しで褒めることはできないが、ファンも初見の観客も満足させるその強度は一見の価値ありだ。

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