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井川意高の天上夜想曲【4】

裸で逃げた大広間、芸妓衆と過ごした京都の夜

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――あなたの知らない「夜の世界」をご案内します

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5000億円企業・大王製紙創業家3代目の御曹司であり、東大法学部卒の超エリート。自ら起こした事件を受けて、会社を去ることになったが、自身が有する莫大な資産と華麗なる人脈、そして、その人柄に変化なし。そんな井川意高が、若き日から今に至るまで夜な夜な繰り出してきた「天上の宴」というべき夜の世界に大衆を誘う。実業家、資産家、芸能人、文化人、港区女子……そこには、どんな人々が集い、いかなる物語が奏でられてきたのか――。

京都の花街も、私の夜の舞台だった。

都の花街も、私の夜の舞台だった。

まだ大学生だった私が、祇園・先斗町で遊ぶようになった経緯は後ほど語るとして、京都の花街について少し解説をしよう。

京都には五花街と呼ばれる、お茶屋の並ぶ街がある。祇園甲部・祇園東・先斗町・宮川町・上七軒である。各街の格式は並べた順番で、祇園が一番上といったところか。

お茶屋とは、芸妓舞妓を呼んで宴会などをするお座敷を持つ店のことである。お茶屋にも歴史の長さや敷地建物の大きさ、馴染みの旦那衆の層などによって格式があり、祇園甲部では「枡梅」「一力亭」、祇園東な
ら「富美代」、先斗町だと「舛之矢」「大市」が筆頭を争う。私は、枡梅、富美代、舛之矢が父・高雄の代からの馴染みである。

そんな花街には欠かせないものが、あと二つある。置屋(屋形)と仕出屋である。

置屋は、舞妓をお茶屋に派遣する役割を担う、いわば芸能プロダクション。主に中学校卒業間もない女性に、寝泊まりの場所を提供し、生活指導や舞や唄など芸事の師匠のもとに通わせる。そして、お座敷での作法を学ばせるなど、衿替えして芸妓として独立するまでの親代わりでもある。仕出屋は、お茶屋での宴席に会席料理を文字通り仕出しする料理屋のことである。

お茶屋と置屋は基本的には別だが、格式の高いお茶屋には置屋の営業権を持っているところもある。

私の想像だが、このような分業体制は、かつて低成長でゼロサム経済だった江戸時代、お大尽の散財を独り占めせず、お茶屋・置屋・仕出屋の皆で分け前を取ろうという慣習から生まれたのではないか。

そうそう、客もいったんどこかのお茶屋に口座を持つ(花代を払う馴染み客になる)と、同じ花街内では他のお茶屋に口座を持つことができないというのも、古くからの競業忌避の知恵だろう (他の旦那に誘われて他のお茶屋の座敷に上がることは構わない)。

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