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町山智浩の「映画がわかるアメリカがわかる」第159回

『サマー・オブ・ソウル』半世紀を経て蘇る黒人音楽最高の祭典と差別への怒り

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――雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。


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『サマー・オブ・ソウル』

伝説的な音楽の祭典「ウッドストック」が開催された1969年、ニューヨークのハーレムでもうひとつの歴史的な音楽の祭典「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」が開催された。ブラックミュージックの最高のメンバーたちが揃い、30万人もの動員を誇ったにもかかわらず、その映像は陽の目を見ることがなかった。それから半世紀を経て映像が発見され、ついに公開されることになった。

監督:アミール“クエストラブ”トンプソン、出演:スティーヴィー・ワンダー、B.B.キング、ザ・ファミリー・ストーン、ザ・フィフス・ディメンション、ステイプル・シンガーズほか。8月27日全国公開。


1969年8月15日から3日間、ニューヨーク州ウッドストックで開かれた無料ロックフェスティバルは歴史に残るイベントだった。ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、グレイトフル・デッドなど、当時のトップ・ミュージシャンが勢ぞろいした、カウンター・カルチャー最大にして最後の祭りだった。

だが、それとまったく同じ頃、ニューヨークの黒人地区ハーレムで開かれた「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」は忘れられてしまった。ウッドストックやモントレー・ポップ・フェス、黒人音楽の祭典ワッツタックスなどと違って、レコードにも映画にもならなかったからだ。

約50年後、そのフェスのすべてを撮影した40時間に及ぶビデオテープが発見された。それをデジタルで修復し、編集した映画が『サマー・オブ・ソウル』だ。監督はクエストラブ。生演奏ヒップホップ・バンド「ザ・ルーツ」のドラマーだが、発見された映像を見て「自分が生まれる前にこんなすごい祭りがあったのか!」と感動し、監督をかって出た。

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