サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > MV“考察”合戦の功罪

――人気アーティストのMVが公開されるとファンは細部までじっくり鑑賞する。今やSNSやYouTubeのコメント欄でファンが口々に“考察”を語るのは、珍しい光景ではなくなった。映り込んだ小道具やアニメーションの演出に意味を見いだし、語られないストーリーを深読みする行為は、なぜ今加速しているのか――。

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(絵/ぱいせん)

「考察(こう‐さつ):物事を明らかにするために、よく調べて考えをめぐらすこと」(デジタル大辞泉)。今、ポップカルチャーの世界で“考察”がキーワードになりつつある。

テレビドラマ『あなたの番です』(日テレ系/2019年)や『テセウスの船』(TBS系/20年)のヒット理由には、視聴者がSNS上で“考察”を語り合う動きがあったとされる。洋画でもクリストファー・ノーラン監督の『TENET テネット』も、その設定の難解さから読み解きが盛んに行われた。人気マンガやアニメの「考察動画」はYouTubeでも鉄板コンテンツである。人気作品の陰には必ずといっていいほど“考察”の盛り上がりがある。

音楽の世界も例外ではない。米津玄師やBTS、TWICEなどを筆頭に人気アーティストの新作MVが公開されると、YouTubeのコメント欄、あるいはファンのSNSアカウントや自作動画は“考察”であふれ返る。

BTSを例にとってみよう。彼らのMVはストーリー仕立てのものが多いためか、特に“考察”が盛り上がりやすい。YouTubeで「BTS 考察」と検索をかけると、「【BTS考察】【花様年華 解説①】INUでグクを轢いた犯人はジンくんだった!?」「【BTS Boy With Luv】深すぎる!【MV解説】」「防弾少年団(BTS)MV 考察」などなど複数がヒットし、多いものは数十万回再生されている。なお、公式のMV映像にテロップでテキストを載せているものが多く、著作権上の問題がある動画も含まれている。

内容は「背景に置かれた砂時計が意味するものとは?」といった細部への着目や、彼らの初期の楽曲を貫いていたストーリーに基づいて「今回の新曲は時系列でいうと前回の曲より過去にあたるはずだ」といった世界観の読み解きなどが中心だ。

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