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澤田晃宏の「外国人まかせ」【1】

【澤田晃宏/外国人まかせ】コンビニ弁当を作る鳥栖のベトナム人とネパール人

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出勤するゴビンダさん。留学生はみな、自転車で移動するという。

 Aさんは現在、約50名のベトナム人技能実習生と働くが、職場にはほかの外国人の姿もある。

 ネパール出身のスベディ・ゴビンダさん(24歳)は、18年から鳥栖市内の日本語学校に通い、卒業後の20年からは福岡県内の大学に通う「留学生」だ。ゴビンダさんはネパールの大学で経営学を学び、銀行に就職した。

「給料は日本円で月2万円くらい。日本に行って、稼ぎたいと思った」

 留学エージェントに支払う手数料、日本語学校の学費1年分、半年分の寮費など、合わせて約150万円を銀行から借り、18年4月に来日した。

 日本語学校の授業は午前中のみで、Aさんと同じ食品製造工場で午後1時から午後8時まで働く。大学進学後も、同じ仕事を続けている。

 野菜炒めや麻婆豆腐など、大手コンビニエンスストア向けのお弁当の調理を担当する。ゴビンダさんは話す。

「野菜のカットなどの仕事は女性が多いですが、調理は力仕事で、男性が多い。例えば野菜炒めなら、キャベツやタマネギなど計10キロを一気に炒めます。温度計がついていて、85℃になるまで炒めたら完成です」

 ただ、働けるのは週に最大4日間だ。留学生はあくまで日本で勉強することを前提に在留資格が交付されているため、アルバイトなどの「資格外活動」は週28時間以内と制限されている。

 ゴビンダさんの時給は1080円。月収にすると12万円程度だ。家賃4万5000円の部屋を友人とシェアし、生活費を2万円に抑え、毎月6万円程度を貯金して、学費の支払いに充てている。

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取材に応じたベトナム人技能実習生のAさんとBさん。

 ゴビンダさんは話す。

「大学卒業後に就職し、在留資格を『技術・人文・国際』に変更できれば、日本に家族を呼びたい。数年働いてお金を貯めたら、ネパールに帰って、家を建てるのが夢なんです」

 ゴビンダさんのような、資格外活動で働く外国人労働者は、技能実習生と肩を並べる約37万人も存在する。背景には国の政策が影響している。

 日本語学校幹部がこう話す。

「政府は08年、当時約12万人だった留学生を20年までに30万人に増やす『留学生30万人計画』を立ち上げましたが、東日本大震災で多くの留学生が帰国するなど、目標達成が難しくなりました。結果、在留資格審査が緩くなり、ベトナムやネパールなどの出稼ぎ目的の留学生が増える結果になったのです」

 週28時間という制限を無視して働く「出稼ぎ留学生」を受け入れる日本語学校が乱立したこともあり、17年には留学生が30万人を突破した。

 しかし、出稼ぎ留学生の存在が社会問題化したことに加え、18年に単純労働分野で働く外国人の受け入れを認める在留資格「特定技能」(19年4月に新設)の議論が始まると、留学生への在留資格認定が一気に厳格化した。

 全国日本語学校連合会の調査によれば、前年と比較した19年4月入学の留学生に対する在留資格の交付率は、ベトナムが86%から74%、インドネシアが95%から28%、ミャンマーが94%から4%、ネパールが48%から1%(東京入国管理局分)と、露骨に下がっている。前出の幹部は、

「留学生の在留資格申請には、学費や生活費を支払う経費支弁能力を示す書類の提出が求められますが、追加書類を求められたり、これまでと同じ書類を出しても申請が通らなくなりました」

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鳥栖市内のレオパレス。家賃は通信費込みで約3万5000円。一部屋に2人で住む。

 政府のご都合主義には反吐が出るが、この間に急増した留学生が日本の産業基盤を支える労働者として定着した。鳥栖市内の日本語学校の関係者は、

「例年、4月入学生の在留資格が出る2月頃になると、アルバイトを求める会社から電話があります。『今年は何人、入学しますか?』と。労働力として期待されているのは、明らかです」

「技能実習生=安い労働者」と勘違いしている人が多いが、それは間違いだ。技能実習生は原則、企業が単独で受け入れることはできず、厚生労働省と出入国在留管理庁が所管する外国人技能実習機構の認定を受けた「監理団体」を通じ、受け入れる形になる。

 監理団体には技能実習が問題なく行われているかなどを監督する役割があり、企業は毎月ひとり当たり3万円程度の監理費を監理団体に支払う必要がある。外国での面接や、入管当局に提出する書類の作成費などを含めると、例え実習生に支払う給料は最低賃金でも、人件費は新卒大学生と変わらない水準になる。

 一方の留学生は、週28時間という労働時間の制限はあるが、社会保険に加入する必要もなく、雇用者からすれば彼らこそ「安い労働者」だ。

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