サイゾーpremium  > 特集  > 社会問題  > 識者が推薦する「戦争ドキュメンタリー」【3】/【塚本晋也】優れたドキュメンタリーは“いいトラウマ”を与える
第1特集
識者が推薦する「戦争ドキュメンタリー」【3】

【塚本晋也】衝撃作『野火』の監督が推薦! 優れたドキュメンタリーは“いいトラウマ”を与える

+お気に入りに追加

塚本晋也(映画監督・俳優)

【塚本晋也】衝撃作『野火』の監督が推薦! 優れたドキュメンタリーはいいトラウマを与えるの画像1

1960年、東京都生まれ。『鉄男』(89年)で劇場映画デビュー。『六月の蛇』(03年)、『野火』(15年)など、自ら製作、監督、脚本、撮影、編集などを手がける作品群が、国内外で数多くの賞を受賞している。俳優としても評価が高い。

【塚本晋也】衝撃作『野火』の監督が推薦! 優れたドキュメンタリーはいいトラウマを与えるの画像2
『ハーツ・アンド・マインズ ベトナム戦争の真実』
(監督:ピーター・デイヴィス/公開:1975年/販売:キングレコード)
戦地での取材映像、ニュースフィルム、政治家や帰還兵のさまざまな証言を通じてベトナム戦争の実像に迫った。第47回アカデミー賞最優秀長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。

 戦争ドキュメンタリーといえば『ゆきゆきて、神軍』、『アクト・オブ・キリング』、最近では『沖縄スパイ戦史』などの衝撃作が印象に残りますが、個人的にはベトナム戦争の実像に迫った『ハーツ・アンド・マインズ』が金字塔と言えると思います。映像には、ベトナム戦争当時のアメリカの政治家や官僚のインタビュー、帰還兵たちの証言、村を焼かれ、子どもを殺されたベトナムの民衆の様子などが克明に記録されていて、ここに戦争のありとあらゆるバカバカしさ、愚かしさが詰まっています。

 ここで言うバカバカしさっていうのは、大義を語る権力者と戦地で殺すか殺されるかの戦いをしている一般人たちの温度差みたいなものです。戦争しようって考えるのは昔から権力を持つ人たちで、彼らは資源だとか利権が欲しいだけ。そこで、無理やり考えた大義名分によって洗脳された若者たちが、戦地で内臓が飛び出したり、脳みそが飛び散ったりという目に遭ってるわけじゃないですか。そもそもどうしてそんな愚かなことが歴史上何度も繰り返されているのか――そういうことを考えさせられる映画です。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2025年8月号

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 小栗有以(AKB48・アイドル)──多忙な日々の中で心と身体の調和を保つ秘訣とは
    • 水道橋博士(お笑い芸人)──「うつ病」発症は国会の重責が原因ではなかった?
    • 3li¥en(アーティスト)──キャリアは浅くとも人間味がディープすぎるフライガール

連載

    • 【マルサの女】つんこ
    • 【丸屋九兵衛】バンギン・ホモ・サピエンス
    • 【井川意高】天上夜想曲
    • 【神保哲生×宮台真司】マル激 TALK ON DEMAND
    • 【萱野稔人】超・人間学
    • 【笹 公人×江森康之】念力事報
    • 【最終回】【AmamiyaMaako】スタジオはいります
    • 【Yoru】艶やかに躍動する 気韻生動の肉体美
    • 【韮原祐介】匠たちの育成哲学
    • 【辛酸なめ子】佳子様偏愛採取録
    • 【ドクター苫米地】僕たちは洗脳されてるんですか?
    • 【アンジェラ芽衣×梅本剛史】身長172センチの女性モデルが “あえて”ツナギを着てみた!
    • 【町山智浩】映画でわかるアメリカがわかる
    • 【花くまゆうさく】カストリ漫報
サイゾーパブリシティ