サイゾーpremium  > 特集  > エンタメ  > 【朝鮮族】をつなぐサッカー文化
第1特集
中国サッカー、もうひとつの強豪

政治や差別に翻弄される民族――“朝鮮族”をつなぐサッカー文化

+お気に入りに追加

――政府からのトップダウンで強化を推し進めている中国サッカー。多額の金を投入し世界中から強力選手を買いあさるその裏には、「中国サッカーの故郷」と呼ばれる土地に住む少数民族たちの奮闘があった。

1908_soccer_clmn001_320.jpg
ホームスタジアムでの応援は、横断幕もハングルと中国語両方だ。

 金満主義が染みついた中国プロサッカー界にも「清浄地域」は存在する。資金難に苦しみながらも成績に恋々とせず、フェアプレーを徹底し中国サッカーファンに新鮮な衝撃を与えた「延辺富徳FC」がそのひとつだ。中国北東部、朝鮮半島と接する延辺朝鮮族自治州をホームとし今年の2月まであったそのチームは、その構成メンバーのほぼ全員がコリアン系中国人である『朝鮮族』の選手で構成されていた。また延辺とは中国国内で、公式的に朝鮮族住民による「民族自治」が行われている地域。日本統治時代の旧満州では「間島」と呼ばれており、近代以降の日本とも密接なかかわりを持つ地域でもある。そこに根差した朝鮮族サッカーチームの活躍は、中国における少数民族の多様性を国内にアピールすると同時に、同国サッカーのあり方に大きな影響を与えてきた。

 1910年の日韓併合前後に満州に移住し始めた朝鮮人移民は、現在の広州市や深セン市がある中国東南部の広東地域の住民と共に、大陸で最も早く近代サッカーを経験した集団となった。サッカーの流入と普及が早かった地域だけに、この両地域はサッカー中国代表に最も多くの選手を送るほどに。中国サッカー界では、「サッカーの故郷」と呼ぶほどなのだ。

 日本帝国統治下の在満朝鮮人社会においてサッカーは、村・学校・地域の行事として発展し、民族的なイベントへと昇華していった。そして新中国の樹立後も、延辺自治州で誕生したチームが、吉林省を代表して全国大会で次々と好成績を収めていき、65年には全国サッカーリーグトップレベルの「甲級連盟戦」で初優勝を果たした。ところが、その翌年から文化大革命が本格化。中国体育界では、サッカーはもとより全てのスポーツが、ほとんど“オールストップ”する事態を迎えることになる。

 文化大革命終了後の78年、鄧小平の改革開放宣言をきっかけとして、スポーツにおける対外交流が活発化していく。

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2020年2月号

新しいニッポンのタブー

新しいニッポンのタブー
    • 暴力団だけじゃない【反社】の定義
    • 【山口組分裂】報道の最前線
    • 【嵐】休止後の芸能界にタブーはあるか?
    • 本当の【氷川きよし】論
    • 【社会学者】きーちゃんを苦しめる疑惑フォーマット
    • 【湯山玲子】ミサンドリー時代に合った戦略
    • 【音楽学者】芸能の性別越境を回復する存在に
    • 【丸屋九兵衛】ヒップホップときよしの交差点
    • 【ANARCHY】初期衝動を落とし込んだ映画
    • 【SEEDA】ラッパーの禁忌な生き様を描く
    • 世界の過激な【保守派リーダー】
    • 【元芸人】が政治の世界に進出するワケ
    • 【アナ雪】ステマ問題ほんとの戦犯
    • 時代を先取りする【新・麻薬王】の肖像
    • 【医療観察法】の知られざる実態

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。

川瀬もえ、エロくてキュートで清らかに。
    • 小悪魔【川瀬もえ】が脱ぐ

NEWS SOURCE

インタビュー

連載

    • 表紙/華村あすか「イオンで十分なんです」
    • 【桜田茉央】ミスマガ受賞者の箱入り娘
    • 【AV界】期待の新人セクシー下着
    • 【鈴木ふみ奈】タレントと企業のカンケイ
    • 【増田と鷲見】のラブゲーム
    • 【AI】がインターネットを根底から揺さぶる
    • 【五所純子】「ドラッグ・フェミニズム」
    • 【萱野稔人】"殴り合い"はなぜ人間的なのか
    • 機構影響を受けぬ【雪まつり】
    • 【丸屋九兵衛】キアヌ・リーブスを語る
    • 【町山智浩】「リチャード・ジュエル」FBIとマスコミの欺瞞
    • 【薬物事件】をめぐる刑罰と報道の問題点
    • 小原真史の「写真時評」
    • 笹 公人「念力事報」/ゴーンの大脱出
    • おたけ・デニス上野・アントニーの「アダルトグッズ博物館」
    • 稲田豊史/「アナと雪の女王」にモヤる理由
    • 辛酸なめ子の「佳子様偏愛採取録」
    • 大手ビールメーカー出身者が【ブルーパブ】を開業
    • 更科修一郎/幽霊、闘争で情念を語る少年マンガ。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』