サイゾーpremium  > 連載  > 中国イーコマース企業が作った【完全無人倉庫】
連載
NewsPicks後藤直義の「GHOST IN THE CHINA」【8】

中国のイーコマース企業が作った「完全無人倉庫」の内情

+お気に入りに追加

――あまりにも速すぎるデジタルテクノロジーの進化に、社会や法律、倫理が追いつかない現代。世界最大の人口14億人を抱える中国では、国家と個人のデータが結びつき、歴史に類を見ないデジタルトランスフォーメーションが進行している。果たしてそこは、ハイテクの楽園か、それともディストピアなのか――。

京東商城

中国版アマゾンと呼ばれる、巨大なイーコマース企業。通称ジンドン(JD.com)。1998年に設立され、現在は売上高6兆円を超えるまでに成長した原動力が、最先端のロボットやテクノロジーを使った「スマート物流」。2017年に発表した上海にある完全無人倉庫は、人の手にほぼ触れることなく商品を出荷できることで話題になった。最近では次世代物流のため、リニアモーター技術などにも投資をしている。

1906_GITC_1906_bl_200.jpg

 中国といえば、今や世界でもっとも先進的な「キャッシュレス社会」として知られるようになった。しかし、これからは最先端のテクノロジーを駆使した「スマート物流」が間違いなくホットな分野になる。だから最近、中国の物流倉庫を取材している。

「世界で初めてとなる、完全無人倉庫が完成した」

 2017年、中国のイーコマースのトップ企業であるJD.com(京東商城/ジンドン)が、上海エリアにおいて「完全自動化」を施した巨大倉庫の建設を発表した。1日あたり20万個近いアイテムをさばくことができる、フラッグシップとなる物流拠点だ。

 このニュースを報じた米CNBCによれば、倉庫の広さは約4万平方メートル。本来ならば400~500人ほどの作業スタッフが必要となるスケールの倉庫だが、ここにはたったの5人しか必要ないという。つまり必要な人手は、およそ100分の1ということだ。

 JD.comが公開した無人倉庫の動画には、真っ白いロボットアームが登場する。まるで生き物のように、滑らかな動きでスマートフォンの箱を掴み取って、バーコードをスキャンさせて、ベルトコンベアの上に次々と置いていく。

 ちなみに合計20個備えつけられているロボットアームは、三菱電機製。さらにこのロボットの腕をコントロールしている「頭脳」にあたる人工知能は、日本のMUJIN(ムジン)という気鋭のロボットベンチャーが担当している。

「無人倉庫は、そもそもコストパフォーマンスを度外視して作った設備。だから、あらゆる商品を無人倉庫で配送できるわけではないんですよ」

 この倉庫について詳しい関係者は、そのように明かす。まずはお金のことは考えずに、最先端のテクノロジーをかき集めたということだ。実際にこの無人倉庫で扱っているアイテムは、今は四角い箱に入っているスマートフォンに限られている。

 つまりハイテクをアピールするために作った、やや「盛り気味」な完全無人倉庫ともいえる。それでも日本の物流倉庫では絶対に見ることができない、SFの世界だ。

 ロボットアームからベルトコンベアに荷物が流れてゆき、巨大な立体倉庫に在庫として収納されてゆく。そして注文があれば、まるで昆虫のように床の上をチョロチョロと動き回るロボットが、商品を配送エリアに運んでゆく。

 もはやこの物流倉庫は、室内の明かりをすべて消しても、暗闇の中で動き続ける――。メディアでは、そんな「都市伝説」まで紹介された始末だ。

日本は「スマート物流」の輸入国

ログインして続きを読む
続きを読みたい方は...

Recommended by logly
サイゾープレミアム

2021年5月号

新タブー大全'21

新タブー大全'21
    • 【森発言は女性差別?】高齢者座談会
    • 広がる【陰謀論とGAFA】の対応
    • 【Qアノン】の主張
    • ビジネス的な【福音派】の布教
    • 【ザ・ボーイズ】が描く福音派
    • 【反ワクチン運動】の潮流
    • 取り沙汰されてきた【ワクチン4種】
    • 【メガIT企業】が触れたタブー
    • 【民間PCR検査】の歪な構造
    • 【NHK】に問われる真価
    • 【テレ東】が身中に抱えた爆弾
    • 【キム・カーダシアン】の(危)人生
    • 【仰天修羅場】傑作5選
    • 月収12万でアイドルが【パパ活】
    • 【パパ活】の背景にある雇用問題
    • 金融の民主化【ロビンフッド】の闇

「小川淳也」政治とコロナと与野党を語る

「小川淳也」政治とコロナと与野党を語る
    • 【小川淳也】政治とコロナと与野党を語る

NEWS SOURCE

インタビュー

    • 【朝日ななみ】新人役者は“嫌われるほど悪い役”を目指す!
    • 【はるかりまあこ】新風を巻き起こす三人官女のサウンド
    • 【SILENT KILLA JOINT & dhrma】気鋭ラッパーとビート職人
    • 【松居大悟】自身の舞台劇をどのように映画化したのか?
    • 【BOCCHI。】“おひとりさま。”にやさしい新人7人組

連載

    • 【都丸紗也華】ボブ、マジ楽なんです。
    • 【アレンジレシピ】の世界
    • 【愛】という名のもとに
    • なぜ【AI×倫理】が必要なのか
    • 【萱野稔人】人間の知性と言葉の関係
    • 【スポンサー】ありきの密な祭り
    • 【地球に優しい】企業が誕生
    • 【丸屋九兵衛】メーガン妃を語る
    • 【町山智浩】「ノマドランド」ノマドの希望と絶望
    • 【総務省スキャンダル】と政府の放送免許付与
    • 【般若】が語った適当論
    • 【小原真史】の「写真時評」
    • 【田澤健一郎】“かなわぬ恋”に泣いた【ゲイのスプリンター】
    • 【笹 公人】「念力事報」呪われたオリンピック
    • 【澤田晃宏】鳥栖のベトナム人とネパール人
    • 【AmamiyaMaako】イメージは細かく具体的に!
    • 【稲田豊史】「大奥」SF大河が示した現実
    • 【辛酸なめ子】の「佳子様偏愛採取録」
    • 伝説のワイナリーの名を冠す【新文化発信地】
    • 【更科修一郎】幽霊、ラジオスターとイキリオタク。
    • 『花くまゆうさくの「カストリ漫報」』