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【premium限定連載】芸能ジャーナリスト・二田一比古の「週刊誌の世界」

「芸能人は正月ハワイ」が過去の遺物になった理由

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1901_hawaii.jpg『ハワイ完全版2019 (JTBのムック)』(ジェイティビィパブリッシング)

 まずは年末―。今年はタレントの小倉優子、高橋真麻の結婚発表があった。「かけ込み婚」と呼ぶが、2人ともすでに交際宣言していた相手だけにさほど驚きはなかった。むしろ、女優・吉田羊が所属事務所からの独立の発表は尾を引きそう。女性社長と長年マンツーマンでここまでやってきた吉田。それが唐突に袂を分かつ。よくある別の事務所からの引き抜きなど移籍問題も考えられる。今後の吉田の動向が気になるところ。

 昔は週刊誌も正月休みをとることから、その間隙を縫って「事を起こす」ことはよくあった。もっとも記憶に残っているのが1978年暮、俳優・田宮二郎の自殺だった。勝新太郎と並ぶ「大映」のトップ俳優だった田宮が麻布にあった自宅で猟銃を使い自殺。著者も大掃除に追われている最中だったが、すぐさま麻布に向かった。すでにメディアで黒山の人だかりだった。家人の話を聞きたくても出てくるはずもなく、寒空の下、待つしかない。そんな中、勇敢な記者がいたのを覚えている。スーツを着てハンカチで目頭を押さえながら入っていこうとする男がいた。見覚えのあるベテラン記者だった。知り合いのふりをして家の中への突入を図ったのだった。結果は即座に追い出され失敗だったが、昔はこんな大胆不敵な記者もいた。特に葬式は招待状がなくても入れる。「生前、ご主人にお世話になりました」の挨拶で遺族が知らなくても罷り通る。そんなやり方で入り、こっそり隠し撮りしてくるカメラマンもいたほどだ。

 恒例の「正月ハワイで過ごす芸能人」も取材合戦が盛んだった。芸能界には「一流芸能人のステータスのひとつとして正月のハワイがあった。旅費がもっともかさむ時期のハワイは売れている証明。もちろん団体ツアーではなく個人旅行。当時、芸能人専科の旅行代理店があった。飛行機からホテル、レンタカー、さらには現地コーディネーターの手配までしてくれた。旅行代理店も日頃から押さえておけば、貴重なネタ元になった。誰がいつの便に乗り、宿泊するホテルなどの情報をもらえることもあった。時には「○○という女性も一緒」とリップサービスもあった。もちろん、その手の人は出発時も到着時も別々に行動。ホテルで落ち合うという方法をとる。

 芸能人が一同に多く集まるハワイは絶好の取材の場。テレビ、新聞、週刊誌と年末年始のハワイはメディア陣でも溢れていた。ハワイに来る芸能人を直撃するのが主な目的だが、まともにホノルル空港正面出口から出てくるのは無難な人たち。テレビと新聞が活躍する場であり、週刊誌は裏をかく。あたかも1人や友達と一緒だと言いながら、実は彼女が同伴している芸能人がよくいた。その場合、彼女を空港団体出口から行かせたりしていた。空港だけでなく、ハワイでどう過ごすかを取材するのも週刊誌の仕事。ホテルよりも夜のワイキキ。当時、ハワイでゴルフをするほどの芸能人はほとんどおらず、ビーチでのんびり過ごし、夜の街へと散っていく。

 クラブ遊びが盛んだった当時のハワイには銀座とまではいかなくとも東京並みのクラブがあった。元歌手など芸能界に携わっていた人がママをしている店もあり、芸能界の中でも「ハワイに行ったらあの店が面白いよ」と紹介の輪が広がっていた。大物俳優や歌手らが夜な夜な出没。日本と違い半パンにTシャツなどラフな格好で行けることもあり、解放感に浸れる。さらに女の子も多種多様に揃っている。ハワイらしく金髪の美女もいれば、ハーフもいる。日本語も通じ、そう会話に不自由することもない。なかにはハワイに遊びに来ているうちにハワイに居座るようになり、そのままバイトする日本人ギャルもいた。もちろん、お持ち帰りできる子もいた。「日本の芸能人はお金を持っているし、ハワイで一夜のアバンチュールなら後腐れもない」と平然と言う子もいた。店によってはVIP用の裏口があり、芸能人はそこから出入りすることもあった。

 そんな遊びをウォッチングしながらとはいえ、やはり狙いは日本から連れてきた本命の彼女。そうそう観光客の来るような店に姿を見せることもなく、メディアの情報源は現地コーディネーター。彼らは芸能人もメディアも関係ない。ギャラを払えば教える。隠れ家的な店などを教えてくれた。行くと「昨日〇〇が来たよ」と教えてくれたものだ。

 しかし、正月休みを返上して記者とカメラマンをハワイに行かせても、さしたる収穫はなくなっていき、大物芸能人もハワイに行くことが減っていったことで、メディアも「1抜け2抜け」と次第にハワイから撤退するようになった。芸能関係者の話。

「最近では、和田アキ子や明石家さんまのようにオーストラリアに別荘を持ち、正月になるとオーストラリアやヨーロッパに行くことが大物たちのステータスになっている」

 今の正月のハワイは芸人のステータスの場に様変わり。芸人が売れている証明として正月のハワイに行くようになった。待ち受けるメディアも減少。スポーツ紙記者が話す。

「取材も友達感覚で事前に許可を得て、空港出口で直撃したかのように見せているだけ」

 テレビや新聞も報じることはなくなり、ネットによる報道が大半。こうして正月のハワイは過去の遺物となったのだ。

(敬称略)

二田一比古
1949年生まれ。女性誌・写真誌・男性誌など専属記者を歴任。芸能を中心に40年に渡る記者生活。現在もフリーの芸能ジャーナリストとしてテレビ、週刊誌、新聞で「現場主義」を貫き日々のニュースを追う。

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