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――批評家・宇野常寛が主宰するインディーズ・カルチャー誌「PLANETS」とサイゾーによる、カルチャー批評対談──。

宇野常寛[批評家]×イシイジロウ[ゲームクリエイター]

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社会派の骨太なつくりと、ジュディ&ニックのバディものとしての両側面から人気を集め、ゴールデンウィーク明け以降も興行成績を伸ばしている。

興行収入も右肩上がり、各所で絶賛の声が上がっている『ズートピア』。可愛らしいウサギとキツネが活躍するアニメ映画は、すでに言われている通り、差別や偏見をテーマにした社会派な作品に仕上がっている。この作品は、ディズニーアニメとして一体何がそれほどすごいのか?

イシイ 『ズートピア』、自分のようなクリエイターからすると、鼻につくぐらいよくできていましたね。「(ジョン・)ラセター【1】、ここで絶対ドヤ顔してる!」って思うところが何度もあって(笑)、嫌になるくらいの素晴らしさでした。これまでディズニーが作り上げてきたアーカイブを破壊するような邪道的なことをやりながら、エンターテインメントの文法にしっかり則っているから観客にも伝わるし、エンタメ作品として成立している。完成度が高すぎます。

宇野 アニメーション映画の宣伝って、「このキャラクターが動くところが観たい」と思わせるのが重要じゃないですか。『ズートピア』はそのルックスが地味で、どうなのかな?と思っていた。でも実際に観てみたら、とにかく感心しましたね。設定や筋立ては結構いい加減なところもあると思うのだけど、そういう穴をかなり露骨に現実の比喩だと宣言することで無効化してしまう、というやり方でしょう? ディズニーがファンタジーの力を使って現実のヤバさをえぐり出してくるタイプのものを、このレベルで出してくるとは。

イシイ 僕もコマーシャルを見ただけだとそんなに惹かれていなくて、「ステレオタイプなバディものだな」って思いながら観に行った。しかも、主人公のジュディが、最初は理想主義すぎて印象が良くないんですよ。ところが、10分も観ていると彼女を応援せざるを得ない気持ちになってしまう。その演出とシナリオの積み上げ方のうまさとテーマ性がセットになっていて、よく効くようになっていた。

宇野 後味のコントロールが絶妙なんですよね。物語の中ではすごくキレイに完結してスッキリしている半面、例えば会見のシーン【2】で「自分がジュディの立場だったらどう答えたか?」とか、現実に持ち帰って考えさせるようにしている。政治的なメッセージが鼻につくという人もいるかもしれないけど、現実の問題を作品に取り込むことで、非常に奥行きの深いアニメーションを構築していたと思う。程よくモヤモヤを持ち帰らせているのがとにかくうまい。アニメに現代の現実を持ち込むと、作品の世界が壊れてしまうことも多いけど、本作は、そのバランス感覚が巧みだった。もともとディズニーはこういうことが苦手な印象があったんですよ。ディズニーランドじゃないけど、“夢の国”を作るのがディズニーで、社会的なものを取り込むのはピクサー、という感じで。

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