――“文化系モデル”として注目を集める菅野結以が今専属を務める雑誌の面白さ、彼女自身が挑戦してみたいこと、それぞれを語ってもらった。
(写真/黒瀬康之)
「『LARME』って、女性ファッション誌のタブーをすべて犯している雑誌なんですよ」
業界のタブー破りを標榜する本誌としては、聞き捨てならない単語が飛び出した。「LARME」(徳間書店)は、注目度上昇中のファッション誌。同誌の看板モデルを務めるのが、菅野結以その人だ。
「衣装を着たまま湖に入っていて洋服があんまり見えない写真だったり、撮影現場では小道具にタバコや手錠が置いてあったり、デザインでは淡い色合いの写真に淡い色の文字を載せていたりします。それに、普通雑誌って表紙に特集タイトルを載せますよね? それもなくて、英文で『お金より花が好き』とか書いてあったり。いろいろ極端な雑誌で、わかりやすさは一切ないんだけど、飾っておきたくなるような美しさがあって」
ファッション誌的に言うと”ロマンチックガーリー”な同誌は、彼女がかつて専属モデルだった「Popteen」(角川春樹事務所)のようなギャル雑誌とは、真逆の存在に見える。
「『Popteen』にいた頃から、肌が黒い子が並んでる中で自分だけ『色、白っ!』ってなってても気にしてなかったんです。私はこれが好きだからこのスタイルでいく、ってやってきました」
そんな彼女には、これからもっとやってみたい仕事があるという。
「映画も本も音楽も大好きで、短歌とかも好き。文化系のお仕事はもっとしていきたいです。『LARME』で音楽コラムを連載させてもらってるんですが、能町みね子さんが『雑誌の人格』【「装苑」連載】で『菅野結以が勧めるCDは全くヒットチャート路線ではない』と書いてくださって、よく見ていただいていて嬉しかったです(笑)」
6月に刊行した5冊目のスタイルブック『about a girl』でもRadioheadの名作『KID A』をイメージしたメイクフォトを入れ込むなど、その片鱗を見せる彼女。もしよければ本誌でも連載、いかがでしょう?
(文/小宮 鰯)
菅野結以(かんの・ゆい)
1987年、千葉県生まれ。10代から読者モデルとして活動を始め、「Popteen」でたびたび表紙を飾る人気モデルとなる。同誌卒業後、「PopSister」を経て、「LARME」専属に。コスメ/アパレルブランドのプロデューサーとしても活躍中。
『about a girl』
発行/扶桑社 価格/1620円(税込)
プロデュースする「baby+A」「Crayme,」の2つのブランドをテーマにしたビューティー&ファッションブック。撮り下ろし写真に加えてメイク解説やカタログコレクションで、その世界観を知ることができる。