サイゾーpremium  > 連載  > 彼女の耳の穴  > 【リンダdada】小谷美紗子さんのグロテスクな歌詞に惹かれる。

──耳は口ほどにモノを言う。教えて、あなたの好きな音!

Touching song

小谷美紗子
『自分』
1997年に発売された小谷美紗子の2ndシングル。不幸なニュースを見て溜飲を下げる世の人々のさもしさが直截的な言葉で歌い上げられている。

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(写真/三浦太輔 go relax E more)

 N夙川BOYSというバンドで、ギターとドラムとヴォーカルを担当している、リンダです。私のバンドは演奏パートが曲ごとだったり、もしくは1曲の間にコロコロと変わったりするのですが、結成した日からこのスタイルでやっています。そもそもの始まりが、大阪に太陽の塔ってあるじゃないですか。普段はもう太陽の塔の中には入れないんですが、バンド結成年の2007年に期間限定で“人数50人集めたら貸し切りで太陽の塔の中に入れて、しかもEXPO’70のガイドもしてくれる”というイベントが企画されてたんですよ。

 これはやばい! と、大阪、福岡のバンドマンを中心に50人、いや50人以上集まったんです。みんな太陽の塔の中に入りたくてですよ?(笑)せっかくやからその後にライブしよう! ってなって。その時にその日1日限定のバンドで集まった3人がうちらなんです。名前もね、すごく簡単な感じで、夙川の「珈琲ん」でバンド会議してて、バービーボーイズ好きやし、「N’夙川BOYS」にしよか! 決まりっ! って。紅一点でもBOYSなのはその影響なんです。

 ライブ当日は、セットリスト5曲中4曲はオリジナルで、1曲目はもちろんバービーボーイズの「目を閉じておいでよ」のカバー。めちゃくちゃかっこつけてポーズきめてたんです。でも、いざ演奏が始まるとバンドの音がビックリするぐらいちっちゃくて。単音のギターで♪ティリリリリリリリリリリ~って。お客さんの「ちっちゃ!」というツッコミの声のほうがギターの音より大きくて(笑)気合だけでやったようなライブやったんですよ。でも、その日のうちに次のライブのお誘いがきて、「やろっか」「また誘われたよ!」「やろやろ」と続けてるうちに、今にいたるって感じです。

(写真/三浦太輔 go relax E more)

 音楽は子どもの頃から異常に好きで『ミュージックステーション』や歌番組を毎週楽しみにしていて、小学校2年の時のブランコのテーマソングは「ポケベルが鳴らなくて」か「愛しさと切なさと心強さと」だったり、切ない歌好きやったんですよね、私(笑)。小学校3年生の時学校からの帰り道に「私は将来何になりたいんやろ?」と真剣に考えて、「私は歌手になる」と家の階段の途中ではっとしたことがあったの、鮮明に覚えてます。小学校の頃は学校ではやってたり、テレビで流れてたり、町に溢れてる音楽がすべてだったんですが、中学でバンドが好きになるんです。バンドが好きになったら、ライブに行きたいんです。中学生の頃はお金ないから、毎日のお昼代の500円をやりくりして、ライブに行ってました。ライブに行ってるとバンドしたくなってくるんですよね。でも、バンドしたい友だちって周りにいなかったんです。「これはもう高校や!」って、高校に期待することにしたんです。

 で、高校生になるとアルバイトをしてCD代とライブ代を稼いで、1カ月に最低7回はライブへ行くと決めていたので、むちゃくちゃ働きました。労働コーリング! そしてやっと、高校でじゃなく、ライブで知り合った友達と高校1年生の時に初めてバンドを組んだんです。私と女友達がギター、もうひとりの男の子がベース。その男子はかわいいガールズロックのバンドがやりたかったんですね。でも、うちら女子はカッコイイ女の人が好きで、何度目かのスタジオでいきなり方向性の違いで、解散。始まってもないのに(笑)。

 それからも何度かバンド組むんですが、ちゃんと活動しだしたのは夙川ボーイズが初めてだったんですよ。

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(写真/三浦太輔 go relax E more)

 夙川ボーイズをやりだしても、色んなライブに行くのは変わらないままだったんですが、CDも持っていてめっちゃ好きなのに、ライブに行ったことないアーティストの方がいたんです。それが小谷美紗子さん。でもある時、心斎橋のクラブクアトロでのライブを見に行くタイミングがあって、初めて見ることができました。小谷さんを知ったきっかけは、97年に歌番組で「The Stone」という曲をピアノで弾き語りされていて、それがめちゃめちゃ素敵で、ビデオに録画して、それをカセットテープに録音して、ずっと聞いてました。カセット、懐かしいでしょ?(笑)

 バンドの時もソロの時も違った雰囲気でとても素敵で。J-POPって、ありきたりな恋の歌が多くて、あんまりマイナスなことは歌わないでしょ? 正直、「また恋の歌か」と言いたくもなる。でも、小谷さんは、普通は人が歌わない、でも、みんなが思春期の頃とかに絶対思ったことあるはずということを歌詞にして音楽にできているのがすごくって。「自分」という曲では〈自分よりバカな人を見て安心した/自分の罪を人に着せて楽をした〉と歌うんです。グロテスクですらあって、それがリアルで。中学生の頃の女子って、ほんとグロテスクで残酷で若さゆえにかクソみたいな人がいっぱいいたなぁと思います。あぁ、私がロックのトリコになったのも、そういうところがあるかもですね。小谷さんの音楽に惹かれたのと一緒で、ロックは、いいことじゃない、マイナスなこともちゃんと歌ってくれるから。

 ロマンチックで悪くって荒削りなままストレート。うん。だから、ロックは最高です。そして、小谷さんのように私が思う精神が“ロック”な音楽も、素晴らしいです。

(インタビュー/唐澤和也)
(文/リンダdada)
(ヘア&メイク/根本亜沙美)

【拡大画像はグラビアギャラリーでご覧いただけます。】

リンダdada(りんだ・だだ)
07年、マーヤLOVE、シンノスケBoysとともに「N’夙川BOYS」(ん・しゅくがわ・ぼーいず)を結成。楽曲によって演奏パートが変わる変幻自在のスリーピースバンドとして、映画『モテキ』に「物語はちと? 不安定」が使用されるなどし、注目度が上昇。6月4日発売のシングル「ジーザスフレンド」が、ドラマ『SMOKING GUN~決定的証拠~』(フジテレビ)の主題歌に決定した。

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