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【premium限定連載】芸能評論家・二田一比古の芸能ゴシップ今昔物語

オーディションの前にケンカを売り“コワモテ”を作る――木村拓哉、宇津井健にはない、志賀勝らが持っていた役者としての格

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――数々の芸能スクープをモノにしてきた芸能評論家・二田一比古が、芸能ゴシップの"今昔物語"を語り尽くす!

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『宮本武蔵』HPより。

 テレ朝の二夜連続特別ドラマ、木村拓哉主演の『宮本武蔵』は期待ほどの視聴率は取れなかった。一部が14%で二部はそれより2ポイント下がった。

「二部に巌流島など決闘シーンがある。いわば忠臣蔵における四十七士に討ち入りシーンの匹敵するクライマックスなのに下がるのは一部で"つまらない"と思った人が少なからずいたことにもなる」(テレビ関係者)

 時代劇の定番である武蔵。キムタクファンでなくとも時代劇ファンも関心の高いドラマだったが、予想外の結果に終わった。

 演じるとは役になりきることをいう。例えば、今や国民的な番組になった『相棒』の水谷豊。ドラマでは水谷ではなく、完全に杉下右京になりきっている。相棒を演じる時、水谷は消えている。残念ながらキムタクは武蔵をやっても宮本武蔵ではなく、キムタクにしか見えない。「キムタクはどんな役を演じてもキムタクがキムタクを演じている」といわれる所以である。

「50年の歴史で、数々の男性アイドルを輩出してきたジャニーズの中でも、キムタクは"最高傑作のアイドル"と呼ばれている。今後、キムタクを超えるアイドルは出ないだろうとまでいわれており、それほどの逸在。単に二枚目というだけではなく、どれだけ歳を重ねても、他アイドルは、多少は崩れて大人の雰囲気のある顔に代わるが、キムタクは今も二枚目のまま。それゆえ、キムタクの顔では悪役は務まらず、いつも主役でかっこいい役しかできない。ある意味、贅沢な悩みかもしれませんがね」(芸能関係者)

 先日、82歳で亡くなった宇津井健さんも悪役はなかった。キムタクと同じ正統派の二枚目俳優として活躍してきた。

 対照的に徹底した悪役——。東映の志賀勝は、悪役一筋だった。悪役ならではの苦労があったと、志賀本人からエピソードを聞いたことがある。

「いかに怖い顔になるかがワシらの仕事の生命線。そのためには常に怖い顔を作っておかなければならない。簡単にできたのは眉を剃ること。これだけでかなり強面の顔になる。後は鋭い眼光。これもサングラスでごまかすことができるが、普段から喧嘩をしていれば、眼光は鋭くなるもんや。

 役者仲間だった川谷拓三は大部屋時代、オーディションの前日、わざと喧嘩をしてきた。弱いから殴られて終わりだけど、腫らした顔で見事に役をとったもんだった。顔が怖ければ役はいくらでもくる。映画は二枚目だけで成立しないのだから、悪役がいてこそ、二枚目は目立つ。京都を歩く時はいつも本物のヤクザみたいな怖い顔して肩で風を切って歩いたもんや。おかげで本物のヤクザに脅されたこともあったけどな」

 まさに芸能人は顔が命。悪役と違い二枚目は顔を崩すことはできない。崩れたりしたら、「あの人、整形が崩れてきたんじゃない」と変な噂が立つのがオチ。むしろ、二枚目はどんなに年をとっても二枚目を保つべきだろう。完璧な二枚目を貫き通すしかない。

 宇津井さんは同じ二枚目でも決して主役ではなく、二番手、三番手としての地位を確保していた。晩年は「いいお父さん」のイメージが定着。理想のお父さん像だった。その分、私生活にはプレッシャーができる。いいお父さんが不倫や愛人がいたのでは、イメージは崩れる。旧知の芸能関係者がこう話す。

「昔はお酒が好きでよく飲み歩いていましたが、知らない人は役柄を通して見られ、『なんだ、いいお父さんがクラブで飲んでいるのか』と悪口を言う。仕事を離れれば関係ないのに、そう見られるのがつらかったと思います。元々、真面目な人とはいえ、役柄の為に相当、私生活も自粛していたようです」

 亡くなる五時間前に再婚していたという報道は、まさに宇津井さんらしい美談だろう。

 今後も主役を張る役者として生きていくだろうキムタクにとって、これからは顔との戦いなる。アイドル時代は顔を武器に瞬く間にスターの座についたが、今度はその顔で苦労することになる。映画に続いて二度目の時代劇も今後は難しい。なにが適役なのか見つける必要が出てきている。私生活も然り。イメージを保つためには、不倫や浮気すらも許されない。私生活もかなり自粛を求められる。

「今の芸能界で絶対にスキャンダルを起こせないのがキムタクでしょう」

 これは木村拓哉に与えられた賛美なのか、皮肉なのか――。

ふただ・かずひこ
芸能ジャーナリスト。テレビなどでコメンテーターとして活躍するかたわら、安室奈美恵の母顔が娘・奈美恵の生い立ちを綴った「約束」(扶桑社刊)、赤塚不二夫氏の単行本の出版プロデュースなども手がける。青山学院大学法学部卒業後、男性週刊誌を経て、女性誌「微笑」(祥伝社/廃刊)、写真誌「Emma」(文藝春秋/廃刊)の専属スタッフを経て、フリーとして独立。週刊誌やスポーツ新聞などで幅広く活躍する。現在は『おはようコールABC』(朝日放送)、『今日感テレビ』(RKB毎日放送)などにコメンテーターとして出演。


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