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宇野常寛の批評のブルーオーシャン 第44回

ネットの言論空間の後退を止めるために

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──既得権益がはびこり、レッドオーシャンが広がる批評界よ、さようなら!ジェノサイズの後にひらける、新世界がここにある!

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『なぜツイッターでつぶやくと日本が変わるのか』(晋遊舎)

 この2013年という年を総括するのなら、それは社会が変わるという機運が大きく後退した1年だった、と言わざるを得ない。

 昨年末の衆議院に続き、今年夏の参議院においても自民党が大勝し、向こう数年は自民党による安定政権が確実視されている。だが、それ以上に僕が強く感じるのは他の何より言論空間における批判的勢力の後退だ。原発処理、特定機密保護法への反対運動を見れば一目瞭然だが、彼らが掲げるイデオロギーと攻撃手法は55年体制下の「左翼」そのものである。原発処理の問題では、なぜか脱原発の主張が資本主義経済そのものへの批判に飛躍的に接続し、ときには陰謀論的な福島の放射能被害の拡大解釈を交える。秘密保護法への批判では、戦前の治安維持法を持ち出して軍国主義化(!)への警鐘などという時代錯誤の文句が踊る。

 常識的に考えて、こうした批判が現実味を帯びていないのは明らかだ。かねてより主張されているように、脱原発推進に必要なのはより積極的なロードマップの提出であり、秘密保護法への批判において有効なのは、「ザル法」である同法に保護期間の期限や第三者機関のチェック等歯止めをかけるための詳細なルールを追加することだ。しかし気付けば、安倍政権への批判は現実的な批判力を持たない空疎なスローガンの大合唱になっている。そりゃあ、「軍靴の足音が近づく」とか煽ったほうが当事者たちは盛り上がるのだろうし、仲間同士の結束も強くなるのだろう。しかし、個人的にはこの種のアジテーションをリツイートして、「リベラルな知性」をアピールしているつもりになっている知り合い等をタイムラインで見かけると、一気にげんなりする。

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