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連載
町山智浩の「映画がわかる アメリカがわかる」 第72回

資本主義が生む軋轢 民間企業を襲う過激なエコ・テロリズム

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雲に隠れた岩山のように、正面からでは見えてこない。でも映画のスクリーンを通してズイズイッと見えてくる、超大国の真の姿をお届け。

『ジ・イースト』

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元FBI捜査官のサラ(ブリット・マーリング)は、現在、民間の調査会社で有能なスパイとして働いていた。巨大企業に対して激しい攻撃を行う過激派組織への潜入を命じられた彼女は、その組織のリーダーと恋に落ちてしまい、煩悶することとなるのだが……。主演のブリット・マーリングと監督は、共にフリーガンに参加。その経験を元に、本作の脚本を共同執筆している。

監督/ザル・バトマングリ 出演/ブリット・マーリング、アレクサンダー・スカルスガルド、エレン・ペイジほか 日本での公開は未定。


 サラは、貨物列車の荷台に飛び移ろうとして、すでに乗っていた若者たちに引き上げられる。彼らは無賃乗車で全米を放浪する自由人たちだ。しかしサラは彼らの仲間ではない。企業へのテロに対抗する民間諜報組織のスパイなのだ。

 映画『ジ・イースト』は、ジ・イーストと名乗るエコ・テロリスト団体への潜入捜査を描く、極めて異色のスパイ映画だ。

 エコ・テロリストとは、環境破壊に対して実力行使で挑む過激なエコロジストたちのこと。日本の捕鯨船に体当たりしたシー・シェパードもそのひとつだが、最も有名なのはELF(地球解放戦線)というグループで、原生林伐採を妨害するためにブルドーザーを破壊したりと、直接的な破壊行為を行っている。1995年から2013年までの18年間で、アメリカ国内で起こったテロのうち、最も多い56%は右翼過激派によるもの、次に多い30%を占めるのがエコ・テロリズムだ。

 対国家の政治的テロと戦うCIAやFBIも、死人が出ない限り、エコ・テロから企業を守ってくれない。『ジ・イースト』では、企業のための民間諜報組織が結成され、エコ・テロリストを探し出す、という設定だ。

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